全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


ホーム > ニュース > 2022年12月23日掲載



運賃改定で物価高を打ち破る



伊藤実中央執行委員長
2023春闘を取り巻く情勢は、賃上げができる理由、賃上げしなければならない理由にあふれています。コロナ禍の3年間、感染リスクにさらされながら低賃金を耐えてきたハイタク労働者に、ようやく反転攻勢の機会が訪れました。もう我慢は限界です。胸を張って力強く、公共交通を支えるエッセンシャルワーカーに相応しい賃金・労働条件を要求しましょう。
賃上げが可能な理由。▽その一つ目は、需要が回復基調であること。▽二つ目は全国に運賃改定が拡大し、今までにない高水準の改定率が実現していること。▽三つ目は、国や自治体からの多額の支援金がハイタク事業者の懐に入っていること。▽四つ目は各地で今やタクシーが供給不足となっており、賃金を上げ労働者を増やせば企業全体の売上も向上することです。
そして賃上げをしなければならない理由は、▽第一に3年間のコロナ禍でずっと低賃金に耐えてきたハイタク労働者には、これまでの減収分の回復を求める権利があること。▽第二にこの物価高で生活できないこと。▽第三には、急激な物価高騰により他産業では大幅な賃上げが見込まれ、最低賃金も上がったことから、賃上げをしない限り人材の獲得どころかさらに担い手の流出が加速すること。▽第四には労働組合も経営改善のために、国や自治体にタクシー事業者への支援を求め、運賃改定の後押しをしてきたことが挙げられます。
「いま賃金を上げなければ、いつ上げるのか」。それが2023春闘です。
特に運賃改定する地域では、今までとは違う水準の賃金改善が必須です。運賃改定にあわせて賃下げ・労働分配率の改悪をたくらんだり、最低賃金違反などの法令違反を続けるブラック経営者は「言語同断」。行政やメディアへの情報提供も含め、あらゆる手段でその攻撃を跳ね返す必要があります。歩合給で賃金が下がった時にはなにもせず、賃金が上がった時にだけ「調整」などと言い出す経営者の一方的な主張は受け入れられません。

職場に若者を!「交通崩壊」断固阻止

いまこのタイミングで賃金を上げて職場に若者を呼び込まなければ、本当にハイタク産業は崩壊し、利用者の信頼と公共交通の地位を失います。「タクシーがいないから」と、ライドシェアにつけ込む隙を与えることも目に見えています。
ゼロゼロ融資の返済などで経営が厳しい企業もありますが、だからこそ全国全ての地域で運賃改定を実現しなくてはなりません。同時に、下限割れの略奪的運賃を決して許さない運動も重要です。
今春闘ではほかにも、改正改善基準告示に合わせた働き方の見直し、時間外労働60時間超5割増しルールの順守、新型コロナ対策の継続と拡充、ライドシェア合法化阻止、モビなどの激安定額乗り放題の拡大阻止など重要なテーマが多くあります。
そして、地域のなかで自治体と連携し「タクシーこそ地域公共交通の主役」と言える状況を目指さなくてはなりません。そのためにも、4月の統一地方選挙では、政治闘争を強化し、全自交唯一の組織内議員である山名文世・八戸市議をはじめとした、立憲民主党の自治体議員の躍進に取り組むことが必要です。

ハイタク賃金要求案(一部のみ)

◆ 賃金体系にかかわらず、賃金回復と賃金改善分として組合員1 人当たり月額10,000 円を要求します。
◆ さらに、インフレに負けない生活維持分、労働者不足を解消するための格差是正分として、運賃改定による賃金反映分を含め、月例賃金で7% 以上の賃上げを求めます。同時に、運賃改定時に労働分配率を下げようとする動きを決して認めません。
◆ ハイタクA 型賃金の一時金獲得目標は年間100 万円とし、他の賃金体系においてもインフレ手当を含め、一時金の増額を求めます。
◆ 改正タクシー特措法の施行時の国会附帯決議である、①累進歩合の廃止、②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠距離割引の是正、⑤過労防止対策の推進、の完全な履行を求めます。
公共交通を担う労働者にふさわしい労働条件を築くために全力をあげます。
◆ 女性や若者が働きやすい職場にするため制度面、設備面での改善を求めます。
◆ 事業の休止・廃止や譲渡など、雇用・労働条件にかかわる経営方針の変更については、労働組合と事前に協議し、同意を得てから実行するよう協定の締結を求めます。


