活発な意見交換で地方の現状を訴える発言者
質問者:全自交北海道:鈴木中執
昨年も話しましたが旭川35万都市、函館27万都市、この交通圏の実働日車営収が2万円足らずです。年間平均で2万円ということは夏場は2万円いっていないということです。そんな状況の中で北海道の最低賃金は生活保護費との乖離があります。生活保護費以下の労働条件を強いられているというのが実態です。東京におられる皆さんから見れば北海道の僻地というものの実態をなかなか分かってもらえないものですから来るたびに発言していますが、北海道は冬は灯油代、石炭代または木材などを燃料にしながら冬を過ごさなければ生きていられません。ですから単純に日車営収が2万円で12勤務で24万円の50%の配分率で12万円です。その部分の中で時間外173時間から160時間であれば最賃はクリアするかも知れないけれど、こういう物差しでは北海道の冬は成り立ちません。是非この部分を考えていただきたいと思いますし、札幌だけが登録制度が入ってます。運転手の年齢構成はつぶさに把握できるところですが、前年度から今年度になったときに60歳から65歳のところの構成比率が下がりました。前年度24年の時には60歳から65歳の構成比率が31%超えていたのが今年度は、1ポイントほど落ちています。その分がそっくり65歳から70歳にいきましたし70歳から75歳も増えてます。75歳から80歳も増えてます。80歳以上のところが4名だったのが2名に半減しました。この数字を利用者が知れば本当にタクシー産業は不安だらけじゃないでしょうか。改正タクシー適正化法もそうですが労働条件が改善するというのは我々運転手にとっては当然のことで、利用者の利便と安全と安心を担保するために若年者が入ってこられる産業にしていくために是非今後もご尽力いただきたいと思います。
答弁:瓦林課長
今回の供給過剰対策はあくまでも労働条件の改善ということ、あるいはその前提として供給過剰を解消するということが大目的であります。特定地域の指定基準ということもからんできますが、タクシー事業として若い人が入って来れるようにして続いていけるようにすること、そのためにどうするかという問題です。これはもう少し視野を広く持たないといけないと思いますが、小さい基準一つにとらわれることなく全体としてそういうものが改善が進むようにということを常に頭に入れて基準作りを進めていきたいと思います。
質問者:全自交東京:直井中執
タクシー乗り場の整備に関して早急に進めなければいけないという共通の認識を持っています。先ほどの課長は地域協議会でそれを求める旨の発言がありましたが、よりもっとフットワークのいい形で、例えて言えば「タクシー乗り場協議会」というようなものを設置して、各地域における乗り場問題を解決するような場を作ってもいいのではないかと思います。池袋駅で数年前に東口でタクシープールを設置して以前からの空車の列が解消された例もあります。西口でも改善されました。そうしたように例えば駅周辺等再開発などが行われる場合、タクシー待機場や乗り場も含めた計画がされたからだと思います。品川駅や東京駅、横浜駅周辺なども路線バスのターミナルを大きく確保したがためにタクシーは追いやられて利用客にも不便をかけているという実態があります。実際に大阪などではJR大阪駅南口タクシー乗り場がバスターミナル整備のため、利用客にとって不便で改札口より遠く分かりづらい場所に移動させられるということも聞いています。同じ公共交通機関として各地でタクシーが疎かにされてる、もしくは鉄道会社や自治体にタクシーが地域公共交通という認識がないということだと思います。2020年に東京オリンピックが開催されることになりましたが、日本の玄関口といっても過言ではない東京のタクシー乗り場状況は世界中から来る人々の印象を左右しかねない重要なポイントと思います。公共交通機関のタクシーの乗り場の整備を早急に進める必要が重要だと感じています。地域ごとに自治体や地権者、警察、運輸局、事業者団体それと東京や横浜でいえばタクシーセンター、そして現場の状況を一番知っている私たち労働団体を含めて構成する「タクシー乗り場協議会」を設置して各乗り場のスムーズな運用と不適正部分の改善や設置時におけるそのエリアでの最善な配置を協議する場を作るべきだと思います。この提案を国土交通省へお伺いするとともに、各関係方面への働きかけをお願いするところです。
答弁:瓦林課長
フットワークのいい乗り場協議会というアイデアは大変私もいい提言だと思いました。是非活かしていきたいと感じます。東京、大阪、神奈川の3カ所はタクシーセンターがあります。そういう意味ではタクシーセンターが既に利用者の代表という形で制度的に色んな場を持っていますので、3地域についてはタクシーセンターが主導する形で実働の協議会を回していく、あるいは啓発等も含めて行っています。その成果は引き続き活かしていく必要がありますし、私どもも非常に関心を持ってまして都内個々の乗り場については色々問題も解消する方向には進んでいます。タクシーセンターが無い地域は特にご提案のフットワークのいい乗り場協議会は有益だと考えます。これは現場と相談させていただきます。UDタクシーも含めて乗り場対策は大事です。また、ドライバーの方にも優良タクシー乗り場も含めて需要の底上げになるように考えていきたいと思います。
