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ニュース > 2023年8月25日掲載
目安以上の大幅引き上げも
各都道府県で新たな最低賃金額が次々と決まっています。今年は、過去最大の引き上げとなり、ほとんどの地域で40円超のアップ。島根県の47円増をはじめ、中央最低賃金審議会の定めた目安を大幅に上回る地域最低賃金を決めた県もありますが、ガソリンや食品など物価の高騰を考えれば、まだまだ十分な水準ではありません。「最賃が高すぎる」というハイタク事業者の声も聞かれますが、他産業と人材獲得を競うためには、最低賃金をはるかに上回る賃金が必要です。
地域最低賃金を支払わない事業者には、最大で労働者1人ごとに50万円の罰金が科されます。事業者には適正な労働時間管理と適正な賃金の支払いを求めます。
一方、タクシーの需要が極端に少ない地域では、最低賃金を担保するだけの営業収入を確保できない状況もあります。国に対し、中小企業に対する支援を求めていく必要もあります。
組合員宅も浸水被害
7月15日前後の豪雨により、秋田県では多くの地域で氾濫が発生し、建物や車の浸水被害が生じました。全自交秋田地連(加藤直人委員長)から寄せられた被害報告(7月23日時点)によれば、秋田地連の組合員の自宅4軒で床上浸水、6軒で床下浸水、自宅に隣接する小屋2件の浸水被害が生じており、自家用車の浸水被害も複数件、発生しています。また自主経営の湖東タクシー(五城目町)では事務所が浸水し復旧作業に追われました。
全自交労連本部は四役会で任意カンパの要請を決定。苦しむ仲間のためにカンパの協力を呼び掛けています。
氾濫直後の秋田市内の住宅街
浸水した五城目町の湖東タクシーの営業所。㊨壁の白くなっている部分が浸水した水位㊧駄目になった畳の撤去など後片付けに追われました
いまは戦後か戦前か?
福島・広島・長崎で原水爆禁止世界大会が開催
8月15日を迎え、終戦から78年の時が経過しました。全自交労連は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑において、平和フォーラムの戦争犠牲者追悼集会に参加し、全ての戦争犠牲者に哀悼の意を捧げました。また原水爆禁止世界大会にも参加し、二度と核の被害者を生み出さない決意を新たにしています。ロシアによるウクライナ侵攻や中国の拡大政策により、日本も防衛費を大幅に増額し、現在は「新たな戦前」とも呼ばれます。そんな今だからこそ、家族や家を失う苦痛、祖国の土を二度と踏めぬ悲しみ、人を殺す苦しみ、そういった戦争のもたらす痛みに改めて目を向け、戦争を回避する努力をしなくてはなりません。
ライドシェア解禁論を改めて考える
交通の安全と労働を考える市民会議は、7月30日、東京都立川市で「ライドシェア解禁論を、いま改めて考える集会」を開催しました。東京交運労協三多摩ブロックとの共催です。労働者はもとより、多摩のタクシー事業者や自治体議員が多数参加しました。
まず国際運輸労連(ITF)の浦田誠政策部長が講演=写真。海外の実例を基に、あらゆる角度からライドシェアの問題点を指摘し、解禁論が進む日本の現状に警鐘を鳴らしました。講演の趣旨は
全自交がX(旧ツイッター)で発信中です。日本労働弁護団常任幹事の菅俊治弁護士が働き方の問題を講演しました。
東京交運三多摩ブロックの大和田實幹事(全自交東京地連・三多摩交通労働組合事務局長)と、東京ハイヤー・タクシー協会三多摩支部の神田康裕支部長が労使双方の視点で交通の課題を語りました。
菅俊治弁護士
労働者性の議論も必要
菅俊治弁護士は、ライドシェアなどの業態で、個人事業主として働かされる人たちの課題ついて講演。海外では「労働者である」と認める司法判断や立法が進んでいる一方で、日本はその議論が遅れていることを指摘し、労働者性の面からもライドシェア解禁論に対抗する必要を述べました。
