全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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地域交通を担う安全・信頼タクシー実現 ライドシェア導入阻止!違法な白タク摘発!
2019年度運動方針(案)要旨職場討議資料

Ⅰ.はじめに

7月21日投開票で行われた参議院議員選挙では、与党が改選議席の過半数を確保したものの、自民党は議席を減らし参議院での改憲勢力が3分の2(改憲発議に必要な数)を割り込む状況を作り出しました。全自交が推薦した比例区の3名が当選を果たすとともに、選挙区でも多くの推薦候補者が健闘しました。安倍政権の7年余にわたる大企業・富裕層優遇の経済政策により、労働者の実質賃金は低下し、若者を自殺に追いやる格差社会と「足りない年金」の問題等の将来不安を高めてきました。また、強権的な国会運営を続け、「戦争のできる国づくり」に向けた戦後史を画する悪法を次々成立させ、沖縄新基地建設やミサイル基地建設を住民無視で進めています。さらに、10月から消費税率10%を実施することで、低所得者に負担を強い、タクシー産業をはじめ疲弊を深める中小零細企業、個人事業主と地方経済に大きなダメージを与えることは確実であり、安倍政権打倒の大きなうねりを作り出していかなければなりません。
2015年にウーバーによる福岡でのライドシェア実験を中止に追い込んで以来、交通の安全と労働を破壊する白タク・ライドシェア合法化の動きが続いています。この攻撃は、規制緩和で傷んだタクシー産業の適正化・活性化の取り組みを機能停止にさせ、タクシー産業と公共交通の存立基盤を奪うものであり、国民から安全・快適に移動する権利を奪う攻撃です。竹中氏や三木谷氏等を筆頭に「移動・交通分野の徹底した規制緩和」を叫び、「規制のサンドボックス制度」を活用したライドシェアの実証や国家戦略特区での「東京オリンピック・パラリンピックに向けたライドシェアの本格的な実現」が狙われてきましたが、反対運動で阻み止めているのが現状です。
6月の未来投資会議による成長戦略実行計画案において、地方の人口減少、公共交通の衰退、運転者不足などを理由に自家用車有償旅客運送の規制緩和が示されましたが、「交通空白地」の拡大適用を含め、なし崩し的に自家用有償運送が拡大することでライドシェア解禁に道を開かないよう警戒しなければなりません。訪日外国人を対象とした白タク行為やCREW(クルー)による違法行為を許さず、今後ともタクシー業界が一丸となって反対運動を展開するとともに、広範な連携を築き上げて絶対に阻止していかなければなりません。
安倍政権は、労働分野でも攻撃を強め、「裁量労働制の業務拡大」や「解雇の金銭解決」の導入をもくろむとともに、「労働組合のない社会」にするために労働基本権に対する攻撃(組合つぶし)もエスカレートさせています。不安定雇用と低賃金、長時間労働と過労死を日本社会に蔓延させ労働者の団結権を奪おうとすることを絶対に許さず、労働組合を労働者の生活・権利のよりどころとして再建していかなければなりません。
全自交労連は、魅力ある労働条件を確立し、地域交通を担う安全・信頼タクシー実現に向けて奮闘します。※内外情勢の特徴(略)


2019夏季セミナーで運動の前進を誓う
Ⅱ.ハイタク産業の動向

1.タクシー事業の現状
2018年3月末現在、全国法人タクシー事業者数は前年から84社減少し、車両数も18万6247台(前年比▲2545台)となりました。日車営収(実働1日1車当たり)は3万891円(前年比+766円)で9年連続改善となっていますが、地域間格差が拡大(東京=4万9571円、宮崎=1万6623円)しています。