春闘を取り巻く情勢

急激なインフレ

1.世界情勢
2022年の世界のインフレ率は前年の2倍近い8・8%に達し、23年もその傾向が続くと見られています。今回の物価高は、コロナ禍で生じた労働者の職場離れや流通網の寸断による供給体制の崩壊が主な原因と考えられます。この物価高に対し世界中の労働者が立ち上がり、生活できるだけの賃上げを求め、大規模なストライキを実施しています。

2.国内情勢
国内でもインフレが進行しています。生鮮食品を除いた生活物価の上昇率(対前年同月比)が2022年10月には、3・6%を記録しました。海外と比べれば低いようにも見えますが、長年、物価も賃金も上がってこなかった日本において、3・6%は実に40年2カ月ぶりの上昇率でした。海外のインフレと円安により、国内の物価は、さらに高騰する見通しです。
新型コロナ感染症は、対策の見直しが進み経済活動への影響は軽減されましたが、引き続き感染防止対策を継続しなくてはなりません。
安倍国葬を強行し、大増税による防衛費倍増を計画する岸田政権の支持率は下落し続けており、しっかりと賃金を上げて、生活者・労働者の暮らしを楽にする政治の力が求められます。2023年4月には統一地方自治体選挙が行われます。全自交唯一の組織内議員である山名文世八戸市議をはじめとした、立憲民主党の自治体議員の躍進に取り組み、政権交代への弾みをつけましょう。

3.労働力不足
コロナ禍で悪化した雇用情勢は持ち直してきています。有効求人倍率は、2021年10月の1・16倍から、22年10月には1・35倍に増加しました。22年10月時点で51・1%の企業が「人手不足」だと感じており、2年前と比べ17・1ポイントの大幅な上昇となっています。宿泊業や飲食、タクシーなどコロナ禍で受けたダメージの大きい業種ほど、労働力不足の実感が高い傾向にあります。
企業の倒産・廃業数は、コロナ禍で受けたゼロゼロ融資の返済が迫る中で増加しつつあります。

物価も賃金も上がる社会へ

4.賃金
2022春闘で連合は4%要求を掲げ、加盟組合の加重平均で定昇含め2・07%、中小でも1・96%の賃上げを実現しました。そして2023春闘方針では、5%の要求水準(賃上げ分3%程度、定期昇給分2%程度)を決定しています。物価が40年ぶりの水準で高騰している以上、賃金も歴史的な水準で引き上げなくては、今までの生活を維持することすらできません。実際に、物価を加味した「実質賃金」は7カ月連続減少となりました。
経団連すら、前年以上の賃上げを容認する考えを示しており、大企業では大幅な賃上げが予想されます。
コロナ禍がもたらした物価高により、「値段は変わらないもの」、「賃金は上がらないもの」と言う日本人の感覚も変わりつつあります。しかし、ここで「物価は上がったけど給料は増えない」となってしまえば、需要は急速に冷え込み、不況がやってきます。大事なのは「物価も上がったけど、しっかりと賃金も上がる」社会を実現することです。
その意味で2023春闘は、この先の日本経済の行方を左右する重要な局面となりました。この物価高をチャンスに変え、ハイタクでは運賃改定を実現し、賃金を上げることこそ、経営者に求められる選択です。




春闘の取り組みの基調

1.いま賃上げせずにいつ上げる!若者を職場に!
ハイタク産業では、コロナ禍で経営者も大きな打撃を受けましたが、それ以上に深刻なダメージを受けてきたのが労働者であり、多くの仲間が職場を去りました。最近は需要が回復基調ですが、乗務員が不足しているために需要に応えきれていません。
2023春闘で賃上げを勝ち取り、離職した仲間や若者を職場に呼び戻しましょう。急激な物価高が進み、他産業では大幅な賃上げが見込まれるなか、それに負けない賃金改善をしない限り、労働力不足は解消しません。
全国で運賃改定が実現する今こそ、賃上げを勝ち取る時です。ようやく反転攻勢の機会が訪れました。「いま賃上げせずにいつ上げる!」という気持ちで取り組みましょう。
団体交渉においては、事業者が国や自治体から受けた多額の支援金の収入に対しても情報を開示させ、エッセンシャルワーカーとして社会に不可欠な役割を果たしてきたハイタク労働者への適正な分配を求めます。劣悪な賃金・労働条件を改善しない限りタクシー産業に未来はありません。
2023春闘は、全ての職場で要求を掲げ、積極的な交渉を重ねて、あらゆる角度から賃上げや待遇の改善を勝ち取りましょう。

