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現場の苦境を訴え、コロナ危機乗り越える施策を要請

重要な役割担うタクシーを守るための支援を
輸送の安全と秩序を破壊するライドシェア認めるな

全自交労連・交通労連ハイタク部会・私鉄総連ハイタク協議会で組織するハイタクフォーラム(代表・伊藤実)は3月9日、千代田区永田町の衆議院第一議員会館・大会議室で厚生労働省・国土交通省に対し要請書を提出し、深刻な賃金低下等、現場の苦境を訴え、コロ危機を乗り越える施策やライドシェアの導入阻止等を要請しました。全国各地から50名の仲間が参加し、「交通崩壊」を防ぎ、タクシーが生活に欠かせない重要な地域公共交通として機能を十分に発揮できるよう様々な課題を訴えました。


全国の思いを訴える伊藤代表
この日、全国各地から結集したハイタクフォーラムの仲間(内全自交25名)50名は、厚労省と国交省に対し、感染拡大による二度目の緊急事態宣言下で深刻な営収低下により賃金が大幅低下して苦境に立つハイタク産業の実態を訴え、コロナ危機を乗り越える有効な対策を求めるとともに、コロナ禍により法令違反が増加しているハイタク産業の環境改善、タクシー特措法を機能させて適正化・活性化を推進する課題、ライドシェア導入阻止等を主張しました。

ハイタクフォーラムの伊藤実代表は、国交省に対し、「長期のコロナ禍で先が見えない。改正タクシー特措法の取り組みが不十分なところにコロナ危機が襲った。適正化は喫緊の課題だ。バス・タクシーは廃業や路線撤退・減便が続いており、ライドシェアを認めないスタンスを貫いてほしい。高齢化社会の生活交通や災害時の輸送でタクシーは重要な役割を担っており、安全・安心・便利な公共交通を守るために課題解決に尽力願いたい。」と訴えました。

コロナ対策として、事業継続のための支援とともに、雇用調整助成金のコロナ特例再延長や乗務員への危険手当支給とワクチン優先接種の他、空気清浄機の導入補助を求めました。
厚生労働省に累進歩合の完全排除や運転者負担の解消など6項目。国土交通省に改正タクシー特措法による適正化の推進、ライドシェア導入反対、悪質事業者の排除と事業許可の更新制導入、特定・準特定地域の指定要件見直しや白タク・ライドシェアを認めないことなど21項目を要請し、両省から回答を得ました。

その後の質疑では、全自交労連の6名の参加者から労働現場や地域の課題について指摘し、改善に向けた回答を求めました。
また、辻元清美会長をはじめタクシー政策議員連盟の国会議員も多数出席し、交渉に立ち合いました。
ワクチン接種のタクシー活用等を説明する
国交省・自動車局長


タクシーによるワクチン接種会場への送迎を自治体に要請(国交省)

この日、厚労省交渉終了後、15時45分から衆議院第一議員会館の大会議室で行われた国交省との交渉は、最初にハイタクフォーラムの伊藤実代表が挨拶した後、国交省の祓川(はらいかわ)自動車局長が挨拶。国交省が取り組む空気清浄機導入への補助、減車制度の延長、雇用調整助成金の再延長要請等を報告するとともに、「ワクチン接種が始まるのを受け、接種会場に高齢者を運ぶとか、医療チームが接種のために寝たきりの高齢者の家に行く際にタクシーを利用してもらうよう各市町村の首長に要請している。自治体との運送の協定を結び早く実施するためにチャレンジしていく。」と述べました。
伊藤代表が要請書を手交した後、タクシー政策議員連盟の辻元清美会長が挨拶。その後、担当官が要請事項の各項目に対し、順次回答しました。
その一部を以下、抜粋します。

