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ライドシェア導入を許さず、タクシーを地域交通の主役に






個人の懐が潤い、希望を生む社会へ

コロナ危機は戦後、最も深刻で影響が大きく長期の危機
雇用調整助成金の特例期間延長は絶対に必要

今年は、戦後の日本社会がこれまで経験したことのない深刻な危機の中で新年を迎えました。新型コロナウイルスの感染拡大は多くの人命を奪い、これまでの生活様式を変容させる程、甚大な影響を社会に与えています。本年を「コロナ危機を乗り越え、ライドシェア不要の地域交通を作り出す年」にしなければなりません。立憲民主党の逢坂誠二衆議院議員を迎えて新春対談を行いました。

司会・松永次央書記長

逢坂誠二衆議院議員には、タクシー政策議員連盟のメンバーとしてタクシー政策の前進にご尽力いただいていることに敬意を表します。
昨年から大きな影響を与えている新型コロナ感染症対策や危機に瀕している公共交通の課題についてお話しいただきたいと思います。
松永次央書記長

伊藤実中央執行委員長
伊藤実中央執行委員長

昨年の2月から世界と日本に大きなダメージを与えながら感染を拡大させてきた新型コロナウイルスは、「世の中の風景が変わった」と表現できるほど、社会に甚大な影響を及ぼしています。いつ収束するかわからない不安が社会を覆っていますが、「三密を避ける」とか、「ソーシャルディスタンス」が定着してきましたし、そのことによって社会の状況が変わってしまい「以前には戻らない」と多くの人が感じていると思います。私たち全自交労連としても新しい生活様式に順応した運動と政策要求が必要になってきていると思っています。
タクシーは重要な公共交通機関でありますし、今年こそこの危機を乗り越えて生活の向上が実感できる年にしたいと思います。


逢坂誠二衆議院議員

これまでもオイルショック、バブル経済の崩壊、金融危機などいろんな危機がありましたが、コロナ危機はどれと比べても深刻でしかも国民全体への影響が大きく、それが長く続いている。こんな危機は私の人生では経験がありません。
政治的にはこれに対応するために3回も補正予算を組みました。そのいずれの補正予算も借金で組んだわけです。こんなことは前代未聞です。戦後の歴史ではないことです。
一方で明らかになったのは、直接生身の人間が接しなければ人の命に係わるような仕事をしている人がいっぱいいることです。いわゆるエッセンシャルワーカーの人たちです。医療・介護従事者、保育士の皆さん、物流や交通を担っている人などです。新しい生活様式が広がる中、人と接する仕事に就く方々を支援することは大きな政治的課題だと思っています。
国交省の資料によれば、タクシー事業者の98%が資金繰り支援を受けており、81%が雇用調整助成金を申請しています。つまり、休業しているわけですが、タクシーは人が生きていくために必要な仕事であり、それを維持していかなければなりません。雇用調整助成金のコロナ特例の延長は非常に重要で、絶対に必要だと考えてきました。2021年2月までの延長が決まりました。この延長を政府に強く求めて来ましたが、必要に応じて再延長も要請します。
予備費を使って、生活が困難な人への支援に回すことも必要だと考えています。
逢坂誠二衆議院議員(立憲民主党)


ハイタク乗務員に危険手当の支給を実現させたい
個人給付に慎重な政府は何を見て政治をしているのか

伊藤実中央執行委員長

社会に欠かせない仕事をしているエッセンシャルワーカーの人々が低賃金で働いており、そのことが大きな問題だと思います。
エッセンシャルワーカーへの直接的な支援として、北海道の旭川市が保育士に対して1人につき5万円を支給し、バス・タクシーの交通従事者に対しても1人につき2万円の直接給付を決定して実行しました。
全自交として、感染リスクを抱えながら昼夜にわたって現場で働いているハイタク乗務員に危険手当を支給してほしいと要求していますが、これからも要求を続けて実現させたいと思っています。
公共交通は公共性が高いのですが、その多くの部分を民間企業が担っています。体力がない企業も多く、ハイタク産業などは中小事業者の比率が圧倒的に高い産業です。
コロナ禍の影響でタクシー事業者が倒れていったときに、地域住民の生活や経済活動に大きな影響を与えてしまいます。交通事業者を守るための事業者支援を継続することが必要ですし、タクシー運転者のほとんどの人は収入が低下し、生活不安に晒されている現状にあり、危険手当等の個人への直接支援が待ち望まれているのが現状です。

