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ライドシェア導入阻止の共闘が組織統合に結実
力を一つに結集し、危機乗り越える運動を誓う

全国自動車交通労働組合連合会(全自交労連)と関東旅客自動車交通労働組合連合会(KPU)は5月31日、東京・全電通会館で「全自交労連第78回臨時大会(統合大会)」を開き、組織の対等統合を決定し、新たな規約・予算を確認して新役員を選出しました。参加者は力を一つに結集し、今の危機を乗り越える運動に邁進することを誓いました。

組織統合を機にハイタク労働者の切実な要求の実現を誓う参加者

統合大会は本田有全自交労連副委員長の開会挨拶で始まり、大会議長に黒木守全自交労連代議員と林三樹郎KPU代議員の2名を選出。大会書記は筒井守全自交労連代議員と円口憲明KPU代議員が務めました。
資格審査委員長の佐藤正男KPU副委員長が出席状況を報告。全自交労連は49名出席・委任状108、KPUは54名出席・委任状36で両組織とも定足数を満たし、大会の成立を宣言しました。
議事運営委員長を兼務する佐藤正男KPU副委員長が提案した議事日程を承認した後、全自交労連の伊藤実中央執行委員長とKPUの藤野輝一中央執行委員長がそれぞれ、主催者を代表して挨拶しました。両代表とも統合の経過・意義を述べ、コロナ禍で苦境に立つハイタク産業の再生を力強く訴えました。
来賓として、連合の逢見直人会長代行、連合東京の内村昌司会長代行、交運労協の住野敏彦議長、立憲民主党の枝野幸男代表、タクシー政策議連の辻元清美会長、東京共同法律事務所の宮里邦雄弁護士、全国労金の進藤真組織渉外部長、中央労金の富岡道夫上級執行役員、全労済の濱田毅司組織推進二課長が駆けつけ、順次連帯挨拶を行い統合に対する祝辞を述べました。
休憩をはさんで議案審議に入り、議長が統合に至る経過説明を行い、ライドシェア導入阻止の共闘を積み上げ、今回の統合に結実した事等を報告し、第1号議案の組織統合合意書案を読み上げて提案しました。これを満場の拍手で承認し、両組織の代表者がその場で合意書に捺印し、歴史的な統合を果たしました。
その後、第2号議案の規約案をKPUの野尻雅人氏、第3号議案の予算案を全自交労連の松永次央氏がそれぞれ統合委員会として提案し、両議案とも満場の拍手で採択・決定しました。そして、役員選考委員長の北坂隆生全自交労連副委員長が役員名簿案を提案し、承認を得ました。選出された新役員を代表し、伊藤実中央執行委員長が今後の闘いに向けた決意を述べ、協力を求めました。
その後、水野潔副委員長が統合大会宣言を提案し、全体の拍手で採択されました。
全ての議事が終了し、議長挨拶と大会役員解任後、見須一隆副委員長が閉会挨拶を行い、最後に全員で団結ガンバロウを三唱して統合大会を成功裏に終えました。


大会で統合合意書を締結


【組織統合合意書全文】

全自交労連とKPUは、組織の発展と組合員の生活向上実現と、更なる交通政策運動を進めるために両組織の力を一つにし、統合することをここに合意する。

2021年(令和3年)5月31日
合意書を締結した全自交の伊藤委員長(右)と
KPUの藤野委員長(左)


統合大会・主催者挨拶 両代表が統合の意義を訴える

全自交労連 ・ 伊藤実中央執行委員長の挨拶(要旨)

参加者の皆さんに心から感謝を申し上げる。KPUの皆様とのこれまでの共闘が結実して嬉しい。ハイタク産別の私たちが政策課題を解決し、労働条件を向上させるために、今回の統合は大きな力になると確信している。コロナ禍はかつて経験したことのない深刻な危機を作り出している。雇調金特例延長やワクチン送迎での需要創出等、自治体要請を強め国会議員と連携して危機を乗り越える政策を実行させたい。「枝野ビジョン」を読んだが共感できる。先般の補欠選挙の3勝全勝に続き、政権交代を実現しよう。それがハイタク労働者の生活を守る一番の近道だと思う。


KPU ・ 藤野輝一中央執行委員長の挨拶(要旨)