2.運賃改定を全国に「タクシー足りないからライドシェア」と言わせない
地域公共交通としてのハイタク産業を持続させ、魅力的な賃金・労働条件の原資をつくるためには、運賃改定が欠かせません。未実施の地域では、経営者に運賃改定の必要性を説き、実施される地域では、決して賃下げが行われないよう闘いを強化します。
この機会に、ハイタク労働者の賃金・労働条件を劇的に改善しなければ、全国各地の利用者からわきあがっている「タクシーが足りない」という声に応えることはできず、「ならばライドシェアを導入」という主張が高まることは目に見えています。自治体との連携を深め、「タクシーこそ地域公共交通の主役」と呼ばれる状況を作り上げなければなりません。

3.全ての職場で積極交渉!その成果を組織拡大につなげよう!
2023春闘では、「要求しないものは実現しない」ことを肝に銘じ、具体的成果を獲得するまであきらめずに交渉を積み上げ、勝ち取った成果を組織拡大に繋げるために全力を上げます。


ハイタクの情勢

1.新型コロナによるタクシーの営業収入への影響
営業収入の全国平均は2022年4月以降、コロナ前の70%台後半~80%台まで回復。10月以降は、「全国旅行支援」などの影響もあり、コロナ前よりも忙しい状況も出現しています。コロナ禍の低賃金や感染リスクにより、多くの乗務員が離職したことから、稼働車両数が大幅に減り、需要に応えきれていない側面もあり、24時間体制を維持できなくなった地域も少なくありません。

2.タクシー労働者の賃金・労働条件
コロナ禍では、歩合給で働くハイタク乗務員の賃金が激減し離職者が相次ぎました。全国のハイタク乗務員は「コロナ前と比べ約2割減少した」と言われます。特に子育て中の若い世代など、一定の収入を必要とする人の離職が多く生じました。
厚生労働省の「2021年賃金構造基本統計調査」によれば、タクシー運転者の2021年推定年収(法人・男女計)は、全国平均で280万4000円となり、前年より19 万2000円減少、新型コロナ感染症以前と比べれば77万1800円もの極端な減収となっています。全産業平均とタクシーの年収格差は208万9100円で、前年より約20万円も拡大しました。

3.運賃改定の波が全国に
全国の100運賃ブロックのうち、過半数で運賃改定の動きが起きており、前回改定から3年弱や2年という短い期間で改定申請を出している地域も多くあります。直近の改定では、軒並み10%を超える高い改定率が実現しました。また、大阪・京都では安売りの象徴だった「5キロ超5割引(5・5割)」を見直す動きも出ています。
全自交労連は、運賃改定によって、抜本的にハイタク労働者の賃金を改善するために、少なくとも地域最低賃金額を十分に上回り、他産業との賃金格差を改善できる「固定的な人件費」を運賃原価に組み込むよう求めています。
一方、東京では、運賃改定のタイミングで賃下げや労働分配率の切り下げをもくろむ事業者の動きが多数、報告されています。労働分配率を切り下げては賃金・労働条件の改善がなされず、利用者に負担を求める大義が失われます。このような行為を繰り返せば、永遠にハイタク乗務員と他産業の賃金格差は解消しません。
国土交通省も、事業者側に運賃改定後の労働条件改善を求めており、運賃改定の趣旨を逸脱する行為を指導する考えを示しています。
また、公定幅運賃を守らない「下限割れ事業者」は、略奪的運賃で、適正運賃の事業者の需要を奪い、事業の持続性と利用者の安全性を損なう存在です。決して許すことはできません。国には、改正タクシー特措法の定めに基づき、指導・勧告・変更命令を行うよう求めます。

4.燃料は高騰するも、国や自治体の支援が充実
タクシー事業者には、国からのLPガス高騰に対する補助金や、各自治体から地方創生臨時交付金を原資とした支援金が再三支給されました。

5.融資の返済が重荷 全自交も改善策を要望
事業者の経営において、最も懸念される要素は、コロナ特例により無利子無担保で受けた融資(ゼロゼロ融資)の返済負担です。全自交労連は事業者の借金、労働者の借金の双方について、返済の免除や返済期間のさらなる延長を、国会議員や行政へと要望しています。


賃金・労働条件改善の要求

賃金要求項目は1面1万円+7%の賃上げを

賃金の統一要求は賃金体系にかかわらず、賃金回復と賃金改善分として組合員1人当たり月額10,000円を要求します。
さらに、インフレに負けない生活維持分、労働者不足を解消するための格差是正分として、運賃改定による賃金反映分を含め、月例賃金で7%以上の賃上げを求めます。同時に、運賃改定時に労働分配率を下げようとする動きを決して認めません。