逢坂誠二衆議院議員

タクシー運転者に対して慰労金を支給するという取り組みは、実際に現場で働く人の大変な状況に即した取り組みだと思います。
今の政府は、持続化給付金の業務を請け負った電通グループ等に対しては、その手数料を大盤振る舞いするわけですが、エッセンシャルワーカーとして頑張っている人や生活に困窮して苦しんでいる個人への給付には極めて慎重な態度です。
何を見て政治をしているのかと思います。政治の使命として新型コロナ感染症から国民の命を救わなければならないわけですから。



ライドシェア問題

ライドシェアは最悪の仕組み、絶対にやってはならない
「スーパーシティ構想」でのライドシェア解禁に警戒



新年の抱負を語り合い思いを一つにする
伊藤実委員長と逢坂衆議院議員
逢坂誠二衆議院議員

小泉政権時代の規制緩和で、バス・タクシーも参入自由になったわけですが、これで大変な状況になりました。
都市部では客の奪い合いが始まり過疎地など不採算地域では、バス路線の廃止が議論されるようになったのです。当時、私はニセコという町の町長として、相当に苦労しました。
タクシーも大幅に規制緩和されて「食うか食われるか」の世界になりました。事業者も淘汰されるような状況になってしまったのです。
地域や事業の実態に応じて、必要な規制見直しもあると思います。でもね、ライドシェアなんてちょっと見は良さそうに見えますが、最終的は国民にとって最悪の仕組みになると思いますよ。いいのは中間搾取している事業者だけです。運転手さんも大変、利用者も大変。だって責任のない仕組みですから。
新しい言葉に国民もすぐに飛びつきがちなんだけれどもこんなライドシェアは絶対にやってはならないと強く思っています。

伊藤実中央執行委員長

現在、国家戦略会議などで「シェアリングエコノミーが進んでいないのは既得権益者の抵抗が原因だ」と言う主張が出ています。
また、スーパーシティ構想でもライドシェア解禁が狙われている状況にあり、警戒を強めています。規制改革推進会議の答申も運行管理をないがしろにする内容です。最近は物流版のライドシェアの動きも顕著になっています。

逢坂誠二衆議院議員

海外で発生した犯罪を見ると、責任がマッチング事業者にない。何かトラブルがあった場合、お客様にどうやって補償するのか、どうやって安心を与えるのか、そういうことが何もない状況です。コロナ禍の中でライドシェアのような話がどうして出てくるのか。わたしにしてみれば火事場泥棒よりなお悪いと思っています。
高齢者も多くなるし、歳をとれば車の運転もできなくなるから、便利なアプリを使って移動するのは良さそうに見えるんですが、その時に安全はどう確保するのか、サービスの質はどう保つのか。顔が見える人だけならいいのですが、いろんな業者が付け込んで来て、全く顔が見えない人たちが入ってきたら地域に不安だけが広がります。
最初はコストが安くて良さそうに見えるものは、実は後にコストが高くつくということになるんです。タクシー事業者については今の地域の実態に併せて普通のタクシー営業以外の取り組みも検討していくことが必要になってきているのかも知れませんが、それはタクシー事業者と議論すればいいのに全く違うアプローチでやっている事についてすごく問題だと感じますよ。


特定・準特定の指定基準を見直し、適正化を進める

伊藤実中央執行委員長

準特定地域の指定が2021年9月30日まで延長されましたが、新型コロナの影響で運収が激減した2020年4~5月の輸送実績を含めない中での判断であり、現状はもっと異常な供給過剰状態になっています。今回のコロナ禍を機に指定基準の見直しを是非実現し、適正化を進める年にしていきたい。