2.タクシー産業の特徴的動向
ⅰ訪日外国人を対象とした違法な白タク行為の横行
訪日外国人向け白タク違法行為は都市部だけでなく全国の地方都市にも広がってきています。警察の取締りと摘発や地方運輸局による実態調査なども行われ、多くの逮捕者も出ていますが、引き続き空港や港等の施設管理者、地方運輸局、警察、自治体が連携した啓発活動と取締り強化を求めていかなければなりません。
ⅱ「任意の謝礼」を求める事実上の違法な白タクを都内で展開するCREW
CREWは、都内でマッチング事業を行い、「登録・許可は不要であるためタクシーではない」と主張し、「料金は燃料等の実費とプラットホーム手数料と任意の謝礼で、謝礼はゼロ円から設定可能」と説明しています。しかし、ドライバーが謝礼を払わない利用者を低く評価し、事実上「謝礼ゼロでは配車されない」のが実態で、利用者に謝礼の支払いを求めることで成り立っている白タク違法行為です。運輸当局の実態調査と違法行為の摘発を強く求めていかなければなりません。

ⅲウーバー・滴滴(ディディ)がタクシー配車として全国に拡大中
ウーバーは、スマートフォンアプリを使ったタクシー配車サービスを名古屋で開始して以降、青森・仙台・郡山・京都・大阪・兵庫県淡路島・広島に進出しています。また、滴滴(ディディ)も、大阪・東京・千葉・北海道・京都・兵庫・広島・愛知・沖縄に進出しています。ウーバーや滴滴は、秩序破壊的な運賃無料キャンペーンによる顧客囲い込みを展開しています。現段階では「タクシー会社と協力します」と表明しながらも、「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」ことにならないよう、安易な拡大には警戒が必要です。
ⅳ政府の諮問機関等による白タク・ライドシェアの合法化の動き
6月5日に未来投資会議が会合を開き、成長戦略実行計画案を審議し、①自家用有償旅客運送の見直し、②タクシーの相乗り導入、③MaaSの実現を盛り込みました。タクシー事業者が交通空白地の輸送を確保するために積極的に関与することの必要性を理解したとしても、こうした自家用有償旅客運送の規制緩和が、地方の人口減少や公共交通の衰退、運転者不足などを理由になし崩し的に拡大してライドシェア解禁に道を開かないよう警戒しなければなりません。

3.タクシー産業の適正化・活性化と地域公共交通の再生に向けた取り組み
1改正タクシー特措法の取り組み状況4月10日現在、全国631営業区域のうち、21地域が「供給過剰の状況がみられる地域」として、特定地域の指定を受けています。新たな指定もありますが、運転者の賃金改善とは無関係に7地域が特定地域の指定を解除されました。また、117地域が準特定地域に指定されていますが、この間20地域も減少しています。準特定地域の指定解除は、公定幅運賃の対象外となるばかりでなく、新規参入と増車が可能となることから指定解除に反対の声を上げなければなりません。
2地域公共交通網計画の策定状況
利便性の高い地域公共交通ネットワークの構築が求められており、安易に自家用有償運送を拡大したり、「登録・許可を要しない自家用輸送」に頼ることは、安全で安定的な輸送サービスの提供を困難にしていくことを訴えるとともに、ライドシェア不要の地域交通の創造に奮闘します。

4.タクシーの進化を目指した取り組み
全タク連は「新たに取り組む事項」に、MaaSへの積極的参画、自動運転技術の活用方策の検討、キャッシュレス決済の導入促進、「運転職場環境良好度認証」制度の普及促進、労働力確保対策の推進について議論、大規模災害時における緊急輸送に関する自治体との協定等の締結の推進等、9項目を追加し取り組みを進めるとしています。


白タク合法化阻止のデモ行進に出発する仲間
(3月8日・東京)
Ⅲ.新年度の運動の基調
1.労働条件と働く環境を改善し、若年者に魅力あるタクシー産業に
究極の規制緩和であるライドシェア合法化の攻撃が続く中、労働条件改善を目的とした改正タクシー特措法による取り組みの限界が露呈しています。乗務員不足も要因として利用者の減少に歯止めがかからない状況が続いていますが、「進化するタクシー」として利用者ニーズに応え、地域生活・ビジネス・観光・福祉等に欠かせないタクシーとして社会的信頼を勝ち取っていかなければなりません。需要を生み出し、輸送の効率化を実現しながら、労働条件の改善が実感できる環境づくりに全力を上げます。また、悪質事業者を排除し、公共交通労働者にふさわしい労働条件を築きながら、タクシー労働者が誇りを持って働き、若年者にも魅力あるタクシー産業となるために全力をあげます。