参集された皆さんとご来賓の皆さんにお礼申し上げる。
東京法律事務所の宮里弁護士は「労働組合は分裂を繰り返してきた歴史である」とお話しされていた。その意味では本日の統合大会は本当に意義のある大会であると思っている。こんなに厳しい状況なのに政府のコロナ対策も後手後手で、「菅は何やっているんだ」と憤りを感じる。都議選に勝利し衆議院総選挙で政権奪還を目指そう。枝野総理を実現したい。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの言葉に「ひとりで見る夢はただの夢、みんなで見る夢は実現できる」というのがある。みんなの力を結集して夢を実現しよう。
コロナ対策を求めた東北地方運輸行政懇談会



議案審議 統合合意書の締結後、規約(案)・予算(案)を承認

大会議長を務めた全自交の黒木守代議員(左)と
KPUの林三樹郎代議員(右)。
大会書記は全自交の筒井守代議員と
KPUの円口憲明代議員が務めました。
● 第1号議案 ・ 統合合意書の承認

林三樹郎議長が2017年7月25日の共同宣言調印式等、これまでの統合協議の経緯を説明するとともに、両組織が統合について大会決議をしていることを報告後、組織統合合意書を読み上げて提案。

● 第2号議案 ・ 規約(案)の承認

第1号議案採択後、統合委員会を代表し、KPUの野尻雅人統合委員が第2号議案の規約(案)を提案しました。
配布されている規約(案)を簡潔に説明。提案内容のポイントは以下の通りです。
①統合協議の中で協議・検討を重ね、全自交とKPU双方の基本理念及び綱領を併記することとなりました。②規約第1条の通り、名称を全自交労連とし、本部事務所を、東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目7番9号で現在の全自交労連会館内に置くことになりました。③規約第19条で、4つの専門委員会と5つの業種別部会を整理して記載することとなりました。④大会運営規則の第9条で役員選出に関する選挙規定を定めました。

● 第3号議案 ・ 予算(案)の承認

第2号議案採択後、統合委員会を代表し、全自交労連の松永次央統合委員が第3号議案の予算(案)を提案しました。
配布されている予算(案)を簡潔に説明。提案内容のポイントは以下の通りです。
①統合協議の中で協議・検討を重ね、全自交労連一般会計の年間予算について、本年の6月1日から8月31日までの3カ月を含めた概算の収支を示しました。②登録人数は統合によって、関東ブロックの増加により、6月1日からの会費登録人数総数は、1万778人となり2372人増加します。③これにより、年間総収入は、6317万4960円となります。④また、年間総支出は、若干の組み換えを行い、同額の6317万4960円で予算組みされております。その後、質疑を受け、第2号議案と第3号議案は異議なく採択されました。

採択された統合大会宣言(全文)

近年のハイタク産業は、ライドシェアなどの台頭がハイタク産業基盤を根本から崩しかねない問題など、一昨年から新型コロナ感染症による急激な需要の低下により、ハイタク産業の経営基盤そのものが崩れようとしている。このような厳しいハイタク情勢下において労働組合に求められているものは、ハイタク労働者の命と生活を守り抜くことである。
こうした厳しいハイタク情勢のなか、全自交労連とKPUはライドシェア導入反対闘争の共同行動を推進して信頼関係を深め、長時間労働と低賃金に置かれてきたハイタク労働者の切実な要求を解決するために、力を一つに結集して奮闘することを決意し、本日ここに新生全自交を結成する統合大会を迎えた。
労働組合の組織率低下が叫ばれる現在、私たちは「団結なくして権利なし」という労働組合の原点を心に刻み、ハイタク・自教産別の全国組織として、企業や地域の枠を超えた共通する課題について政策要求を実現するために邁進する。
本日の統合大会を機に、ハイタク産業における主力産別組織としての誇りと責任を自覚し、生活に欠かせない安全・信頼の公共交通としてハイタク産業を発展させるとともに、そこで働くハイタク労働者の社会的地位向上に向けて闘うことを宣言する。
2021年5月31日 全自交労連・第78 回臨時 大会(統合大会)
【提案者】水野潔副委員長

ご挨拶を頂いた来賓の皆様(敬称略)

連合会長代行・逢見直人
皆様の統合の門出に立ち合うことができて嬉しく思う。ハイタクは住民の生活を支え、経済活動にも欠かせない仕事だ。現在、ライドシェアの労働者性が問題になっている。働く者が連帯し、社会の不条理に立ち向かう集団的労使関係が必要。誰一人取り残されない社会を築いていかなければならない。大同団結を果たした全自交労連に対する期待は大きい。希望ある未来へつなげよう。