質問者:全自交京都:塚本中執
公定幅運賃は協議会で決められるんですが、それ以外の割引運賃については通常通りの認可となっています。既に季節割引、往復割引など先ほどの見解を示された2分の1に抵触しないことをしようと事業者が動いています。公定幅をいくら決めようとこうしたことをやられてしまうと意味がない。その中で最も今重要になっているのは深夜割増の廃止の問題です。国交省の方から出していただいた通達内容は有り難く、その内容によってこれを認可するかどうか決めるということですが、そもそもこうした事業者の発想の根源というものはあくまでも労使間で担保しなさいということで、一般の消費者の皆さんの割増料金をカットするなら事業者がその代わりを持てばいいじゃないかという発想の下でなされているということについて少し違うのではないかと思っています。私はこの深夜割増ということの理由は、大きく言えば最低限度の健康的な文化的な生活を営むという憲法25条に抵触しているのではないかと思います。それを差し置いて夜の勤務をしなさいという問題と、憲法27条の基準に則って労基法の37条の4項で深夜労働する者に対しては25%の深夜手当を付けなさい。その担保として深夜割増料金を利用者から収受しなさいということだったと思います。これに則って今回改正タクシー特措法を作っていただき労働者の労働条件を出来るだけ良くしようとする流れができあがったにもかかわらず、それを根底から覆す意味でこれは経営者が労働者のことをどのように考えているのかという基準に考えてました。いとも簡単にこれをカットしていくということは違うんじゃないかと思います。それと今回の交通政策基本法に則って、深夜に移動する人の移動権を確保するという大きな交通政策基本法があり、それを担保するために深夜労働をある程度活性化させるために深夜手当を付けている。これが根底にあるわけです。こうした重要な問題を蔑ろにして廃止されていくということは納得いかないと思っています。改めて質問ですが、厳格審査となっていますが果たして「みなし」という賃金形態を取っている事業者が多いです。ここまで踏み込んで局の方審査するのかどうか。またそんなことが京都から発信して全国に展開した場合数百社、場合によっては数千社の会社が深夜割増の廃止をしたときに、果たして労働基準局と運輸局の方で対応できるのかという問題です。それと認可済みの事業者が5社あります。それとくしくも本日、京都で最大のヤサ
カタクシーが深夜割増料金の廃止を申請しました。おそらくここが始めましたら京都では4,000台を超える車両が申請に踏み切ることになります。これが京都ではスタンダードになります。そうするとせっかく大阪で五千円超5割引が7千円超3割引になろうとしているにもかかわらず、また、大阪でスタンダード化されていくのかということは明白ですのでこうした点を考えた上で審査するのかどうかお聞きしたい。
答弁:瓦林課長
京都は心理戦も含めて事業者間の競争が非常に活発な所で、昨年から今年にかけても運賃の値上げを巡っても大手の方々が手を挙げた一方で下されたりということで駆け引きのあるところで、そういう意味では深夜割増の問題も駆け引きの観点もあるのかなと思っていますけれども、ただ、根幹の部分において深夜割増というのは労働基準法の25%割増ということと連動していますので、今回私ども具体的にはもし廃止とか、割増率の引き下げの認可申請が行われても、本当に時間当たり賃金が下がらないことを証明する書類の提出をしていただきます。逆にいうともし割増の廃止を行った場合でも賃金は維持しますよということが証明される必要があり、これはかなり難しいんだと思います。証明される場合はそれはそれでいいわけですし、かつ、証明された場合も今回認可の条件として、申請を信用して廃止した場合に実際に深夜時間帯の時間賃金が下がった場合が明らかになったときは認可を取り消しますということを条件にしていますので、この二つの組み合わせによってそもそも廃止や引き下げが行われる事例は少ないと思います。また、仮に少ないケースであったとしてもその後深夜賃金が確保されていることをチェックしてそれが認められなかった時は認可を取り消して戻しますのでそういう意味では担保できるのではないかと考えています。遠距離割引の関係ですが、今回附帯決議の中でも過度な遠距離割引については事業者に対してもそういうふうにしなさいという趣旨の附帯決議になっています。このことも含めて今大阪でも出てきているんだろうと思いますが、私どもとしましては割引そのものというかこの「過度な」というのはいけないというのは共通認識です。割引全てがいけないのかというと、割引によって全体に増収になる、増収によって皆さんの手取りも増えるというものについては冷静な目を持つというのも一方では必要なことだと思います。割引をやめたことによって逆に利用者が減ってしまうというリスクは経済学によって確実にあるわけで、それがなるべく少ない形で過度な割引を止めるということが大事なことだと思います。私どもは乗務員負担も含めてということですが、そこは収支が良くなれば結局皆さんの手取りが増えることになることですからそこの所はしっかり見ていこうと考えています。
質問者:全自交富山:石橋中執