2.安全と雇用を破壊する白タク合法化を阻止する
安倍政権の下で東京五輪の開催前に白タク・ライドシェアを合法化しようとする動きが加速しています。「規制のサンドボックス制度」や国家戦略特区制度の活用が叫ばれるとともに、自家用有償運送の分野で一層の規制緩和も進められようとしており、警戒が必要です。ライドシェア不要の公共交通のネットワークを構築し、生活交通を確保することが国や自治体の使命であることを訴えて運動します。

3.組織の拡大・強化を進め、力強い全自交の運動を展開しよう
乗務員不足が進むタクシー産業は、労働条件の大幅改善が待ったなしで問われています。政策闘争を強力に推進するためには組織の拡大・強化が必要不可欠であり、私たちは、タクシー労働者の労働条件改善と社会的地位の向上にむけて、タクシー労働者の人間らしい労働環境の確立を全力で追求します。
また、地域運動や平和運動などの社会的労働運動をこれまで以上に発展させるために奮闘します。


Ⅳ.魅力ある労働条件と労働環境を確立する取り組み
1.タクシー労働者の賃金・労働条件と求人倍率の実態
ⅰ長時間労働・低賃金の労働実態【2018年厚労省:賃金構造基本統計調査】
2018年のタクシー運転者(男)の全国平均・月間実労働時間数は、194時間で全産業(男)との比較で13時間長くなっています。賃金格差はさらに深刻で、タクシー運転者の推計年収は2018年で348万円であり、全産業(男)との格差は実に210万円に達しています。また、タクシー産業内部の地域間格差も拡大しています。
ⅱ乗務員の高齢化と乗務員不足の深刻化
タクシー運転者(男)の平均年齢は60・1歳となり、調査以来、初めて60歳を超えました。高齢化に歯止めがかからず、全産業(男)との比較では17歳も平均年齢が高くなっています。最も高い福井県では平均年齢が67歳を超える事態となっています。低賃金が運転者不足をますます深刻にさせる要因となっており、一般職業紹介状況では職業計の有効求人倍率が1・64倍であるのに対し、自動車運転の職業の倍率は3倍超え、歩合給制による不安定な賃金体系で働くタクシー運転業務に就労を希望する人は格段に少ない状況にあります。

2.生涯職場として安心して働ける労働条件の整備
ⅰ固定給中心で安心して働ける賃金体系の追求
私たちが追求してきた生活安定型賃金は、固定給中心の賃金体系であり、基本給に諸手当を付加した固定部分を設け、一定額(足切り)以上の営収部分に対して歩合給を算出して上積みする形で、一時金及び退職金があるA型賃金であり、それを追求します。
ⅱ改正タクシー特措法成立時の国会附帯決議の履行に向けて
改正タクシー特措法成立時に衆・参両議院において附帯決議が採択され、①累進歩合の廃止、②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠距離割引の是正、⑤運転代行の兼務禁止、⑥過労防止対策の推進、の6つを完全履行させるために奮闘します。

3.年次有給休暇の年5日指定義務の遵守
労基法改正により、4月1日から、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対し、年5日以上の有給休暇を取得させることが罰則付きで使用者に義務付けられたことから、これを確実に実行させます。この際、慶弔規程の特別有給休暇取得日数は「年5日取得」から控除できないことに注意が必要です。また、年次有給休暇を取得しても賃金が目減りしないように有給休暇の手当改善(仮想営収方式の導入等)をしっかり求めていきます。年次有給休暇を取得する年間計画を作成するなどして、有給休暇が取得しやすい環境を整備します。

4.運転者最低賃金に向けた企業内最低賃金協定の推進(略)

