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最賃63円超アップへ

タクシーは全国で運賃改定

今年も大幅に最低賃金が上がります。中央最低賃金審議会は8月4日、全国加重平均で63円の目安額を決定。8月終盤にかけ各地の最低賃金が決まりますが、すでに10都県は確定しました(左表)。タクシー業界は賃金向上のため、全国で再度の運賃改定に取り組んでいます▽2面に特集

最低賃金を1500円の水準まで上げることは与野党で一致した公約であり、少なくとも数年間は大幅な引き上げが続く見込みです。

タクシー産業をはじめとする中小企業からは「最賃の支払いが困難」という声も多く上がっていますが、日本の賃金は先進国の中で最低水準であり、さらには国内の物価高騰にも賃上げが追い付いておらず、この国の未来のために、賃金の底上げは欠かせません。

タクシー産業が生き残るためには、運賃改定と賃金への適正な分配、営業方法の工夫と公的支援の獲得などに努め、持続的に賃上げができる環境を整えるしかありません。

また地域間の賃金格差を縮めることも重要な課題です。下の表は中央審議会の目安額、上の表は実際に地方最低賃金審議会で決まった都道府県ごとの最賃額ですが、双方を見比べると、元々の最賃額が低いB・Cランクの地域では目安を上回る傾向が顕著になっています。昨年は徳島で目安より34円も高い最賃が決まった例もありました。

中央最低賃金審議会
の示した目安額
ランク 引上額 都道府県
A 63万円 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
B 63万円 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
C 64万円 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

戦後80年 平和の誓い

繰り返さぬ加害と被害

80年目の終戦記念日の8月15日、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で、平和フォーラムが主催する「戦争犠牲者追悼、平和を誓う8・15集会」が開かれました。全自交労連も献花を行い、全ての戦争犠牲者に対し、不戦の誓いを新たにしました。

総力戦となった太平洋戦争では、徴用された船員(商船や漁船)の約43%、6万331人が命を落しました。これは軍人・軍属の死亡率約20%をはるかに上回ります。戦争で亡くなるのは兵士だけではありません。

原水爆禁止世界大会

核と人類は共存できない

広島大会・開会総会

長崎大会・閉会総会

被爆80周年の節目となる原水爆禁止世界大会が、福島・広島・長崎の各地で開催されました。全自交東京地連より広島と長崎に合計9名が参加したほか、全自交長崎県タクシー労働組合が運営側の一員として、長崎大会の成功をサポートしました。

被爆地を訪れた参加者は、核兵器のもたらした被害と脅威について実感を深め、すべての核被害者とすべての戦争被害者へと黙とうをささげ、再び過ちを繰り返さない決意を新たにしています。

各国より、核廃絶・核軍縮に取り組む方々をゲストとして招いてシンポジウムを開き、世界から核兵器をなくす為の具体的道筋を議論しました。

広島大会には日交労働組合より星元陽副委員長ら3名、帝都自動車交通労働組合より玉川禎副委員長ら2名が参加。長崎大会には、日交労より溝上泰央委員長ら2名、帝都自交労組より鈴木剛生書記次長ら2名が参加しました。

定期大会

青ナンバー

熊本で豪雨による甚大な被害が発生している▽本稿を執筆している8月13日時点では、全自交熊本地方本部の仲間とその家族に直接の被害は確認されていないが、大きな被害を受けている時ほど確認には時間を要する。どうか生命・財産とも無事であってほしいと心より祈るばかりだ▽ニュースによれば、熊本市タクシー協会に加盟する55社中21社で車両水没などの被害が発生しているという。また現地からの報告では、発災当初、熊本市内に二か所しかないLPガススタンドがともに水害にあいガス充填もままならない状況とのことで、経営に与える影響も大きくなりそうだ▽災害によって雇用が失われることのないよう国や自治体には支援を求めたい▽先日にはカムチャツカ沖の大地震により日本の広範囲に津波警報が発令される事態もあった▽乗務中にこのような災害が生じた際にどうすべきか。実車中と空車中、車での避難が可能な場合と車を捨てて逃げることが必要な場合などケースは様々だ▽改めて、対応を労使で確認し、乗務員と乗客の生命を最優先する措置を周知徹底していただきたい。 K・T