全自交労連は市民会議で得られた知識を生かし、X(旧ツイッター)で「ライドシェアのここが駄目」という投稿を行っています。ライドシェア問題への理解を深め、組合員の仲間や社会に周知するためにご活用ください。
交運労協 住野敏彦議長
地域交通の変更点と課題
市民会議の集会には、交運労協の住野敏彦議長が講師として参加。国土交通省のラストワンマイルモビリティ検討会の内容を説明し、地域交通政策の変更点や、課題について講演しました。
住野議長は、国交省の改革案に対し全体的には理解を示しつつ、遠隔点呼を別の事業者同士でも認める方針については「『労務管理や事故等の対応ができるのか。問題が大きい』と検討会で意見した。『実証実験をしながら問題があれば是正する』とのことだが、拙速すぎる」との考えを述べています。
また、学生や障害者に対する割引を民間の交通事業者が負担し続けることの限界を指摘。「いくら制度改正をしても働く人がいなければ無意味だ」とし、交通に関する予算をしっかり確保し、労働者の待遇改善につなげることを求めていく考えを示しました。
三交労・大和田氏
もっと自由な働き方を
三交労の大和田實事務局長は、多摩地域での乗合タクシーの事例を紹介。また、法人タクシー乗務員を増やすため、働き方に関する大胆な提言を行いました。
「若い乗務員が個人タクシーになる最大の理由は、働き方の自由度だ」とし、労働組合がしっかりと関与し労働者の権利を守ることを前提に「法人でも、個人タクシーのような働き方、リース制のようなものを検討すべきではないか」と課題提起しました。
課題は次世代への継承
長崎市の平和公園に置かれた石碑。長崎市では当時の人口約24万人のうち約7万4000人が亡くなり、7万人以上が負傷したと推定されます。さらに広範囲に放射線の被害が生じ、生き残った人を苦しめています。
また長崎では爆心地から半径12キロ内にいて放射線を含んだ灰や雨を浴びたも関わらず、住所が長崎市内等ではなかったという科学的根拠のない理由で被爆者と認定されなかった人が大勢います。このような人たちは「被爆者」ではなく「被爆体験者」とくくられ、被爆者手帳の交付や医療費の手当を受けることができないまま苦しんでおり、国と15年間にわたる裁判闘争を闘っています。
爆心地から約800m、片側を吹き飛ばされた山王神社の鳥居。爆心地から半径1km以内は、1800度以上の熱線と、ほとんどの建物を瞬時に破壊する爆風にさらされました。熱と爆風から生き残った人も放射線により、大多数が亡くなりました。
被爆の実相をどう次世代に継承していくかをテーマに、8月8日に開かれた原水禁・長崎大会の分科会。被爆者の川野氏、川副氏、被爆者二世の崎山氏、平野氏が講演しました。5歳の時に長崎で被爆した川野氏は原爆投下の数日後に「枕元に消し炭の入ったバケツが置いてある。
『これはなんだ』と親に聞いたら、『浦上(爆心地付近)に住んでたおばあちゃんよ』と言われた」と肉親を亡くした思いを語りました。会場を訪れた高校生や大学生から質問が相次ぎ、「平和のための行動に参加したいと思うがどうすれば良いですか」といった声も上がりました。
戦争犠牲者を追悼
8月15日には野尻雅人書記次長、本田有書記次長が平和フォーラム主催の戦争犠牲者追悼集会に参加。全ての戦争犠牲者への追悼と平和への思いを込め、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で、野尻書記次長が献花を行いました。
これからも「支え合い」で歴史を刻む
日交労の歴史を紡いできた歴代OBも多数参加。代表して阿部元委員長(右)と伊藤前委員長(中央)があいさつ。
溝上委員長(左)を激励しました