①大幅賃上げが必要な根拠
世界的な物価高の中、2023春闘は他産業で大幅な賃上げが予想され、最低賃金も大きく上がりました。ハイタク産業も思い切った賃上げを行わない限り、人材獲得の道は開けず、人材の流出が加速することになります。
従来の要求額である1万円と別に、今回7%の月例賃金アップを求める背景はここにあります。ハイタク労働者の月間給与の平均は225,300円でした。これに7%の賃上げを行えば241,071円で15,771円のアップとなります。連合の中小組合の要求水準が13,500円ですから、7%賃上げを実現して初めてわずかながら格差是正が前進します。
なにより、コロナ禍で低賃金に耐え続けたハイタク労働者には、これまでの減収分の回復を求める権利があります。物価高の中で生活を維持していくためにも、賃上げは欠かせません。

②運賃改定を賃金へ反映
運賃改定を実施した地域では、増収分を確実に賃金に反映させなくてはなりません。
特にA型賃金の職場においては、春闘でこそ、定昇の見直しを含めた適正な分配が議論される必要があります。

③インフレからの生活防衛
急激な物価高から労働者を守るため「インフレ手当」をはじめとした一時金の増額を強く求めます。

④長時間労働の是正
2023年4月より中小企業でも、月に60時間を超える時間外労働に対し、会社は50%以上の割増賃金を払うことが義務付けられます。
24年4月には改正改善基準告示が施行され、さらに働き方改革関連法に基づき、時間外労働は最大でも年960時間までに規制されます。
法令に基づき、長時間労働の是正を求めます。また、時間外労働の削減により賃金の総支給額が低下しないよう、効率的な勤務時間と休日の設定及び所定内賃金の時間単価(歩合給については支給歩合率)の引き上げを求めます。
さらに、▽女性や若者が働きやすい職場を実現するための制度・設備の改善▽固定給中心の生活安定型賃金の追求▽累進歩合制の排除▽不当な運転者負担や賃金カットの排除▽過度な遠距離割引の是正▽適正な賃金計算、最低賃金すら支給しない悪質企業の追放▽雇用形態の違いによる差別禁止と「同一労働・同一賃金」の推進を求めます。
賃金の切り下げや一時金、退職金制度の廃止・改悪、不当な解雇を許しません。


ハイタク政策要求

エッセンシャルワーカーに相応しい待遇を実現するため、
・全国100運賃ブロックの全てで運賃改定の実現
・運賃改定に合わせて賃下げを行う事業者への指導や、社名公表など、行政の強い措置
・運賃改定原価の計算において、地域最低賃金を十分に超えるだけの固定的な人件費を基準に算出すること
・運賃改定ルールを見直して申請要件の緩和や、手続きのさらなる簡素化
・違法な下限割れ運賃阻止
・自治体への要請行動強化
・継続した感染防止対策の徹底と、感染防止費用に対する補助や助成の継続
・最低賃金の大幅な引き上げと、支払い能力がない中小事業に対する助成措置
・エッセンシャルワーカーの賃上げ政策
・改善基準告示の積み残し課題の解消を求めます。 安全・安心・便利なタクシーを守るために、
・ライドシェア(白タク)合法化阻止
・採算性と乗務員の適正な労働環境が確保されない定額乗り放題の阻止
・改正タクシー特措法に基づく適正化・活性化の推進と、適正需給・適正運賃の確立
・改正タクシー特措法の限界を乗り越えるため、「タクシー事業法」の制定
・訪日外国人などを対象として暗躍する白タクの根絶
・運転代行の健全化
・自家用有償運送の無制限な拡大反対
・ダイナミックプライシングの導入阻止
・安全のための監査強化
・電動キックボードなど、新たな道路上の脅威への対応
・自動運転時代の到来を見据え、雇用を守るための検討を求めます。

また地域公共交通としてのタクシーを守るため、移動権(交通権)の明確化と財源の確保や、燃料高騰支援の継続と改善、感染防止対策の費用助成、ジャパンタクシーでの車いす乗降に関し現場の負担を解消する対策、乗合業務にも使いやすく、車いす乗降に負担の少ないタクシー専用車の検討などを求めます。