●コロナ禍からタクシー事業の維持・存続を図る施策

①供給力の削減を実施されたいとの要請については、昨年3月に減車制度を創設し、その都度延長して柔軟に運用していく。
②緊急事態宣言の基本対処方針でタクシーは、国民の生活と経済の安定確保のため、地域住民の足として事業を継続し、乗務員もエッセンシャルワーカーとされている。地方創成臨時交付金を積極的に活用するため、自治体に出向き、空気清浄機への補助や必要な事業継続の支援を要請した。
祓川自動車局長(右)に
要請書を手交する伊藤実代表(左)
③感染リスクの少ない移動手段を確保することは重要な課題。乗り合いタクシーの運行の支援を通じて地域公共交通の確保・維持を図っていく。地方創成臨時交付金を活用し、タクシー事業者への支援が行われるよう自治体の首長に直接働きかけを行っている。
④補正予算に空気清浄機の導入等の感染拡大防止策の支援も盛り込まれており、利用者のみならず運転手の方々も感染リスクを下げて乗務してもらいたい。
⑤厚労省は、重症化リスクの高い医療従事者と高齢者、基礎疾患を有する者、高齢者施設についてのみワクチン摂取の順位を上位に上げている。摂取が円滑に進むようにタクシーの活用含め自治体に働きかける。

●特措法による適正化推進

①特定地域・準特定市域の指定基準は厳格かつ客観的指標で定めているが、コロナで基準となる実績が低下による異常値となり、どういう基準が良いのか検討する。
②運転者負担の見直しについてはタクシー事業者にやめるよう働きかけている。運賃改定実施時にも事業者団体に通達を発出し、手数料等を負担させないよう要請した。
③改正特措法の施行後、下限割れ運賃を設定している事業者は減少している。また、下限運賃の見直しを行っており、運輸局でも下限割れ事業者には指導を行っている。 
④運賃改定の審査で安全に係る経費を勘案している。過度な遠距離割引は、是正に向け事業者に対応を求めているが、一義的には事業者が取り組むべき。改正特措法の趣旨が運転者の労働条件の改善にあり、割引運賃の審査に当たって厳格に対応したい。
⑤監査処分制度については、悪質な運送事業者への重点的な監査実施とか悪質重大な法令違反の処分の厳格化等、効果的な監査、公正なる処分を行うこととした。
⑥、タクシーの許可を5年ごとの更新制にして、不適格者を排除するようにという指摘については、貸切バスの許可の更新制度をそのままタクシーに導入すべきか慎重な検討が必要。

●ライドシェア・白タク合法化問題

①自動車の旅客の運送においては、安全・安心の確保が最重要の課題。自家用車を用いたいわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが責任を負うことを前提としており、このような形態の旅客運送を有償で行う事は、安全の確保と利用者の保護の観点から問題があるため認めるわけにはいかない。
②自家用有償運送について、バス・タクシー事業者によることが困難な場合には自家用車を用いて有償で運送できる自家用旅客運送制度があり、昨年11月に制度改正されたが、登録には地域関係者で協議を整える必要があるという実施の前提については法改正後も変更はない。地域においてバス・タクシー輸送と自家用有償運送が適切な役割分担の下、住民の移動手段が確保されるよう必要な助言を行う。
③海外のライドシェア事業者は、国内のタクシー事業者の配車サービスを行っていると承知している。いわゆるライドシェアは安全の確保と利用者の保護の観点から問題があるため認められない。

●タクシー事業の活性化とタクシー運賃

①特定地域、準特定地域にあっては需要の喚起を目指す活性化事業を行うことが有効であり、サービスの高度化・多様化を進め、UDタクシーや空気清浄機の導入を補助して需要を掘り起こしたい。
②タクシーの運賃については昨年、48地域で運賃改定をした際に労働条件改善と障害者割引事業に要する経費を運転者に負担させないことを促した。また、鉄道やバスにある回数券や定期券がタクシーにはなかったことから、一括定額運賃や変動迎車料金を導入した。こうした取り組みでタクシー利用者の新規開拓を図っていき、労働環境が改善されていく事を期待している。