全自交東京地連に加盟する日交労働組合(溝上泰央執行委員長)は、7月20日、東武ホテルレバント東京で結成50周年の記念祝賀会を開催しました。
日交労は溝上委員長をはじめ、歴代の全自交労連本部中央執行委員長を多数輩出してきた全自交の中核組織。その半世紀を祝うため、来賓や組合員ら200人超が参加する盛大な式典となりました。
溝上委員長は「1972年5月24日、様々な背景があった中で、『日本交通労働組合』の分裂を決断した先人が、この『日交労働組合』を立ち上げてから、昨年で半世紀、50年の節目を迎えることができました」と困難な組織分裂の中から誕生した日交労の歴史に触れ、来賓や参加者にこれまでの感謝を述べました。
そして「われわれ日交労働組合はこれからも、今日までの努力と伝承を発展させ、助け合い、支え合いの精神で60年、70年と歴史を刻んでいく所存です。皆さまには変わらぬご指導ご鞭撻をお願いします」と、運動の継承と発展に向けた思いを語りました。
来賓を代表し、全自交労連本部の松永次央書記長、全自交東京地連の見須一隆委員長、日本交通グループ連絡協議会の大松啓治議長、日本交通の川鍋一朗会長、日交労の阿部優元委員長、伊藤実前委員長があいさつ。全自交の仲間だけでなく、国際労働組合の代表者も来賓出席し、関係団体からも来賓多数が参加しました。
会場内では成立の経緯から、現在までの運動を振り返る動画が上映され、50周年記念誌も配布されました。
藤田健一書記長が進行役を務め、中谷文雄常任中央執行委員が乾杯の音頭をとり、最後には星元陽副執行委員長が閉会の辞を述べました。
余興では芸人の神奈月さんが登場。
武藤敬司のものまねで会場をわかせました
歴代委員長がエール
8年間にわたり委員長を務めた阿部優元委員長は、経営再建期の厳しさを紹介し、「銀行には『いざとなったら組合が会社を支える』とまで言った。組合は反対ばかりしてきたわけではない。我々も会社を支えてきた」と語りました。
また会社が増車をした際に、苦悩した思いも振り返り「大変な時こそ、間違っているかもしれないが決断が必要だ。
働いている者の幸せを第一に考えて判断してほしい」と激励の言葉を贈りました。
一昨年まで10年間委員長を務めた伊藤実前委員長は「日交労の良いところは開かれた民主的な運営。例え対立やトラブルがあっても、最後は一つにまとまれる団結力です。だからこそ、厳しい状況を労使一体で乗り越え、ブランド力を向上させ、営収の増加につなげることができた。今は産業の未来を左右する転換期にあるが、日交労は全国の最大組織としてリーダーシップを取って運動を前進させてほしい」と思いを託し、平和運動への取り組み強化にも期待を込めました。
川鍋会長も感謝
経営側は、日本交通の川鍋一朗会長、若林泰治社長ら役員総出で出席。川鍋会長は「一人一人の乗務員さんの日々の頑張りに心から感謝します。皆さんが品質を維持し、変化し続ける姿勢を持つ限り、タクシーは不滅」とあいさつしました。
また全タク連の会長として提案していた、2種免許なしでタクシーに乗務する「限定乗務員制度」については「一時保留にして、先にできることをしたい」と表明。ライドシェアを阻止していくためにも、乗務員の確保に最優先で取り組む方針を語りました。
全自交関西地連
全自交関西地連(櫻井邦広委員長)は、8月6日に2023活動家学習会を大阪市中央区の大阪府立労働センター(エルおおさか)で開催し、10単組36
名が参加しました。立憲民主党の森屋隆参議院議員(タクシー政策議員連盟事務局長)が「ライドシェアを巡る国会論議について」、大阪タクシー協会副会長の坂本篤紀氏(日本城タクシー株式会社社長)が「日本維新の会の問題点について」と題し、講演しました。その後、全自交労連・松永次央書記長が問題提起を行いました。
ライドシェア問題
「今が一番あぶない」