5.労働基準法・最低賃金法と「改善基準告示」の遵守
最低賃金が引き上げられるにつれて、経営側の最賃違反逃れの策動が露骨になっています。客待ちや待機時間を不就労とする違法な労働時間カウントや3時間を超える休憩時間の設定は改善基準通達に違反します。ハイタクの労働基準法違反率は84・8%、改善基準告示違反は32・5%となっています。私たちは、労働基準法違反、改善基準告示違反、最低賃金法違反については絶対に見逃すことなく全ての職場で点検活動を強化し、タクシー職場の違法行為を一掃するために全力をあげます。

6.雇用形態の違いによる差別禁止
 正社員と有期雇用契約社員(定年後の再雇用者含む)との不合理な差別は禁止されています。正社員と同じ業務内容でありながら雇用形態の違いだけで不当な差別的賃金が支払われることがないよう、労働組合としてしっかり点検し、改善しなければなりません。不合理な差別を禁じた短時間・有期雇用者の雇用管理改善法が2020年4月1日に施行(中小企業への適用は1年遅れ)されるのを前に厚生労働省は、同一労働・同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)を策定し、基本給、昇給、賞与、手当、福利厚生等について、「問題となる事例」、「問題とならない事例」を具体的に例示しました。


Ⅴ.ライドシェアの合法化阻止と適正化・活性化策の推進
1.白タク・ライドシェア合法化を阻止する運動の強化
ⅰ違法な白タク行為の摘発
 訪日外国人観光客が増加する中、外国籍ドライバーが無許可で有償送迎する白タク違法行為が横行しています。関係機関による対策会議の設置や実態調査の実施を全国的に行い、監視・摘発・取り締まりを強化し、違法な白タク行為を一掃することを運輸局や警察に要請します。

ⅱ事実上、謝礼を求めるCREW(クルー)の営業を中止に追い込もう!
東京都内で「任意の謝礼」と称して事実上、運送の対価を利用者から求める違法な白タク事業を展開するCREWについて監視を強め、違法性が確認された場合は営業を停止させるよう関係機関に要請します。

ⅲ「交通の安全と労働を考える市民会議」のシンポジウムの推進
2016年8月5日に設立された「交通の安全と労働を考える市民会議」は、これまで、21回にわたるシンポジウムや学習会を開催してきました。開催地も14都市に及び、シンポジウムへの参加者も延べ約4000人となりました。ライドシェアの危険性とライドシェアを不要とする公共交通ネットワークの構築について訴えていきます。

ⅳ地方議会によるライドシェア導入反対の意見書採択の推進
地方自治法第99条の規定に基づくライドシェアの導入に反対する意見書が全国で取り組まれ、8月9日現在、197の地方議会で国会と政府機関に対する意見書が採択されました。この取り組みを継続します。

2.タクシー適正化・活性化の推進
特定地域の指定期間が延長されたにもかかわらず、期間満了前にタクシー運転者の労働条件の改善がないまま、他の指定要件で特定地域の指定が解除される地域が現れています。また、事業環境や労働条件が悪化しているにもかかわらず、人口要件だけで特定地域に指定されない状況もあり、「30万人の人口要件」をはじめとする特定地域の指定基準の見直しを求めます。

3.高齢者事故防止と安全・便利な地域公共交通をつくる取り組み
自治体との連携をこれまで以上に進め、交通政策基本法及び地域公共交通活性化・再生法に基づく「地域公共交通網形成計画」の推進とその実行をはかり、安全・便利な地域公共交通づくりを進めるよう働きかけを強めます。
また、高齢運転者による痛ましい死亡事故が相次いでいる現状に鑑み、高齢運転者の事故防止に向けて、免許返納者への助成と自家用車に頼らない公共交通の整備及びその利用に対する運賃補助等の支援を求めます。

4.安全で便利な地域公共交通をつくる取り組み
①交通政策基本法、地域公共交通活性化・再生法に基づく「地域公共交通網計画」を推進するよう求めます。②高齢ドライバーの事故防止に向けて、免許返納者への助成と自家用車に頼らない公共交通の整備を求めます。