コロナ危機を力合わせて乗り越えよう

挨拶する辻元議連会長
タクシー政策議員連盟 辻元清美会長

こんにちは。以前からハイタクの状況は厳しい状況にあったが、そこに新型コロナ感染症の危機が覆いかぶさってきた。一年間持ちこたえてもらい感謝する。東京・大阪などの都市部から離れるとタクシーの有難みが身に染みて感じる。皆さんの職場を守ろうとしているのは、それはタクシーが国民の生活を支えているから。国民の暮らしを守るために新型コロナの危機を力合わせて乗り越えようとしている。今日は現場の声を伝えてもらいたい。
タクシーが無くなってしまったら大変困ってしまう。雇用調整助成金支援制度の延長なども国民の暮らしを守る観点を持って国会で訴えていく。そして直接的には皆さんの職場を守って行きたい。

6名の全自交参加者が発言

新潟地連・海藤さん
〇新潟地連・海藤さん

改正特措法で勧告・命令を

改正タクシー特措法は運転者の労働条件の改善に全く実効性がない。運賃適正化も供給過剰対策も十分に効果が発揮されていない。当初、地域協議会において合意された計画は独禁法の適用除外になり、強制力を持った減車措置がとれ、従わなければ改善命令が出せると言われてきたが、実効性がない。新潟交通圏では計画に同意しない事業者が5社あるが、勧告命令を出さないとなると「正直者がバカを見る」事になってしまう。合意しない事業者が平然としていることに納得がいかない。どうなったら勧告・命令ができるのか教えて欲しい。

【回答】
改正タクシー特措法を運用してきたデータを見ると日車営収や時間当たり賃金は多少改善している。「この運賃はやめろ」「この車は減車しろ」と言っても、車両は事業者の財産ですので抑制的になる。運輸局が汗をかいて地道に働きかけていく。

兵庫地連・成田さん
〇兵庫地連・成田さん

運行記録計の義務化を求める

自家用有償運送に関して一番問題なのは運行管理が弱いことだ。アルコールチェック義務化を含め運行管理を厳しくやってほしい。
タクシー会社の運行記録計は労働時間管理の証拠になる。設置義務のない地域では手書きの日報しかなく信用できない。一律に義務化してほしい。

【回答】
自家用有償運送はバス・タクシー事業とは違って過疎地で行われ、運転手はボランティアである場合も多いことからバス・タクシー程の厳しい基準を設けていない。実態は注視していく。
運行記録計の設置は流し営業の割合が高い地域を運輸局長が指定して義務付けている。全国一律で設置を義務付けることは導入費用の負担や機器によらず適切な管理を行っている事業者がいることも踏まえ、慎重に検討する。補助制度でデジタル式の運行記録計の普及促進に努めていく。

東京地連・菊地さん
〇東京地連・菊地さん

変動運賃(DP)導入は慎重に

河野大臣がダイナミックプライシング(変動制運賃)の導入に意欲的で「ソフトメーターを使って外国のようなサービスができ、需要の掘り起こしができる」と発言したことが報じられた。国土交通省も意欲的だと聞いている。しかし、公共交通だから同じ地域では同じような運賃で安心して乗れるのが基本だ。ダイナミックプライシングという海外のサービスとはウーバーのことを言っていると思うが、日本でのウーバーのサービスは2年前に大雪の時、成田空港まで2万5千円で行くところを10万円も取っていた。利用者にとってどこが良いのか。忙しい時間帯には料金を高くして閑散時間帯には安くするというのは利用者の足元を見て料金を決めていると感じる。国交省はダイナミックプライシングをどう考え、どのような運用が予定されているのか教えて欲しい。

【回答】
懸念する点、私も共感する部分がある。ダイナミックプライシングの名前と報道が先行して若干真意が伝わっていないので我々の考えを紹介したい。2月22日の規制改革推進会議で議論があったのは事実だ。ダイナミックと言う言葉が一人歩きしている。基本的には利用者に受け入れられない変動幅にする予定は無い。海外で行われているようなハリケーンが来ると何倍にもなる運賃制度をそのまま日本で導入できるかと言うとタクシーは公共交通機関なので受け入れられる幅や制約がかかってくると認識している。では、なぜこのような議論が出てきたかというとタクシー需要が伸び悩んでいる中で空いている時間帯にこれまで使ってこなかった利用者を新規開拓する。混んでいるときに捕まえられない時に一部変動すると言うのは議論としてあると思う。ただ、儲かれば何でもいいと言うわけでは当然ない。公共交通としての制約はある。それを頭に入れて検討を進めたい。いきなり全国で展開すると言うよりは実証実験を限定的な環境でやってみてから、慎重にやっていくと考えている。