地方都市の運転代行の件で話したいと思います。運転代行については未だに白タク行為あるいは類似行為が横行しているのは現実です。地方都市においては特に夜間のタクシー事業と競合しているというのが代行業者ということです。今般先生方に立法府の中で改正していただいた法律がこれから進んでいきます。タクシーの方はもしかして適正化・活性化の方向へ向かうが片や運転代行の方は野放しということになると正しく本末転倒なことが地方で起きるということになります。是非あわせて運転代行の適正化法が作られてから12年経つということで、この間先ほど言われたように若干の見直しなどありました。しかし、根本的なところ、私たちも当該の所管の警察に色々な要請をしているわけですが、法律がそこまで罰則が及ばない。AB間が駄目だとは書いてないですし、そういうことを含めまして法律はあるけれども実際の運用面で非常に問題のある法律でありまして、12年間も改正がされてなかったというところに非常に問題があると思っています。是非運転代行の適正化の法律についても、これは警察庁の方で作った法律ですから、国交省の方からは言いにくいかも分かりませんが是非警察庁と共管しながら改められる点は改めていただきたいと思います。もう一点、先ほどらいありましたけれども特定地域の指定基準についてはほぼやっておられるとは思いますが、附帯決議もあるということですけれども、155の地域がもう一度そこに入ってきちんと今一度適正化できる活性化できるそういう強制力を持った法律だからこそ全ての地域が入るように指定基準の運用面を見直していただいて指定されるようにお願いをしておきたいと思います。それが進み本当に車が減るということになると労働者も解雇やあるいは労働条件の引き下げといったものが行われる可能性が出てきます。そこで厚労省の雇用助成金制度というものがありますが、役所は違いますが是非そういったところを事業者にこういった所があるということも踏まえて事業の再構築が出来るようにしていただきたい。労働者にそういったしわ寄せが来ないような再構築が出来るようにお願いをします。
答弁:瓦林課長
運転代行についてはAB間輸送はそもそも道路運送法違反で、そういうことがあれば警察と一緒になって取り締まりをして、通常の白タク行為とかバスも含めてやっていますが、同じような形で摘発していくということになります。特定地域については要望としては承らせていただきます。両院の附帯決議からすれば今までの特定地域より厳しい基準になるので、論理的にはなかなか155というのは難しいとは思いますが、供給過剰が実際発生してるというもの、したがって労働条件が非常に悪かったところですからそういうところは読み込めるような基準作りをしっかり検討していきたいと考えています。雇用労働調整金の関係は自分自身勉強不足ですが、もし減車が進んでそういった雇用調整が必要な場面が出てくるとすれば大事なことでございます。私も別の分野でこういう話に携わったことがありますが、その場合厚生労働省と話をしてどういったことができるのか動いてみたいと思います。
質問者:全自交広島:松井中執
3点ほど質問します。広島は地域協議会におきまして学識経験者、地域住民ということで弁護士が3名出ています。それについての考えを聞かせて欲しい。2点目は運賃の異なる譲渡譲受の申請認可で広島交通圏の日の丸タクシーが譲受した際、運輸局が運賃申請の必要はないということで下限割れの520円で営業を行っている。その辺の説明をお願いしたいと思います。3点目として、現行の下限割れ運賃事業者が幅運賃に収斂しなかった場合変更命令が出されます。その時その事業者が訴訟をした場合結論が出るまで下限割れの運賃で営業が出来るのかお聞きしたい。
答弁:瓦林課長
広島のケースは1回中断して2回にわたって開かれたということで心配しておりまして事情も伺っています。広島の場合は特定のタクシー会社の弁護士さんが3名いて、確か有識者の枠に1人とあと利用者代表に2人入り合意形成の所で終わったということです。そのあと再度開いて先ず目前の公定幅運賃の意見については問題の無いように対応が行われています。将来的にはですが、ルールとして場合によっては、意見はそもそも協議会への出入りは自由という大原則がありますので入ることを拒むことはできません。ただ、合意形成に際しての議決権ということをどう考えるかといと、議決権についての一定の、誰でも来た人が入れるか、例えば消費者の代表ということで誰でも入れば会議として機能しないのでそこは座長の権限で議決権について定めることができるようなことができないか。特に特定地域になりますと法的な拘束力が議決の方から出てくるので、そういった地域に間に合うようにルールを用意しようと思っています。議決権の行使について例えば座長の判断で特に消費者代表とか誰でも入れるところは判断できるようなルール作りをしていこうと考えています。今内部で相談中ですが何れにしても円滑な運営が確保されるように工夫を凝らしてしていきたいと思っています。広島の日の丸さんの話は伺っておりませんが、今回何れにしても公定幅運賃に移行します。ただ変更命令と訴訟が起きた場合の関係については、まだ未体験ゾーンで司法の判断には従わなくてはいけないのでそこは法の制度がちゃんと貫徹されるような運用を心がけていますが、司法の判断というのはまた別です。その局面ではどうなるか申し訳ないとしか言いようがないのが正直なところです。
当日、ハイタクフォーラムから国土交通省若林審議官への要請文(PDF)