自動車教習所の春闘

自教労働者の2023春闘要求
1.賃上げ要求は、月例で15,000円とします。待機時間も労働時間として適正な賃金支払いを要求します。時間額1,500円以上の企業内最低賃金協定の締結を求めます。
2.一時金要求は、年間80万円以上とし、各職場が自主的に決定することとします。
3.退職金増額を要求します。中退共加入を促進し、月額掛金1万円以上を求めます。
4.各種資格手当の新設や増額を求めます。高齢者への運転技能検査など新たな業務負担に対する手当を求めます。
5.指導員の感染防止のためにあらゆる対策を講じるよう求めます。
6.定年年齢を65歳とするよう求めます。同時に年齢による賃金減額を行わないよう求めます。
7.同一労働・同一賃金を求めるとともに、嘱託・パート指導員などの不安定雇用を排除し、正社員化を進めます。

政策課題については、ダンピングや誇大広告の規制・指導▽高齢者講習、講習予備検査どの料金の適正化▽オンライン学科教習の導入に当たっての労働者の負担軽減▽教習の質の低下を招くAI技能教習導入阻止▽関連法規が改正された場合に、休業または離職中の指導員・検定員に対し、必要な講習の案内が行われず、職場復帰の妨げとなっている現状の改善▽高齢者講習指導員資格を地方公安委員会でも取得できるようにすること、などを求めます。


<コロナ関連要求>
1. 引き続き、マスク・消毒液の支給や飛沫感染防止対策、空気清浄機等の車内感染防止対策を継続して行うよう要求します。
2. 乗務員が新型コロナに感染した場合は、労災保険の積極的活用を求めます。
3. コロナの感染拡大による急激な需要減退が起きた場合には、労使の真摯な協議と合意のもとに勤務シフトの変更や休業の実施規模等を決定することを要求します。
4. 感染の拡大時には、勤務時の危険手当(1労働日・1万円)の支給を求めます。またタクシー乗務により新型コロナに感染した場合や、その他、会社の判断で自宅待機を命じた場合は休業手当の支給を求めます。


闘いの進め方
◆春闘体制の強化
1.各地連・地本及び各単組・支部においては春闘討論集会や学習会、決起集会等の職 場集会を開催し、春闘情勢、方針、要求事項について意思統一をはかります。
また、ストライキ権を確立し、組合員が一体となった闘争体制を築きます。
2.団体交渉の内容を広く伝えるための「春闘ニュース」等を各職場で発行するよう努力します。

◆要求提出
1.第101回中央委員会において2023春闘方針を決定し、それ以降は中央執行委員会のメンバーで中央闘争委員会を立ち上げ、春闘の情報交換と指導を強化します。
2.要求提出日までにストライキ権(組合員の無記名投票による過半数の賛同)を確立します。
3.要求提出は2月末日までとします。
回答指定日は3月○日とします。(第101回中央委員会で決定)
4.闘いのヤマ場には、ストライキを含む「統一行動日」「統一行動ゾーン」を設定して交渉を集中させ、解決を促進します。

◆組織拡大の展開
各単組・支部は、職場の未加入者に対し、春闘期間中に組合加入の働きかけを強化します。


「賃率の引き下げないよう指導徹底を」

東北交運労協は12月10日、「ハーネル仙台」で第33回東北地方運輸行政懇談会を行い、東北運輸局との意見交換を行いました。懇談会には東北交運労協から小池泰博議長をはじめ31人が出席(全自交から5名)。東北運輸局から田中由紀局長以下8名が出席しました。
各代表挨拶で小池議長は深刻化する人手不足に触れ「他産業より2割長く働き、2割安い収入にある交通運輸産業を変えなければならない。と訴え、人流・物流が滞る危機的現状を訴えました。田中局長は「人口減少・高齢化が進む中、交通計画の策定を推進していく。人材確保は重要課題だ」と述べるとともに、東北運輸局のポストコロナ「基本構想」を紹介しました。その後、担当者が運輸局の取り組みについて報告しました。
「人材確保は重要」と話した田中運輸局長

各モードの要請事項に対する回答を受けた後、質疑が行われ、岩手地本の森茂委員長が「運賃改定の早期実施を求める。
改定の目的は賃金改善であり、支給率を下げる悪質事業者が出ないよう指導を徹底すべきだ。そのためにも運輸局・支局の人員をしっかり確保してほしい」と要望しました。運輸局は「改定審査は早期に実施する。本省から通達も出ている。我々のマンパワーにも限りがあるが、しっかりフォローアップを行う」と答弁しました。その他、ローカル鉄道の存続問題等で活発に議論しました。3年ぶりとなる懇親会では各県のタクシー課題について議論を深めました。
「運賃改定の目的は賃金改善」と訴えた
全自交岩手地本・森委員長


