一般市民の告発
いま、緑ナンバーの『都市型ハイヤー』による、名義貸し疑惑や二種免許不保持者の乗務疑惑など、不適正営業の疑いが大きな問題となっています。
先日、全自交労連本部には大阪市阿倍野区在住の一般市民の女性より一件の相談の電話が寄せられました。女性の自宅周辺は、民泊の特区に指定されており「朝も夜も、家の前の道にハイヤーが出入りし、長時間停車していて、歩行者も自転車も出にくい。方向転換のために人の家の駐車場に入ってくる時もある。近くの大通り沿いにも何台もハイヤーが駐停車している」と言います。また「ハイヤーというと、制服を着てビシッとしたイメージだけど、家の近所に止まっているハイヤーの運転者はラフな私服で、言葉も中国語しか話さないようだ。乗客は中国人で、大きなトランクを積んで民泊から送迎をしている。普通の緑ナンバーとは思えない。本当に二種免許をもっているのかと思う。国は、こういう怪しい緑ナンバーのことをきちんと調べて取り締まってほしい。迷惑な規制緩和なんかいらない、タクシーで稼げるようにしてタクシーを増やして」という内容でした。
また、全自交京都地連の櫻井邦広執行委員長は7月、京都の都市型ハイヤー台数が1年で5倍に増えたことや、名義貸しの疑惑などに触れ、制度の検証を求める意見を全自交関西地連の機関紙に寄稿しました。
「都市型ハイヤー」は、改正タクシー特措法の台数規制の枠外となっており、自由に新規許可や増車ができるため、ここ数年で事業者数も台数も急増。外国人観光客の多い都市部では、このような『都市型ハイヤー』の怪しい運行実態が問題となっています。
業界紙の報道によれば、関東運輸局の管内では、今年3月末現在、415社の6823台が都市型ハイヤーの営業許可を得ており、わずか1年の間に82社1921台もの増加を記録。415社6823台のうち268社5612台が東京特別区・武三に集中しています。また大阪府でも66社901台の都市型ハイヤーが存在するようです。
都内で新規許可を受けた事例の中には、事業所の所在地がアパートの一室となっている例もあり、適正な事業運営を行っているのか疑念を持たざるを得ません。
都市型ハイヤーとは?
そもそも、なぜ「都市型ハイヤー」は台数規制の対象外なのでしょうか。ことの起こりは2014年、改正タクシー特措法が施行された当時にさかのぼります。当時のルールでは、全てのハイヤーはタクシーと違って台数規制の対象外となっていました。しかし、配車アプリを通じて、まるでタクシーのようにハイヤーを配車するサービスが登場していたことから、規制の抜け穴となることが懸念されたのです。そこで、1日以上の専属契約または2時間以上の運送契約を前提としたハイヤーを「都市型ハイヤー」、短時間の運送ができるハイヤーを「その他ハイヤー」、に区別し「その他ハイヤー」をタクシーと同じ台数規制の枠内に入れました。つまりは、「都市型ならいくらでも増やしていい」という趣旨ではなく、「タクシーの需給に直接影響しないハイヤーのみ増車を認める」というのが制度の趣旨でした。
このように「もっともハイヤーらしいハイヤー」が本来の都市型ハイヤーであり、今も都市型ハイヤーとして健全に営業している企業も多くあります。その一方で、「新規許可・増車ができる」という点のみがクローズアップされた結果、インターネット上には行政書士等の「都市型ハイヤー開業支援」をうたうホームページが溢れ、本来の規制の趣旨とは違う形の「都市型ハイヤー」が急増してしまいました。
一刻も早く再規制を
本来、違法・不適正な営業を取り締まるのは行政の役割です。しかし、雨後のタケノコのように増える都市型ハイヤーの事業者数に比して、運輸支局の監査人員は全く不足しており、実態解明すらままならない状況にあります。また純然たる白タクとは異なり、緑ナンバーを付けている以上、警察が取り締まることも困難です。
全自交労連のハイヤー部会は以前から都市型ハイヤーの実態解明と規制強化を求めてきましたが、さらに強く再規制を求め、運動を強化します。
ハイヤー・タクシーは人の命を乗せて走る仕事です。経営者が日本人であれ外国人であれ、適正に法令を守った運行を求め、乗客の命と安全を守っていかなければなりません。