北海道地連・鈴木さん
〇北海道地連・鈴木さん

運転手に年齢制限が必要

実車時の行灯消灯を要請したが、昨年は地域特性があるので全国一律にというのは難しいとの回答だった。色覚異常者の方々が「空車の赤色文字が見にくいので夜間だけでも行灯が消えてくれればわかりやすい」との要請を受けて質問している。実際、押しボタン式信号も赤色から白に変わりつつある。夜間の実車時にも行灯がつく札幌では東京などから来た観光客が空車と勘違いする。夜間の実写時に行灯を消すことで色覚異常者にも観光客にも優しい。国の政策として検討してほしい。
2つ目は、北海道のタクシー運転手の年齢を見ると60歳以上が70%を超えており、83歳の法人タクシー運転手もいると聞いている。「年齢に制限なし」では高齢化が度を超してしまう。見直しできる点は見直してほしい。事故が起きる前に。

【回答】
高齢ドライバーについて、個人タクシーの方は定年制度が設けられている。少子高齢化が進んでいるため高齢者になればなるほど事故はどうなるのか。少子高齢化が進んでいるので若返りを図ると言うことがどこまでできるか。
また、タクシー運転を生活の糧としているなど、いろんな事情を考えながら、「最後は守るべきは安全だ」と思うので、何ができるか考えていく。

愛知地連・本田さん
〇愛知地連・本田さん

悪質事業者に監査を厳しく

運輸局・支局が監査を行っているが、警察の捜査とは違い監査をして不適合的なところを発見し、指摘・指導して改善するのが目的と言うことは理解しているが、コロナ禍においての監査が、悪質事業者に手を差し伸べ、まじめ事業者に背を向けているような監査になっていないか。
まじめな事業者を守るための監査として悪質事業主には厳しい姿勢を見せて欲しい。

【回答】
指摘についてはしっかり受け止める。悪質事業者に対して行政として徹底的に監査をやっている。現場の監査官にも周知徹底させる。

富山地連・石橋さん
〇富山地連・石橋さん

UD車両開発に運転者の声を

UDタクシー、特にジャパンタクシー(JPN)の全国的に普及を進めてきたが、乗務員からは使い勝手が悪い。スロープは何度か改良が加えられているが、「車イスの乗り降りに時間がかかる」等の構造的な問題がある。開発段階から労働者の代表を加えてほしい。

【回答】
ユニバーサルデザイン(UD)タクシーを使い勝手の良いものとして作っていかなければならない。次なるものがあれば、利用者目線、乗務員目線、事業者目線を入れていきたい。自動車メーカーに今の声を届けたい。障害者の利用者から感謝の声が旅客課にも届いている。

【その他の質問への回答】

①マスク着用義務化については、国交省が標準約款を作り、全国一律に義務化するのは難しい。
②特定地域の指定の延長は1回だけとなっている。3年経過して1回延長して6年が最長。その後の延長はない。これが原則だ。


●雇調金:4・5月も30%減で特例措置 ●法違反を繰り返す事業者は送検も(厚労省)

ハイタクフォーラムは3月9日、14時30分より、衆議院第一議員会館大会議室を会場に、厚生労働省に対し6項目の要請書を提出し、交渉を行いました。
厚生労働省の小林内閣官房審議官が挨拶した後、各要請事項について回答しました。回答の要旨は以下の通り。