森屋議員は、「ライドシェア問題は忘れた頃にやってくる。一回火が消えたかのように、国土交通委員会では話題にならなかったが、今国会で地域交通法の改正を議論する中で、ラストワンマイルの問題からライドシェア導入問題が出てきた。そのため、くぎを刺し、『日本に入れることは考えていない』という政府見解を確認してきた。機会があるごとに政府の立ち位置をしっかり確認し、言質を取っていくこと、一つ一つ念推ししていくことを行ってきた」と国会での活動を報告。
「ライドシェア問題では手を変え品を変え、何とか入れようという勢力がある」とし、3月29日の新しい資本主義実現会議で、Zホールデイングスの川邊健太郎会長がライドシェアを認めるよう発言したことを紹介。「力のある方が正式な場で発言すると、いろんな意味で力が加わって動き出す。それを押す政党すなわち日本維新の会が国会で動き出している」と現状に危機感を示しました。
「今は、国土交通大臣も自動車局長も『特区でもライドシェアを認めない』というスタンスを保っているが、政治は世論と数によって大きく変わる。ライドシェア問題は今回一番危険な状況である。今は与野党を超えたライドシエアの位置付け、ライドシエアはだめなものという位置付けをしっかりやることが大事だ」と強く呼び掛けました。
「一緒に学ぼう」とあいさつした櫻井委員長。10単組36人が参加
伊藤実中央執行委員長
「責任もたぬ怖さ」
維新の本質とは
大阪で、維新の会と闘い続けてきた坂本社長は「維新の恐ろしさ、手法はナチスと一緒。全体の2割ちょっとの固い支持者をつかみ、60%前後という低投票率の選挙で、過半数を制するやり方をしている。そのためにはどんな嘘でも平気で言う」、「2021年の衆議院議員選挙では吉村知事が全国遊説で『47都道府県の中で私学を含めて完全無償化したのは大阪だけ。この改革を全国で』と訴えていた。しかし、大阪ではいまだ私学の授業料への補助を巡ってゴチャゴチャしている。完全無償化したと言っていたのに」などと維新の嘘を指摘。
さらに「維新の一番の問題は空飛ぶタクシーに象徴されるように、当事者意識の欠如である。空を飛ぶ場合はいろいろな規制があり、上空から物が落ちてくる可能性もある。それを無視して、簡単に飛ばしてしまおうとする。その発想がこわい」と糾弾し、維新が推進するライドシェア問題について、「ただ反対、反対と言っているだけではだめだ。兄弟から借りた車で、アルバイト気分で行なって大きい事故を起こしたら、その車が保険が切れていたら賠償するのに一生台無しになってしまう。簡単に加害者になってしまう」と、その危険性を周知する大切さを説きました。
また問題が噴出する大阪万博について「維新の皆さんは最近元気がない。囲み取材で、吉村知事は『あれは国の行事だから』と急に言い出す。国と博覧会協会に対して徐々に距離を取っている。博覧会協会の副会長であるにもかかわらず。恐ろしいことに『延期するのであれば中止ですね』と平気で言う。『俺が中止してやった』と言いそうな雰囲気。その場が良かったらなんでもいいと思う。これに騙されてしまう。彼らには、自分の言葉に重みがないし、責任がない」と発言しました。
松永書記長
連携の力を次世代につなげて
全自交労連本部の松永次央書記長は10月の大会で退任する予定を告げ「12年間、関西地連の仲間には大変お世話になった。世界で唯一ライドシェアを阻止し闘い続けているのはチームワークである。野党と協力し、政府を動かしてタクシー政策を実現してきた。私たちと信頼関係を築いてきた政党をいかに支えるかが重要である。また、私たちの苦しい状況を国土交通省や厚生労働省に投げて、政治に訴えてきた。この連携への取り組みを引き続きお願いしたい」と、関西の仲間に熱い思いを託しました。
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