連合東京会長代行・内村昌司
4年前から統合の仲人役をやってきた者として、統合を果たした事は、本当におめでたい。
ハイタク産業における最大産別組織としての役割はさらに大きくなった。ともに頑張って行こう。

交運労協議長・住野敏彦
統合を心からお祝いする。
ハイタクの将来を見据えた統合の英断に敬意を表する。
コロナから1年が経ち、緊急事態宣言と蔓延防止の繰り返しで厳しい状況が続き、倒産も拡大している。まじめにやっている会社こそ経営の先が見えない状況だ。統合で大きな役割を担うことになるが、時代の大きな転換期を迎える中、「不易流行」の精神で奮闘してほしい。

立憲民主党代表・枝野幸男
全自交とKPUの統合にお祝い申し上げる。私たちも政治の世界で統合した。全体で一つになることは大きな力。
コロナでタクシーの環境は一段と厳しくなった。客が減り、狭い車内空間で感染のリスクもある。しかし、一方で感染防止対策を進め、ワクチン接種者の足としての役割を担っている重要な交通機関だ。
今の政権はコロナの危機意識が足りない。大きなご支援を頂いている。都議選から衆議院選挙へ走り抜き、期待にこたえたい。「5月31日・リボーン(第2の誕生日)」私の誕生日も5月31日だ。統合を機に大きく育ってほしい。

タクシー議連会長・辻元清美
新生全自交の誕生おめでとう。現在の厳しい状況を乗り越えて行く統合になることを心から期待する。
雇用調整助成金のコロナ特例が、7月末まで延長することが決まった。タクシー会社の99%がこの制度を利用している。特例が切れればバタバタ倒産する事業者が出てしまう。皆様の雇用を守りたい。
融資が受けられないとの声も寄せられているが、金融庁が返済計画を求めず融資すると言っている。是非ご相談を。
需要が減って困っているタクシーにとって、「ワクチン・タクシー」 を広めて、利用者を増やす事が大事。接種する高齢者も暑い中熱中症の危険に晒されながらバス停に立っていて倒れてしまう人も出るかもしれない。タクシーで安全に移動してもらいたい。
ワクチン接種でタクシー代を3000円補助する自治体も出てきており、全国に拡大している。この政策は、接種を受ける高齢者、タクシー関係者、自治体にとって「3方良し」の政策だ。
自治体はこれまで「地方創成臨時交付金」でワクチン接種に係る費用をやりくりするしかなかったが、厚生労働省がワクチン接種者の送迎に関し、タクシーに予算を付けられることになった。この「ワクチン・タクシー」をもっと広めていきたい。
感染者を輸送する業務を担っているタクシー運転者もいる。こうした医療関係の仕事に従事するタクシー運転者にワクチンの優先接種を進めて行きたい。こうした政策を実現するために是非、選挙に勝たせてください。枝野代表は即戦力で総理大臣ができる人。皆様、どうぞよろしくお願いします。

統合に期待を寄せる宮里弁護士
東京共同法律事務所 宮里邦雄弁護士

皆様の統合に感無量
「災い転じて福となす」を運動で証明してほしい

「交通の安全と労働を考える市民会議」の共同代表もしている宮里です。いきさつを知る者として、皆さんの統合に感無量です。一日も早い統合を待っていました。
55年間にわたって労働運動に関わってきて、数多くの組織分裂を見てきたが、分裂で発展した例を私は知りません。分裂で一番被害を受けるのは、労働者ではないでしょうか。それを痛感してきました。議論を重ね結実させた両組織の皆様に心から敬意を表します。

「団結は力なり」分裂は力を弱める労組の存在意義と役割が問われる時代
「団結は力なり」です。分裂は力を弱めます。労働組合の力は同じ旗の下にいかに多くの労働者が結集しているのかによって決まるのではないでしょうか。これは、日本の戦後労働運動の歴史が証明してきたことです。
今、コロナ禍のもとで大きな問題が起きています。2008年のリーマン・ショック以来、20万人を超える労働者が雇用を失っていると言われています。世界各国でも同じ問題が起きている。
今、欧州各国で労働組合への加入が増えている。特にドイツ。今まで組合に入っていなかった人が加入しているのです。こんな大変な時に頼りになるのは労働組合です。労働組合の存在と役割が問われる時代であり、労働組合に多くの人が目を向けている。
「災い転じて福となす」という言葉がある。コロナ禍と分裂の二つの禍を克服し、新たな団結を作り上げることで、労働組合が発展するきっかけを掴むのではないでしょうか。そのことを皆様の今後の運動で是非、証明してほしい。ハイタク労働運動の大きな1ページを飾る統合です。大きな期待を寄せます。