●雇用維持と法令違反事業者の摘発
 
【回答】
雇用調整助成金の特例として、「1日の上限1万5000円」「中小企業10分の10の特例措置(解雇しない場合)は4月末まで。その後の5月・6月からは段階的に特例を縮減していくが、売上が対前年又は前々年比で30%減少している事業所においては状況特例で引き続き特例の措置を講ずる。今後も雇調金のあり方を検討していきたい。
摘発指導の強化について、コロナの影響下でも最低賃金の支払いや休業を命じた場合の休業手当の支払いは労働基準法で定められている。必ず遵守してもらう。労働基準法に違反する事業所が確認されたら法違反を是正するように指導を続けている。情報把握に努めコロナ禍においても適正な労務管理がなされるよう取り組んで行きたい。
厚労省を代表して挨拶する
大臣官房審議官の小林聡氏


●感染症対策について

【回答】
タクシー乗務員の優先接種に関して、コロナワクチンは優先順位を設けることとなった。医療体制の確保のために医療従事者が第1順位。
重症化リスクを抑えるために高齢者と基礎疾患を持つ方を優先的に摂取していただく。職種をもって優先順位を設けることにはならなかった。

●累進歩合制の完全排除

【回答】
歩合給の非連続的なものは指導の対象としている。累進歩合は有給休暇の取得を抑制する効果が強く、この観点からも廃止は必要。

●給与体系・運転者負担

【回答】
給料体系のあり方に関しては労使の話し合いによる決定が原則。給与体系を直接指導する事は権限上難しい。しかし、最低労働条件を下回ってはならない。有給休暇は請求する時季に与えるのが大原則。労働者に休業させておいて使用者が一方的に有給休暇として扱うことはできない。

●最低賃金の遵守

【回答】
歩合制を採用する場合でも労働時間数に応じて最低賃金時間額を支払わなければならない。必要に応じて労働者から聞き取り等も行い正確な事実関係の把握に努める。法違反を繰り返す悪質な事業者に関しては送検することを含めて厳正に対処する。

質 疑

〇北海道・鈴木さん

最低賃金と健康診断で回答をいただいた。「周知します」「監督指導します」これは何回も聞いている。しかし全然改善されない。最低賃金を払ってないから雇用調整助成金の申請をできない事業者もある。労働局は知らないはずがない。監督指導・送検までやってくれ。そうしないと改善されない業界だ。最低賃金違反の摘発に努めてほしい。
 「同一労働・同一賃金」が中小企業でもスタートするが、例えば定年までは60%、定年後は55%と歩合率を定年後に差をつける事について、ガイドラインを見ると「是正してください」となっている。配分率は低いが売り上げが高く賃金が高い場合もある。「同一労働・同一賃金」の考え方が整理されているのであれば教えて欲しい。

【回答】
監督指導が実施できていないことに関してお詫びする。すべての違反事業所に監督ができているとは言い切れない。情報の収集でいろんな声を拾い上げている。精度を高める努力を重ね、監督指導できるよう研鑽を積んでいきたい。
歩合制であっても、パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条(同一労働・同一賃金)が適用され、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不都合な待遇差の解消が求められる。同一企業内のタクシー運転者について、正規雇用と非正規雇用で歩合の割合に差をつける場合、当該待遇差が職務内容、配置の変更範囲、その他の事情のうち、賃金の性質・目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理であってはならない。個別の事案は、労働局の雇用環境・均等部まで相談を。

●富山地連・石橋さん

組合員に解雇通知が出た。コロナ解雇・便乗型解雇であることは明らかだ。解雇した事業者は全面休業中で副委員長1名だけを解雇してきた。
地元の監督署にも相談に出向いたが、「労働委員会に相談してみたら」と言われた。雇用を最大限守るのが国と厚労省の方針。解雇が必要なのかどうか、一度事業所に対して確認し、中身に問題があるなら指導・監督して欲しい。

【回答】
厚労省の指示内容は、コロナを原因とするような解雇が疑われた場合は、正当な理由があるものか手続きが正当か確認するのが方針だ。裁判例などを紹介しながら、「こういう理由だと不当解雇が認められる可能性があるよ」と周知啓発する事となっている。各労働局が方針に沿って対応しているかどうかは確認したい。