逢坂誠二衆議院議員

指定基準の見直しは全力を尽くして対応できるように頑張っていきます。なぜなら、タクシーの存在は地域を守ることにつながっているからです。タクシーが無くなってしまうと地域はより衰退の方向に向かっていきます。タクシーが機能している地域はやっぱり暮らしやすい。バスの役割も大事ですが、路線バスだけでは住民の全部の需要には応えられません。
タクシー事業者が安定的に経営できる環境を作り、働いている皆さんも「タクシーで食べていける」とならないとダメです。規制緩和の荒波を受けたタクシーを立て直し、安心して利用できる社会にすることが大事なんです。


経験者がいるうちに政権交代を実現し、希望が持てる社会に

逢坂誠二衆議院議員

私たち立憲民主党の基本的な考え方は、経済の調子が良くなった結果、不幸せになる国民が増えることであってはならない。経済の調子が良くなって、「人にやさしい経済」にならなければならないという考えです。だから、大企業だけが儲かって、内部留保が史上最高を記録したのに、従業員の皆さんは食うや食わずの生活をしているとか、非正規労働者が4割を超える状況ではダメなんです。個人の懐が潤う経済にしたいと思うんです。そうすることで人生にハリが出ますし、希望も持てる。そういう社会を実現したい。しかも早く。あの「3年3か月」の政権交代の経験をした人がいるうちにやらなければならない。「政権交代したけど、いちから勉強」ということではいけない。
全自交の皆さんとも同じ方向で進める仲間だと思っていますので、応援よろしくお願いします。

伊藤実中央執行委員長

立憲民主党の綱領を読ませてもらったんですが、考え方が一緒だと思っており応援していきたいと考えています。タクシー政策も政治の流れを変えないと良くならないとも考えておりますし、今年もどうぞよろしくお願いします。



コロナ禍の厳しい実態を訴え、支援求める
各支局長が自治体の首長にバス・タクシーへの交付金支援を要請

東北交運労協は12月11日、仙台市「ハーネル仙台」で第31回東北地方運輸行政懇談会を開き、東北交運労協からは加盟産別・地方組織の28名が出席。全自交東北地連から4名が出席しました。また、東北運輸局からは亀山局長をはじめ7名が出席し、コロナ禍における東北地方の交通・運輸の厳しい課題について意見交換しました。
東北交運労協の小池議長は挨拶で、コロナ禍の中での開催に感謝を述べるとともに、「迅速かつ徹底した新型コロナ感染症への対応を運輸局と連携して取り組んでいきたい」と述べました。
東北運輸局の亀山局長が日頃からの協力に感謝する挨拶をしたのに続き、運輸局の担当者が東北における運輸と観光の動向を報告し、要請事項に回答しました。
タクシー関係では、16項目の要請の中から、タクシー乗務員の感染防止について、「対策費用を引き続き支援していきたい」との回答がなされました。
意見交換では、全自交東北地連の江良委員長が運賃改定で公定幅運賃の幅が縮まったことを評価するとともに、このコロナ禍での厳しい現場の実態を訴え、協力を要請しました。さらに、タクシー事業者のほとんどが中小零細企業であるため、事業継続への支援協力についても要請しました。
東北運輸局からは「運輸局としても各支局長が自治体の首長を訪問し、タクシー・バスに対する交付金による支援を要請している」との答弁がありました。
コロナ対策を求めた東北地方運輸行政懇談会


春闘方針を審議し、春闘スローガン案を決定



全自交労連は12月10日、全自交会館で第1回中央執行委員会を開き、コロナ禍の中で闘われる2021春闘方針を審議するとともに、春闘スローガン(案)を決定し(上記スローガン参照)、第99回中央委員会の開催日程・運営方法を確認しました。
また、要請があった中央執行委員の交代を承認し、中部地連(愛知)の岡山尚志氏、九州地連(長崎)の中村満雄氏、関西地連(大阪)の森田貫二氏の3名が新たに中央執行委員に就任しました。
また、名古屋自動車学校地位確認等請求事件訴訟の継続支援を決定しました。


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