特集 タクシーと運賃改定

日本のタクシーの歴史は、今年で113年。いつの時代のタクシー乗務員も、その時々の『運賃制度』に生活を左右されてきました。

2022年から24年にかけ、全国でタクシー運賃改定が実現しましたが、今年に入り再度の運賃改定の機運が高まっています(左表)。この流れが軌道に乗れば、かつて「2年ローテション」と呼ばれた定期的な運賃改定の時代が再来することになります。

最低賃金も物価も上昇し続ける中、ハイタク労働者の待遇を確保するため、運賃改定や迎車料金の設定を後押しし、同時に、労働者への適正な分配を求めていきましょう。

タクシーの歴史は、運賃の歴史であり、同時に運転者の地位と待遇をめぐる歴史にほかなりません。

タクシーの運賃と物価の推移

※1 典拠 「ハイヤー・タクシー年鑑」、「政府統計局・小売物価統計調査」
※2 2022年と2025年の米価は全国平均ではなく東京都区部の平均

戦前・戦後のタクシーと運賃

昭和2年、東京で走り始めた市内均一1円の「円タク」。
当時は助手席に助手が乗るツーマン運行。助手は修理や客引き役を務めた。

1907年(明治40年) タクシーの誕生前夜、大工さんの1日の手間賃が1円の時代に、日本最初の「運転手付貸し自動車」の料金は1時間7円と超高額。
1912年(大正元年) 山手線1区間が5銭の時代、東京で日本初のタクシーが誕生。メーター料金は初乗り1・6キロ60銭、加算0・8キロ10銭、待ち料金5分10銭と、高額。大卒の初任給15円に比べ、タクシー運転者はチップ込み月収100円以上の高給取りで「銀行の支店長以上」とも言われた。
1925年(大正14年) 大阪で市内均一1円タクシーが運行開始。3年後には東京でも市内均一1円が走り出し主流に。金融恐慌、昭和恐慌と続く大不況の時代であり、値下げ交渉や客の奪い合いは当たり前。「円タク」のはずが50銭、30銭になることもしばしばだった。タクシー運転者の待遇は悪化。営業権の名義貸しや日雇いもあった。
1938年(昭和13年) 業界待望のメーター運賃が復活。初乗り2キロ30銭など。一方で戦時統制も進み、ガソリンの配給切符制や流し禁止などの規制もかかった。
1952年(昭和27年) 戦後初の運賃改定。初乗り2キロ100円など車種による3段階。しかし次の運賃改定までは12年間もの期間が生じ、その間、低賃金に苦しみ、過酷なノルマに追われた乗務員の無謀運転は「神風タクシー」と呼ばれ、社会問題となった。当時のタクシー経営者による「運転手なんてゲタだよ。ハナオが切れたらすげかえるより、新しいのを買った方が安上がり」という言葉は当時の状況をよく表している。
1970年(昭和45年) 乗車拒否の多発などを背景に、運転者の待遇改善を目的として時間距離併用制、深夜早朝割増の導入を含む大幅な運賃改定が実現。以降約20年間、2~3年ごとに運賃改定がある「2年ローテーション時代」が続いた。
1992年(平成4年) 全自交をはじめとする労働側団体と、東京や神奈川のハイタク協会は、運賃改定に当たり「労働条件改善分を確実に還元する」内容で労使の団体協定を締結した。
1990年代初頭~2000年代 バブル崩壊と規制緩和の大波のなか、下限割れ運賃、ワンコイン、5・5遠割などタクシーの安売り競争が激化。タクシー運転者はワーキングプアの代名詞となる。
2005年(平成17年) 全自交労連は、ダンピング運賃を認可した国の責任を追及する国家賠償請求訴訟、通称「全自交裁判」を提訴。タクシーの低賃金を社会問題として世論に訴え、再規制への流れをつくった。
2007年(平成19年) 東京では15年ぶりの運賃改定。国交省は改定の増収分が運転者の待遇改善に担保されるよう、審査基準を改正。92年に続き、東京ハイタク労働6団体は東旅協と、労働条件改善に関する確認書を締結。
2014年(平成26年) 改正タク特措法で公定幅運賃制度がスタート。下限割れのダンピング運賃が違法となる。
2022年(令和4年) 10数年ぶりの運賃改定ラッシュ。25年までに全国全地域で運賃改定が取り組まれた。
2025年(令和7年) 再度の運賃改定。2年ローテーション時代の再来なるか。

ハイタク労働者の待遇改善闘争は、戦後に労働組合を通じて本格化。1959年には、東京のタクシー会社「メトロ交通」の賃上げ闘争(378日スト)で、大阪本社と直接交渉するため81台のタクシーが東京からデモ走行し大阪城で集会を開いた。