愛知県自動車学校労働組合 執行委員長 加藤 禎之

自教部会の2021春闘要求については、全自交労連の中央委員会に提案された自教労働者2021春闘の素案を自教の春闘方針として書面決議にて意見集約することになりました。その結果、自教部会の賃金要求は、賃上げ要求を月例1万円、一時金要求を年間80万円以上とすることを構成組織の賛同を得て決定しました。
要求額の具体的な理由については、2020春闘の賃上げ妥結額の最高が3000円台でしたが、2021春闘の要求額については、生活維持分と賃金回復分を考慮し、自教労働者にふさわしい賃金を得るため、全自交労連の統一要求額である月額1万円を採用しました。
また、2020春闘での一時金の妥結額は、年間で30~70万円台でしたが、年間80万円以上の一時金要求は、指導員の業務の重要性を考慮して妥当かつ現実味のある要求であると考えています。
なお、コロナ禍における自教の現状は、昨年4月に新型コロナ感染症の拡大で全国に緊急事態宣言が発出され、自動車教習所も休業要請の対象となり、1ヶ月間の臨時休業となりました。その休業期間中の賃金については、ほとんど補償されましたが、1ヶ月間の休業によって在校生の教習がストップしたことや休業要請解除後の急激な入校生の増加により、在校生が例年を多く上回り、繁忙期同様の協力出勤の要請が現在も続いていることから、指導員の多くは心身共に疲弊しています。
現在の新型コロナの感染者数が過去最高を記録し、首都圏の1都3県に2回目の緊急事態宣言が発令され、その後も関西や東海の都市部に緊急事態宣言が発令されており、今後の感染者数の動向によっては、全国的に緊急事態宣言発令の拡大が懸念されます。
このような状況の中、例年になく厳しい2021春闘がスタートしますが、2021春闘では、全自交労連2021春闘方針と同様に、賃金の大幅下落により厳しい生活を余儀なくされてきた労働者の苦境を訴え、他産業との年収格差是正と公共交通労働者にふさわしい賃金水準を確保するとともに、新型コロナ感染症の拡大により、再び休業要請がなされた場合の賃金の全額補償と勤務中に新型コロナに感染した場合には完治するまでの間の賃金を全額保証することを自教経営者に求め、直面する2021春闘を精一杯闘う決意です。

2021年2月執筆


新居浜支部駅前分会を迎え、春闘方針を決定

全自交愛媛地本は2月21日、愛媛地本会議室において第66回中央委員会を小規模・短時間で開催しました。
冒頭、徳永副委員長が開会挨拶し、篠崎中央委員を議長に選出した後、挨拶に立った宮岡委員長は「コロナの感染拡大で一番忙しい12月で前年比約40%減となり、現在も回復していない。厳しいとは言え賃上げ要求はしっかりする。これ以上の賃金・労働条件の引き下げは許されない。組合員の団結力で春闘を闘っていこう」と訴えました。その後、野平財政部長が中間会計報告を行い、森書記長が活動報告と春闘方針を提案。月額1万円の賃上げ、一時金年間100万円等を柱とする春闘方針を決定し、2月26日付けで要求書を提出することを確認。最後に宮岡執行委員長による団結ガンバローで終了しました。
春闘での奮闘を誓い合う参加者

記念誌を受け取る駅前分会の
松下分会長(中)
新居浜で新たに駅前分会を結成

組織拡大キャラバンを継続してきた愛媛地本で昨年12月、労働相談を契機に新居浜市の駅前分会が新たに結成され、中央委員会で松下国光分会長が決意を述べました。宮岡執行委員長より愛媛地本55周年記念誌が贈呈されました。