新たな決意で政策実現に全力投球



空気清浄機導入費用の一部補助を予算化
交運労協ハイタク部会の自治体要請が実る

兵庫県議会は6月定例会で2021年度の6月補正予算案が審議され、交通事業者への支援として2400万円が予算化されました。
この間、要請行動を行ってきた兵庫県交運労協ハイタク部会の成田次雄事務局長は、8日の建設常任委員会を傍聴し、審議と可決を見届けました。翌9日の本会議で正式に可決されました。
具体的支援策は、兵庫県がコロナ対応地方創生臨時交付金を活用し、タクシー事業者が高性能空気清浄機等を導入した場合、その経費の4分の1を補助するというもの。
これにより、国庫補助事業による2分の1の補助と合わせれば、補助割合が4分の3となり、事業者の経費負担は4分の1で済む事になります。
審議では、向山好一議員(国民民主党)が計上額の内訳について質問し、交通政策課の担当者は「県内のタクシー台数は約8千台、そのうちの15%を対象に予算化した。高性能空気清浄機とモニターの導入が800台、低濃度オゾン発生器導入が400台となっている。更にタクシー事業者から要望があった場合には支援が必要か検討したい」と回答しました。
これに対して、向山議員は「タクシーは狭いスペースで乗客と密になって仕事をしている。医療従事者同様の感染リスクを抱えている。そういう実態を考えたら、予算額を超えて希望があった場合『はい、ここで打ち切り、後は勝手にやってよ』というわけにはいかない。しっかり状況を見据えて柔軟に対応してほしい」と要望しました。
兵庫県議会本会議の様子


労使協力して支援要請を継続

挨拶する北坂ハイタク部会長
兵庫県交運労協ハイタク部会(部会長=北坂隆生・全自交兵庫地連委員長)は4月12日、神戸市内で兵庫県タクシー協会(吉川紀興会長)と労使懇談会を開き、兵庫県下の各自治体に要請している事業持続化給付金の支給、空気清浄機導入費用の補助、ワクチン接種者の送迎についてのタクシー活用など、コロナ対策支援要請行動を労使で協力して行っていくことを確認しました。
この会合には、全自交兵庫地連から5名と私鉄関西ハイタク労連から2名が、タクシー協会から4名と兵庫県タクシーサービスセンターから2名が出席しました。
冒頭、吉川会長は挨拶で、この間の労働側の各自治体要請行動に触れ「労働側が各市長に直接会って支援を要請している行動は非常に価値あるものだ。経営者側だけだと迫力に欠けるが、労働者自らが直接窮状を訴えることは切実さが伝わる。」と労働側の要請行動を評価しました。
北坂部会長は「労使で協力して、各自治体や国会議員への要請を引き続き行なっていきたい」と挨拶しました。
その後、意見交換を行い、各自治体の6月の補正予算の審議に向けて具体的な支援策を提示していくことを確認して終了しました。


自治体要請は地方議員との連携が必要

私は兵庫県交運労協ハイタク部会の事務局長として、3月・4月にかけて、兵庫県および県内8市町村に対し、タクシーの窮状とタクシー支援を求めて積極的に要請行動を展開してきました。
具体的に求めた内容は、①感染防止対策の強化、②移動制約者へのタクシー券配布、③事業継続支援、④公共交通従事者への支援、⑤ワクチン輸送と接種者のタクシー送迎、⑥タクシー乗務員(希望者)へのワクチン優先接種、の6項目です。
今回の行動は、立憲民主党や連合兵庫推薦の各自治体議員に事前に協力を要請した結果、各議員が積極的に自治体の担当局と交渉して実現したものです。神戸市や加古川市のように、交渉の場に会派全員が私たちと同席してくれたケースもあります。初めて知り合った議員が積極的に対応してくれました。
今後、コロナ対策やライドシエア導入反対の自治体での意見書採択、地域公共交通対策等の各自治体要請行動の理解者として、さらに、パイプ役として大いに望めるのではないでしょうか。
コロナの感染拡大状況を考えれば、まだまだ終息する見通しがつきません。さらに拡大する恐れもあります。個別の労使交渉では限界に達している今日、タクシー産業の維持やタクシー労働者の生活と命と健康を守るために、国や自治体からの支援が急務です。
引き続き、各自治体への要請行動を展開して行きます。


(6月10日現在、本部集約分。既報13組合除く)



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