①ライドシェア新法阻止
ライドシェア完全解禁阻止は最重要の政策課題です。
解禁派の主張する「IT事業者などのプラットフォーマーが直接運営する形でライドシェア業を創設し、台数も運賃もエリアも制限なく、ドライバーは雇用ではなくフリーランスの請負契約で働かせられる制度を法律で定めろ」という〝ライドシェア新法〟が実現すれば、利用者の安全・安心が破壊され、雇用契約を前提として守られてきた日本の労働者の権利が破壊され、タクシーだけでなく鉄道やバスも含めた地域公共交通がズタズタに破壊されます。
当然、タクシーの売上と我々の賃金は激減し、多くのタクシー会社が倒産することになります。なんとしても阻止しなければなりません。
我々は、世界最高水準のハイヤー・タクシーを現場で担う者として安全性と品質をさらに向上させ、職業の魅力を高めて公共交通機関としての役割を果たさなければなりません。利用者からの信頼こそ、我々自身の職業と生活を守る最後の砦となるのです。
その一方、ライドシェア解禁派の真の狙いが「手数料ビジネス」や「無権利労働を拡大すること」ならば、「移動困難」が解消しても、彼らが〝ライドシェア新法〟をあきらめることはありません。ですから我々は、ライドシェア新法を阻止し公共交通を守る国民運動の展開を目指します。
②規制せよ!プラットフォーマー
日本の法律上、配車アプリを運営するプラットフォーマーは「運送事業者」ではなく、「旅行事業者」として登録しているため、「道路運送法」の規制がおよびません。タクシーを所管する国土交通省の物流・自動車局や、各運輸局にも、プラットフォーマーを指導する権限がないのです。またタクシー運賃が厳格に規制されている一方で、配車アプリを通じてプラットフォーマーが徴収する料金には規制がありません。
年々、タクシー配車アプリの利用率が高まる中で、プラットフォーマーに対し、行政が何の権限も持たない状況には非常に問題です。ましてライドシェア解禁派は、プラットフォーマーに直接運営をさせろと主張しているのであり、規制権限が全くない状況を放置すれば、コントロールが不可能となります。
現場で実際の仕事を担う労働者や企業が搾取され、プラットフォーマーだけが利益を上げるという構造も極めて大きな問題です。適正な規制を早急に、実現させなければなりません。
③二種免許を守る
日本型ライドシェアや、自家用有償旅客運送の緩和について、全自交労連は1月の中央委員会で、「様々な懸念はあるが、まず全国で移動困難者の解消に取り組まなくてはならないことを理解する」との姿勢を確認しました。実際に日本型ライドシェア等を実施したことが、ライドシェア完全解禁を先送りする為の大きな力になりました。
◎日本型ライドシェア
一方で、二種免許を必要としない旅客輸送に対し、プロドライバーである我々が諸手を上げて賛成することはできません。突貫工事で制度設計された日本型ライドシェアには懸念も多く、二種免許の価値・プロドライバーが担ってきた安全の価値を低下させることにつながり、悪意ある事業者によってはドライバーの人件費コストカット手段としても悪用されかねません。
従って全自交労連では、日本型ライドシェアの悪用や濫用を厳しく監視し、利用者の安全やハイタク乗務員の収入に悪影響が出ないよう、常に制度の見直しを求めていくとともに、「移動困難の状況」が解消され次第、ただちにこのような例外的措置を終了するよう強く要求します。「どういう条件を満たせば終了するのか」という基準すらない現状は大きな問題です。
法人タクシー業界からは「日本型ライドシェア制度の恒久化」を主張し「一般タクシーでも車両持ち帰りや賃金の日払いなど『リース型経営』の発展形と成り得る」との声が出ていますが、決して容認できません。強く抗議します。
◎自家用有償旅客運送
自交労連は、移動困難解消のために適切な形で実施される自家用有償旅客運送には反対しません。一方で自家用有償旅客運送制度を、実質的に営利目的のライドシェアとして利用し、既存の地域公共交通の存続を脅かす行為は、認めるわけにはいきません。
労働組合として、地域公共交通会議に参加し積極的に発言していくことが重要です。
⑤持続可能な公共交通
タクシー不足とされる状況は要員不足によるものであり、改正タクシー特措法に基づいた台数と運賃の規制は、今後も必要であり、将来的にタクシー事業法の成立を求めます。同時に、物価上昇に合わせ、タクシーの運賃改定も継続的にスピード感をもって実施されなければなりません。運賃改定に際して労働分配率の改悪を行うような利己的な事業者に対しては、全力で闘い、国にも対策を求めます。
【国に求める事項】
乗務員の採用・育成支援の継続と拡大▼燃料高騰支援▼公共交通の利用促進に対する支援▼運賃改定後、賃下げや労働分配率改悪を行った事業者への指導と是正措置、補助金の対象からの除外 など
【自治体に求める事項】
地域公共交通事業者への支援金▼タクシー乗務員などへの直接の支援金▼タクシー乗務員の採用支援▼移動困難地域における、デマンド・乗合・定額制タクシーなどの実施と、財政支援▼移動困難者らに対するタクシー利用券の支給や、タクシー運賃の負担軽減補助 など
⑥自動運転について
自動運転はあくまでも人材不足の補手段に過ぎません。接客・接遇サービス、バリアフリー対応、災害や悪天候、マシントラブルやシステムトラブルなどを考慮すれば完全自動運転が実用化されても、有人タクシーは必ず必要になります。
若い世代の仲間や、これからタクシー業界に就職する未来の仲間の不安を解消するためにも、完全自動運転の実現後もしっかり雇用が確保されるよう、法整備も含めた検討を呼び掛けます。
⑦白タク根絶・代行適正化
外国人観光客の増加に伴い、空港や観光地では違法な白タクがまん延しています。警察庁や国土交通省に対し、厳しい取り締りを求めます。また運転代行業の適正化に向け、悪質事業者による白タク行為やAB間輸送の取り締まりを警察庁や国土交通省に求めます。
≪ライドシェア解禁派の主張する「新法」の概要≫
※「タクシー事業者以外の者によるライドシェアに係る法制度に関する規制改革推進会議意見」より
- ①ライドシェア業を創設し、様々な企業の参入を可能とするべきだ
- ②ドライバーを確保するため、好きな時間に自由に働ける働き方(雇用契約ではなく、請負・業務委託契約)を認めるべきだ
- ③ドライバーの運行管理を対面で行うのはアナログ。デジタル技術を活用してアプリなどで遠隔で運行管理する方が優れている。
- ④ライドシェア業については、台数や地域、時期、時間帯に制限を設けるべきではなく、全国的に運行を認めるべきだ(※別の文書では運賃 の完全自由化も主張)
- ⑤2025年の通常国会での法案提出を視野に、年末に向けただちに法案化作業を開始すべきだ
日本型ライドシェアの運行状況
| 台数の割当を受けた事業者数 |
大都市部12地域 |
=424社 |
| その他19地域 |
=115社 |
| うち、許可を得た事業者数 |
大都市部12地域 |
=360社 |
| その他19地域 |
=66社 |
| 登録ドライバー数 |
=3,943人 |
| 延べ稼働台数(時間枠ごとに稼働した台数の計) |
=22,969台 |
| 総運行回数 |
=138,168回 |
| 1台1時間当たり運行回数(タクシーは約0.7回) |
=約0.9回 |