公共交通としてのハイタク政策確立への要求課題

1.特定地域と準特定地域の指定基準を、労働条件が悪化したままとなっている地域が特定地域に指定されるよう、タクシー乗務員の賃金を指標とする基準に見直すこと。とりわけ、30万人の人口要件を不要とすること。
2.特定地域及び準特定地域で日車営収の微増や人口減少をもって指定を解除するのではなく、賃金・労働条件の改善状況を基準に判断すること。
3.改正タクシー特措法の成立時の国会附帯決議をすべてのタクシー職場で実現するよう事業者を指導すること。とりわけ、累進歩合の廃止や不当な運転者負担の見直しについては重点的に行うこと。
4.ライドシェアと称する白タク行為は、輸送の安全破壊や無権利労働の拡大につながることは明らかであり、国家戦略特区や「規制のサンドボックス制度」においても絶対に認めないこと。
5.地域公共交通網形成計画の策定が全国で推進されるよう、自治体、事業者等に働きかけを強めること。
6.UD(ユニバーサルデザイン)車両の導入を促進するために、自治体の補助を新設・拡充するよう自治体に働きかけること。
7.安全輸送を確保する観点から第2種免許の取得要件を緩和しないこと。
8.公定幅運賃制度を全国に適用すること。また、現行の公定幅運賃に従わない事業者に対し強力な指導を行い、公定幅内への運賃変更を行わせること。
9.特措法改正時の附帯決議にある「過度な遠距離割引の是正」の「5千円超5割引」の廃止に向けて尽力すること。
10.自家用有償旅客運送については、そもそも福祉輸送や交通空白地の輸送で公共交通機関により難い場合に例外的に認められているものであり、その趣旨を逸脱した自家用有償旅客運送の拡大を行わないこと。(その他・略)
国土交通省と交渉する全自交らの仲間(3月・東京)


Ⅵ.政治課題の取り組みと反戦・平和運動の推進

1.安倍政権による憲法改正の発議を阻止しよう。
安倍政権は、韓国への輸出制限を実行し、日韓関係の極度の悪化を作り出す一方で対米従属外交と米国との軍事一体化を推し進めています。米中対立も激しさを増し、朝鮮半島・東アジアの軍事的緊張が一層高まっています。こうした中、7月の参議院選の結果(改憲勢力が憲法改正の発議に必要な3分の2を割り込む)を受け止めることもせず、憲法9条の改正と緊急事態条項の新設等に向けた憲法改正論議を求め、発議を狙って攻撃を仕掛けようとしています。安倍政権はこれまでも、国家機密法、安保関連法、共謀罪等を成立させ、日本を「専守防衛の国」から「海外で武力行使できる国」に変えるとともに、反対運動を弾圧し監視密告社会にする流れをつくってきましたが、9条改憲はその総仕上げと言えるものです。私たちは、戦争の道を拒否し、「戦争のできる国づくり」を許さず、世界の恒久平和の実現と憲法理念が活かされる日本をつくるために全力で運動します。
経済政策の大失敗が実質賃金と労働分配率をかつてない水準にまで低下させてきました。内需と国内消費を冷え込ませる格差を生み出しながら、富裕層や大企業には優遇政策をとり続けています。国民の生活をないがしろにして政治的利権をむさぼる自民党の金権腐敗政治を打倒するために立ち上がりましょう。


沖縄・辺野古新基地建設阻止!(5月・国会周辺)





地震問題は深刻不安の奴隷にするな



第一日目に国交省自動車局旅客課の古曵郁美課長補佐が講演し、タクシーの現状や将来像について貴重な内容を提案しました。
古曵課長補佐は、まず「遠くを見て目線を上げる」として、
①バス・タクシーの需要サイドの未来
②供給サイドの未来について課題を提起
し、その後「明日の課題に備える」として、過疎地・交通不便地域における自家用車の活用拡大に関する国家戦略特区の規制改革事項に追加されたライドシェア問題について述べるとともに、地域公共交通活性化・再生法に基づく公共交通の再編のイメージについて紹介しました。