労使総出の行動

労使総出で要請。左端が森委員長。
中央で要請書を持つのが達増知事。
その左が県タクシー協会川崎会長
全自交岩手地本(森茂委員長)をはじめとした岩手県内の主要な労働団体は12月7日、岩手県タクシー協会(川崎利治会長)とともに、達増拓也岩手県知事にタクシー事業の維持・確保のための支援を求め、要請を行いました。
要請文には全自交岩手とタクシー協会のほか、連合岩手、平和環境岩手県センター、岩手県交運労協、交通労連岩手県支部が名を連ね、各組織の代表者が、総出での要請行動となりました。
要請文では、これまでの県の支援に感謝するとともに、いまだタクシー事業者は経験したことのない減収減益状態にあり、離職者の補充すら困難な状況と説明。
地域交通を守る観点から、事業継続への支援を求めました。

盛岡市にも
同じく、県内の労使は12月20日に、盛岡市長への要請行動も予定しています。



全自交九州地方連合会は、12月4日、熊本県労働者福祉会館において、第10回定期大会を開催し一年間の活動の総括と次年度の運藤方針及び予算案を審議し確立しました。
冒頭、中村満雄・九州地連執行委員長は「コロナからの回復基調にあると言われてはいるが、九州各地のタクシーの実情はまだまだ厳しい。今、現場で必死に頑張ってくれている組合員の雇用と生活をまもる運動を更に進めなければならない」と力強くあいさつしました。
大会ではハイタクが抱える諸問題を解決するため、九州地連が一致団結して全自交運動を前進させていくことを確認しました。
また、来賓として全自交本部の松永次央書記長、本田有書記次長が参加し講演。
松永書記長はこれまでの九州地連の尽力に感謝を伝えるとともに、現状のコロナによる社会的影響や物価高騰に追い付いていない地域最低賃金や実質賃金の問題等について語りました。
大会に集まった九州各県の仲間。
左から5人目が中村委員長



全自交兵庫地連(北坂隆生執行委員長)は、11月19日に第52回定期大会を神戸市中央区の神戸市教育会館で開催しました。大会はコロナ感染防止のため、来賓者は全自交関係に限定し、役員と代議員等20名が出席し、労働条件改善のためにすべての地域で運賃改定を実現し、ライドシェア阻止・定額乗り放題の拡大反対や変動運賃制導入反対を柱とした2023年度運動方針と予算案を全会一致で原案通り承認しました。
北坂委員長は、コロナ禍での2022春闘の結果について、「ハイタク産業は需要の激減で極端に営収が落ち込み、働く労働者の賃金が大幅に低下した。また、事業者も疲弊させてしまい、県内でもタクシー会社の倒産や廃業が続いている。そういった中での春闘は、会社側から厳しい合理化案も出てきたが、それを押し返して、現状維持で妥結した」と報告しました。
また、各自治体へのタクシー支援の要請行動について、「全自交兵庫地連は、昨年に続いて、兵庫県や神戸市等に対してタクシー支援の要請行動を行い、県も市もタクシー事業への助成が実現した。今後も要請行動を引き続き行なっていきたい」と述べました。
先の参議院議員選挙での日本維新の会の議席増にふれて「維新の会は万博やカジノに向けてAIオンデマンドバスの定額乗り放題を本格的に導入しようとしている。彼らは、安全・安心を無視した何でもありの規制緩和策を推奨している。タクシーの存続を脅かすもので絶対反対していかなければならない」と訴えました。
あいさつする北坂委員長

来賓出席した全自交労連の溝上泰央中央執行委員長は、「東京では15年ぶりのタクシー運賃改定がこの11月14日からスタートした。神戸においても、タクシー協会長の会社が先日初めて運賃改定の申請をした。コロナ禍や物価上昇で厳しい生活を強いられているハイタク労働者の賃金アップには運賃改定が絶対必要だ、全国すべての地域で運賃改定が行なわれることを期待する」と述べました。
他の来賓者は、全自交関西地連から櫻井邦広委員長、加藤直人書記次長、全自交大阪地連から橋口学委員長、山里広明副委員長が出席し、代表して櫻井委員長が連帯のあいさつを述べました。
その後、成田次雄書記長が2022年度活動状況と決算を報告し、2023年度運動方針案と予算案を提案し、審議した結果、原案通り、満場一致で承認されました。最後に、北坂委員長の音頭で団結ガンバロウを三唱して奮闘を誓い合いました。


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