増殖する「都市型ハイヤー」

都内で6千台にせまる

一般市民の告発

いま、緑ナンバーの『都市型ハイヤー』による、名義貸し疑惑や二種免許不保持者の乗務疑惑など、不適正営業の疑いが大きな問題となっています。

先日、全自交労連本部には大阪市阿倍野区在住の一般市民の女性より一件の相談の電話が寄せられました。女性の自宅周辺は、民泊の特区に指定されており「朝も夜も、家の前の道にハイヤーが出入りし、長時間停車していて、歩行者も自転車も出にくい。方向転換のために人の家の駐車場に入ってくる時もある。近くの大通り沿いにも何台もハイヤーが駐停車している」と言います。また「ハイヤーというと、制服を着てビシッとしたイメージだけど、家の近所に止まっているハイヤーの運転者はラフな私服で、言葉も中国語しか話さないようだ。乗客は中国人で、大きなトランクを積んで民泊から送迎をしている。普通の緑ナンバーとは思えない。本当に二種免許をもっているのかと思う。国は、こういう怪しい緑ナンバーのことをきちんと調べて取り締まってほしい。迷惑な規制緩和なんかいらない、タクシーで稼げるようにしてタクシーを増やして」という内容でした。

また、全自交京都地連の櫻井邦広執行委員長は7月、京都の都市型ハイヤー台数が1年で5倍に増えたことや、名義貸しの疑惑などに触れ、制度の検証を求める意見を全自交関西地連の機関紙に寄稿しました。

「都市型ハイヤー」は、改正タクシー特措法の台数規制の枠外となっており、自由に新規許可や増車ができるため、ここ数年で事業者数も台数も急増。外国人観光客の多い都市部では、このような『都市型ハイヤー』の怪しい運行実態が問題となっています。

業界紙の報道によれば、関東運輸局の管内では、今年3月末現在、415社の6823台が都市型ハイヤーの営業許可を得ており、わずか1年の間に82社1921台もの増加を記録。415社6823台のうち268社5612台が東京特別区・武三に集中しています。また大阪府でも66社901台の都市型ハイヤーが存在するようです。

都内で新規許可を受けた事例の中には、事業所の所在地がアパートの一室となっている例もあり、適正な事業運営を行っているのか疑念を持たざるを得ません。

都市型ハイヤーとは?

そもそも、なぜ「都市型ハイヤー」は台数規制の対象外なのでしょうか。ことの起こりは2014年、改正タクシー特措法が施行された当時にさかのぼります。当時のルールでは、全てのハイヤーはタクシーと違って台数規制の対象外となっていました。しかし、配車アプリを通じて、まるでタクシーのようにハイヤーを配車するサービスが登場していたことから、規制の抜け穴となることが懸念されたのです。そこで、1日以上の専属契約または2時間以上の運送契約を前提としたハイヤーを「都市型ハイヤー」、短時間の運送ができるハイヤーを「その他ハイヤー」、に区別し「その他ハイヤー」をタクシーと同じ台数規制の枠内に入れました。つまりは、「都市型ならいくらでも増やしていい」という趣旨ではなく、「タクシーの需給に直接影響しないハイヤーのみ増車を認める」というのが制度の趣旨でした。

このように「もっともハイヤーらしいハイヤー」が本来の都市型ハイヤーであり、今も都市型ハイヤーとして健全に営業している企業も多くあります。その一方で、「新規許可・増車ができる」という点のみがクローズアップされた結果、インターネット上には行政書士等の「都市型ハイヤー開業支援」をうたうホームページが溢れ、本来の規制の趣旨とは違う形の「都市型ハイヤー」が急増してしまいました。

一刻も早く再規制を

本来、違法・不適正な営業を取り締まるのは行政の役割です。しかし、雨後のタケノコのように増える都市型ハイヤーの事業者数に比して、運輸支局の監査人員は全く不足しており、実態解明すらままならない状況にあります。また純然たる白タクとは異なり、緑ナンバーを付けている以上、警察が取り締まることも困難です。

全自交労連のハイヤー部会は以前から都市型ハイヤーの実態解明と規制強化を求めてきましたが、さらに強く再規制を求め、運動を強化します。

ハイヤー・タクシーは人の命を乗せて走る仕事です。経営者が日本人であれ外国人であれ、適正に法令を守った運行を求め、乗客の命と安全を守っていかなければなりません。


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