また、新経済連盟からのライドシェアの提案と国会における議論の状況等について述べ、最後に、「ピンチとチャンス」「競争と協創」「普遍と多様」の重要性を強調し、環境の激変に対応し、利用者と共に創る安全な輸送機関としてのタクシーの将来像を参加者に伝えました。
タクシーの将来像を語る古曵郁美課長補佐

2.残業代ゼロ、裁量労働制拡大、解雇の金銭解決を跳ね返そう
安倍政権は「働き方改革」を叫び、今後は一旦挫折した「裁量労働制」の業務拡大を再び狙って準備を進めるとともに、解雇の金銭解決を制度化して、不安定雇用と低賃金、長時間労働と過労死、労働組合弱体化を図ろうとしています。さらに、「雇われない働き方」を推奨し、労働法の適用を受けず労働組合にも入れない無権利の労働者(フリーランス)を大量に生み出すことも狙われています。誰もが安心して働き生活するために、こうした労働法改悪の動きを跳ね返していきましょう。

3.次期衆議院選挙に勝利しよう
次期衆議院選挙はまさに日本の針路を掛けた重要な選挙です。現状への不満と将来不安に対する思いを行動で示し、格差と貧困を拡大しながら戦争に向かう安倍政治を打倒し、「誰もが希望をもって安心して生活できる国」にしていかなければなりません。安倍政権の下で命が粗末にされ、民主主義が傷つき、憲法までも変えられようとしている今こそ、政治の流れを変えるために団結してたちあがるときです。次期衆議院選挙に勝利し、平和の下で基地被害や原発事故に怯えることもなく、日々の労働が確実に報われる社会を実現しましょう。
私たちは、平和フォーラム等と連携し、次の課題の実現をめざして行動します。
1.憲法改悪に向けた国会発議を許さず、9条改憲と緊急事態条項の新設を阻止するために全力をあげます。
2.過労死を助長し、労働組合の弱体化を狙う「裁量労働制」の業務拡大、解雇の金銭解決制度の導入に反対します。
3.最低賃金の大幅引き上げとランク制廃止で全国一律・時給1500円の最低賃金を求めます。
4.言論の自由を奪い監視・密告社会をつくりだす共謀罪の廃止を求めます。
5.核兵器廃絶・脱原発社会の実現のために行動します。
6.東日本大震災や自然災害からの復旧・復興のために国の責任ある対策を求めます。また、福島第一原発事故の原因究明、汚染水対策、損害賠償などについて国と東電の責任ある対応を求めます。また、原発に依存しないエネルギー政策への転換を求めます。
7.沖縄・辺野古の新基地建設に反対し、米軍基地の縮小・撤去を求めます。秋田県と山口県に建設予定の迎撃ミサイル基地(イージス・アショア)に反対します。
8.消費税の10%への増税に反対します。
9.年金・医療・介護の切り捨てに反対し、社会保障制度の拡充を求めます。
10.いわれなき差別とあらゆる人権侵害を根絶するために、部落解放共闘をはじめとする運動に参加し、基本的人権の確立のために行動します。
11.全自交のタクシー政策・交通政策の要求実現のため、支持政党・議員と連携して政策活動を進めます。国政選挙や地方自治体選挙では、全自交労連のタクシー政策に理解を示す候補者・政党を推薦し、その当選をめざして闘います。


Ⅶ.地方組織の防衛と組織拡大・強化に向けた取り組み
1.組織拡大運動の推進
ⅰ職場の組織率向上と交渉力強化
①労働組合の組織率は、団体交渉の力関係に大きく影響を与えることから、加盟組合の各職場での組織化を最優先課題として取り組みます。春闘をはじめとする単組活動を強化し組織の拡大を図ります。
②乗務員の高齢化の現実を直視し、全ての職場で定年年齢を過ぎて働く定時制、嘱託者の組織化に全力をあげます。こうした取り組みを強化し、全ての加盟組合が過半数組合を目指します。
③全自交が取り組む「ハンドル共済」への加入を推進し、組織率向上に努めます。