コロナに負けず春闘に勝利しよう
4月・北海道2区補選での「松木けんこう」の必勝を

春闘と選挙の奮闘を呼びかける鈴木委員長
全自交北海道地連は2月15日、北海道鉄道会館5階大会議室で2021春闘臨時大会を開きました。
新型コロナウイルス感染予防のため来賓を招かず、執行部7名、代議員10名(委任24名)の参加者で、三密を回避し少人数・短時間で密を避け開催しました。大会議長にはダイコク労組の佐藤委員長、書記は寿労組の草彅書記長が務めました。主催者を代表し挨拶した鈴木委員長は「作年2月に多くの運賃ブロックで運賃改定が実施されたが、新型コロナ感染症が猛威を振るい、運賃改定効果を消しさる記録的な減収となった。感染症の拡大で組合員の生活が成り立たないほど営収が落ち込み、雇用調整助成金を活用した休業の実施により感染リスクの軽減と出番者の営収を確保する立場で、労使で協議を行った。」「新型コロナ感染症の収束の目途も立たず、ワクチン接種も遅れ、取り巻く環境は改善されていないが、要求しないことは現状を追認していることになる」と訴え運転者不足の解消とそのための賃金・労働条件改善が重要であることを呼びかけました。
また、菅首相のコロナ対応を厳しく批判し、10月までに間違いなく行われる衆議院解散総選挙の奮闘を訴えるとともに、4月に行われる北海道2区補欠選挙での「松木けんこう氏」の必勝に向けた奮闘を要請しました。
さらに、ライドシェア合法化阻止の運動継続を確認し、2021春闘方針案を承認した後、鈴木委員長の音頭で「コロナに負けずに春闘に勝利しよう」と団結ガンバロウを三唱して臨時大会を成功裏に終えました。


コロナ終息まで共に頑張ろう

全自交石川ハイタク連合会は2月15日、石川交通本社ビルにおいて、第36回委員会を書面開催として人数制限をした上で開き、2021春季生活闘争の統一要求を決定しました。
冒頭、畠下委員長が挨拶し、「コロナ禍の中で生活に苦しむ組合員のために、軸となる統一要求をしっかりとしたものにし、一致団結して闘い抜き、新型コロナの終息まで共に頑張っていきましょう」と述べました。
その後、委員より回収した「賛否回答票、意見質問票」に基づき、2020秋闘報告、中間会計報告、2021春闘方針(案)、委員会アピール(案)の全てを満場一致で可決しました。
最後に畠下執行委員長の音頭で団結ガンバロウを三唱して終了しました。
2 0 2 1 春闘での奮闘を誓う仲間


コロナ禍で問い直す公共交通とウーバーイーツ

「交通の安全と労働を考える市民会議」は2月16日、オンライン集会を開き、戸崎肇大美林大学教授、川上資人弁護士、浦田誠国際運輸労連政策部長の3名が公共交通の安全性確保とコロナ化でのウーバーイーツ拡大の問題、ライドシェアへの警戒を訴えました。


移動困難者の接種会場への輸送をタクシーで

ワクチン接種が4月から始まるのを控え、宮城県塩釜市は3月3日、県タクシー協会塩釜支部と協定書を交わし、集団接種会場に出向くのが困難な移動困難者の住民にタクシーを提供することとしました。静岡市と水戸市ではタクシー運賃の一部を補助する予定。


個人の懐が潤い、希望を生む社会へ

こぶしを突き上げる富山地連の仲間
富山地連(石橋 剛委員長)は2月15日、富山交通福祉棟会議室で第42回委員会を開き、執行部、代表委員、オブザーバー19名の出席で2021春闘方針を確立しました。
石橋委員長は挨拶で「厳しい中でも組合員の生活を守ることが労働組合の使命。雇用を守る前提で、減少した賃金を少しでも元に戻すために労使が知恵をしぼる2021春闘としたい」「エッセンシャルワーカーとして感染リスクを負いながら日々仕事に従事する労働者に直接支給される危険手当を正々堂々と国や県に求めよう」と呼びかけました。
春闘方針の提起では、ライドシェアにつながる自家用有償運送の安易な拡大反対と乗務員の雇用維持の重要性が強調されました。2021春闘方針を満場一致で採択した後、ガンバロウを三唱し、成功裡に終了しました。


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