全自交労連は来る10月20・21日、神奈川県横浜市で開く第83回定期大会にて、2025年度の新たな運動方針(案)を提案します。今号紙面では、その要約版を掲載しました。大会にご参加の皆さまの活発な質疑・討論を経て、運動方針を確立し、ハイヤー・タクシー・自動車教習所で働く労働者の待遇改善を実現しましょう。
はじめに
ハイヤー・タクシー・自動車教習所で働く労働者の賃金と労働条件そして社会的地位を他産業以上に引き上げることができるのか、それとも、今までと同じ待遇のままで産業の衰退を招くのか、今こそが分岐点です。
物価が高騰し他産業で大幅な賃上げが続く現状だからこそ、全自交の運動によって、エッセンシャルワーカーに相応しい待遇を勝ち取らなくてはなりません。
タクシーにおいては、全ての地域で運賃改定や迎車料金の創設・引き上げを求め、適正な配分を勝ち取り賃金・労働条件の向上を実現することが最重要課題です。同時に公的支援による利用者負担の軽減などの対策を求めていきます。
ハイヤーにおいては、顧客に対する適切な価格転嫁を実現し、賃金・労働条件の改善を成し遂げるとともに、不適正営業が強く懸念される都市型ハイヤーの規制強化を求めます。
自動車教習所においては、大幅なベースアップと働きやすい職場環境の両立に取り組み、ダンピング料金の根絶等を求め運動します。
全自交労連の組織課題では、引き続き財政再建に注力するとともに、労働運動を担う次世代の育成を、特に重要な課題と位置づけ取り組みを強化します。
長年にわたる我々の粘り強い闘いにより、ライドシェア完全解禁の動きは停滞しています。しかし、万が一にも完全解禁が実現すれば、ハイタク労働者の生活と利用者の安全・安心が破壊されることになります。警戒を一切ゆるめず、絶対阻止の闘いを継続します。日本版ライドシェアについても、これ以上の緩和を許さず、終了させなくてはなりません。「地域公共交通は二種免許のプロドライバーが支える」という気概で、積極的に移動困難の解消に力を尽くします。
そして、自動運転タクシーの実用化を見据え、雇用と賃金を守るための対応を早急に検討します。
自民党や維新の会のライドシェア推進派を封じ込め、労働者の生活と国民の移動する権利を守る政治を実現するためには政権交代が必要です。2024年10月の衆院選では、全自交の支持する立憲民主党は50議席増の大躍進を遂げた一方で、2025年7月の参院選では、全自交が推薦する岸真紀子候補が見事当選を果たしたものの、ハイタク労働者のために力を尽くしてきた森屋隆候補が落選し、立憲民主党としても議席を伸ばすことができませんでした。我々はこの結果を重く受け止め、さらに政治闘争に力を注ぐ必要があります。
そして、安心して働き生活するためには、まず平和であることが大前提です。戦後80年という節目に当たり、平和を守り、核なき世界を実現するための運動に改めて力を注ぎます。同時に差別主義や排外主義と闘い、全ての人の人権が守られるよう運動します。
これら全ての課題に対し、我々は要求するだけの存在であってはなりません。
国民の移動を支えるエッセンシャルワーカーの責任と矜持をもって誠実に業務に当たり、全自交の旗の下で団結を強化し、勝ち取った信頼を支えに、力強く要求を実現していくことこそが我々に課された使命です。
政策面の取り組み方針
①ライドシェア完全解禁阻止
2025年度も引き続き、ライドシェアとの闘いを政策闘争の最優先課題と位置づけ、次の課題に取り組みます。
- ◆ライドシェア新法、ライドシェア合法化の絶対阻止
- ◆日本版ライドシェアの終了基準明確化と、タクシー不足解消地域での即時終了
- ◆都市部、交通空白地、観光地ごとの課題に沿ったタクシー供給対策の推進
- ◆ハイヤー・タクシーの安全・安心・品質の維持向上
なお、自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)については、タクシーやバスではカバーできない地域において、非営利を前提に運行する限り、反対ではありません。一方で、営利目的の企業による運行や、地域公共交通会議の同意を得ずに首長が独断で実施する運行等については、既存の地域公共交通を破壊するおそれがあり反対します。
②公共交通に相応しい賃金
価格転嫁と適正分配の推進
タクシーは公共交通機関であり、そこで働くハイタク労働者はエッセンシャルワーカー(社会に不可欠な労働者)です。
同じく自動車教習所の指導員・検定員も地域の交通安全センターとしての役割を果たすエッセンシャルワーカーです。
仕事の価値、社会的価値に相応しい賃金・労働条件を獲得するためにあらゆる運動に取り組みます。
特に賃上げの原資を獲得するための価格転嫁(運賃・迎車料金・教習料金)、そして賃金への適正な分配の実現に取り組みます。
③自動運転への対応
自動運転は現時点では、まだまだ不完全な技術であり、安全性に問題があります。一方で、世界中で自動運転には莫大な投資が行われ技術は日進月歩で進化しています。我々ハイタク労働者には、遠くない将来に自動運転タクシーが公道を走り出すことへの覚悟と対策が必要です。
19世紀における機械打ちこわし運動「ラッダイト運動」が成功しなかったように、自動運転そのものの導入を阻止する闘いは勝算が薄いと言わざるを得ません。導入は避けられないものと認識しつつ、3つの目標(右下の囲み)を全自交労連の自動運転対応方針とすることを提案します。
④プラットフォーマーの規制
プラットフォーマーによって現場で働く労働者や現場の経営者が不当に搾取される未来を決して許してはなりません。しかし、顧客情報を握り、配車の仕組みをAIで管理するプラットフォーマーに対抗するためには行政による規制が不可欠です。新たな規制の策定に向けた運動を強化します。
⑤タクシーへの公助獲得
交通空白を解消し、住民の移動の足・移動する権利を守らなくてはなりません。その対策の中で、様々な新たな取り組みが実施されようとしていますが、まず最優先されるべきことは、いまあるタクシー・鉄道・バスという陸上の公共交通をしっかりと守り抜くことです。
国や自治体に対し
- 地域の移動を支える現場の労働者への直接支援
- 地域の移動を支える事業者への支援
- 経済的な事情を抱える利用者、交通弱者、免許返納した高齢者等のタクシー利用負担を軽減するための支援
等の公助拡大を求め、タクシーを中心とした持続可 能なくらしの足の確立を目 指します。
⑥再びタクシー事業法を
台数と運賃の適正なバランスは、ハイタク産業の肝です。この規制をないがしろにすることは、再びタクシー規制緩和の悲劇を繰り返すことを意味し、利用者の安全・安心とハイタク労働者の生活を破壊します。適正化・活性化を完遂するために、再びタクシー事業法の成立を追い求めます。トラック業界で事業更新制を盛り込んだトラック新法が成立したことを見ても、決して不可能なことではありません。しかしそのためには再び政権交代を実現し、我々労働者の発言力を強化することが不可欠です。
自動運転への対応方針(案)
①【短期目標】
自動運転タクシー実用化後も、ハイヤー・タクシー・自動車教習所労働者の、雇用と賃金を守る。自動運転タクシーと有人タクシーの間で、運賃や台数を含めて「公正な競争」を成り立たせる。
②【中期目標】
若い世代の仲間、これからハイヤー・タクシー・自動車教習所業産業に就職する仲間の将来を保証し、不安なく働き続けられるようにし、生涯職業としての魅力を守る。
③【長期目標】
50年、100年後には殆どのハイヤー・タクシーが無人運転になるとしても、労働者が誰一人取り残されることのないよう、長期間でのソフトランディング「公正な移行」を実現する。