ⅱ街頭宣伝活動の推進
①同じ地域で働く未組織労働者との接点を拡大するとともに、組織拡大を目的とした街頭宣伝を果敢に展開し、全自交加盟組合の労働条件や交通政策を訴えながら、地域の組織拡大をめざします。
②地域において、個人加入の地域ユニオンづくりも検討し、全自交職場のOBをはじめとする地域のタクシー労働者の組織化に力を入れます。

ⅲ労働相談・生活相談の強化
(略)

2.機関紙活動の重視
職場で組合役員がまじめに組合活動を行っていたとしても、一般の組合員にその情報が伝わらないことがよくあります。タイムリーに機関紙を発行して組合活動の内容・情報を伝えることは、組合活動を円滑に進めるために大変重要です。組合員にとって、組合費は給与から天引きされて収めることが一般的ですが、その組合費がどんな活動に使われているのか分からないままでは組合の意義や必要性も伝わりません。機関紙を発行して組合活動を伝えることは「組合費の領収書」を発行することと言えます。機関紙担当者をみんなで支え、組合員に「伝えたい」「わかってほしい」「考えてほしい」と思うことを伝え続けていかなければなりません。機関紙でつながる強固な労働組合を目指して奮闘します。
●SNS(ソーシャルネットワーク)の活用(略)

3.学習活動の強化
地域によっては、運動の主力を担う役員の高齢化が進んでいます。全自交運動の継承・発展のために次世代を担う活動家の育成は焦眉の課題となっており、以下の取り組みを推進します。①地連・地本や単組における学習会の計画的な実施、②単組における労働協約の内容の確認と賃金計算等の学習、③若い世代の組合役員を育成する観点から、全自交労連の主催する大会、中央委員会、夏季労働セミナーやブロックの催し等への積極的参加。


Ⅷ.自動車教習所労組の闘い

1. 自動車教習所を取り巻く情勢
政府が進めてきた経済政策は、労働分配率を低下させ、実質賃金を押し下げ、年金・社会保障の不安を高めるとともに、消費増税が個人消費をさらに低迷させることが確実視されています。終身雇用が減少する中、若者に非正規雇用が広がり、こうした不安定な雇用形態が格差社会を深刻なものにしています。
普通車の免許取得が可能となる18歳人口は1992年の204万人をピークに減少に転じ、2030年にはピーク時の半分の102万人になり、その後も減少し続ける予想となっています。また、若者の支出内容も変化し、スマートフォン、パソコンや資格取得に消費が向かい、バイクや自家用車購入への関心は低下し、「車離れ・免許離れ」と呼ばれる状況にあるといわれています。こうした動向が入校生の減少を招き、自動車教習所産業に大きな影響を与えています。一方で高齢運転者の事故の増加が社会問題となる中で、免許返納者も増加していますが、高齢者講習にしっかり対応し、講習の質を確保することに対する社会的要請も高まっています。
自動車教習所は、地域に根ざして仕事と生活を支える重要な社会インフラであり、①運転免許を取得するための教育施設、②各種法定講習の機関、③地域の交通安全教育センターとしての社会的役割を将来にわたってしっかり担っていくことが必要です。
自動車教習所を取り巻く環境変化により、指定教習所数・卒業者数の減少傾向に歯止めがかからない状況が続いており、この10年間で指定教習所数が71減少し、卒業者数も5万人減少していますが、今日の車社会の安全を支える役割を果たしていかなければなりません。
警察庁の統計による交通事故の発生状況は、発生件数、死者数、負傷者数で戦後最低を記録し続けていますが、事故全体に占める65歳以上の高齢運転者の事故割合が年々増加しています。高齢運転者(65歳以上・第1当事者)の死亡事故件数は全体の3割以上を占めています。こうした状況を改善するためにも指定自動車教習所を「地域の交通安全教育センター」として大いに活用し、高齢者の事故や悪質事故を減らす対策に活かさなければなりません。指導員を増員して70歳以上の免許証更新する者に対する高齢者講習をさらに充実させるとともに、75歳以上の高年齢者については、認知機能検査を受け、その結果に基づいた高齢者講習をしっかり行うとともに、身体の機能や判断力の低下がみられる場合は、それを自覚してもらうことで、運転免許証の返納を促進させることが必要です。

2. 自教労組の運動課題
入校性の減少が続く状況下で、安全運転講習、高齢者講習、二種免許業務、違反者講習等の委託拡大、普通免許教習生への原付教習の義務化を求めてきました。若年入校生の減少を各種の業務拡大で補う方向を今後とも強めるとともに、高齢者講習の単価引き上げを柱に地域の「交通安全教育センター」として公的助成も要求します。
(1)雇用・労働条件改善の取り組み
労働条件の不利益変更や不当労働行為を許さず、真摯な団体交渉を通じて、自教指導員にふさわしい賃金・労働条件の確立を目指します。
自教職場における年齢構成の変化が進んでいるとともに、正社員比率が低下傾向にあり、人件費率の低下に作用しています。次世代を担う若い指導員を定着・育成する観点から適正な定期昇給の確保に奮闘します。
また、働き方改革関連法案が成立しましたが、この法律を盾に特例の制限時間まで時間外労働が拡大されないよう、原則として示されている「月45時間、かつ、年360時間」の遵守を求めていきます。
さらに、待機時間(インターバル)を含めて適正な労働時間の算定による賃金の支払いを行わせ、サービス労働(不払い労働)をなくします。
また、事業の休止・廃止、譲渡など、雇用・労働条件にかかわる経営変更については、労働組合と事前に協議し、同意を得てから実行するよう協定します。
(2)自教における政策課題
①教習水準の低下につながる教習料金のダンピングや規定時間内卒業を謳う誇大広告などに対する規制の実現。②高齢者講習指導員資格が地方公安委員会でも取得できるようにすること。③高齢者講習、講習予備検査の料金を適正化するとともに、受講者(受験者)の負担軽減のための公的補助制度を導入すること。④普通免許教習生に対して任意で行っている「原付教習」を義務化すること。



ゴルフカートが港町の狭路を疾走

電動ゴルフカートを小型車として運行
交運労協ハイタク部会(伊藤実部会長)は9月2日、広島県福山市の「鞆の浦(とものうら)」で運行を開始した「グリーンスローモビリティ」の視察を行いました。全自交労連の4名を含め総勢9人が参加しました。
電動ゴルフカートを一部改良し、タクシーの小型車として運行しており、狭い道が多い港町を軽快に疾走しています。最高速度は時速20kmに設定されており、地域に住む高齢者の通院・買物の足として利用されているとともに、観光名所の多い鞆の浦を訪れる観光客にも人気です。
鞆の浦は先の大戦時に空襲を受けることもなく、常夜灯が立ち、歴史ある港町の風情がそのまま残っています。また、石畳の狭路でつながる丘の上の寺院も多く存在しており、街並みにフィットした乗り物として定着しています。
参加者の全員が乗車体験をした後、福山市役所鞆支所の会議室で運行関係者との意見交換会を行い、アサヒタクシー株式会社の山田康文社長、福山市都市交通課の桒原陽介課長補佐、中国運輸局旅客第二課の舘昭憲課長補佐と同交通企画課の山田大嵩企画係5名が関係者として対応しました。

石畳の狭い山道もスイスイ走る
運行を決意し実行したアサヒタクシーの山田社長は「すぐに自家用有償運送を導入する話にならないよう、タクシー会社が運行する青ナンバーのタクシーとして採算度外視で挑戦した」と語るとともに、福山市の都市交通課としっかり連携して取り組んでいる状況を説明しました。意見交換ではライドシェアにスキを与えることなく、タクシー事業者と自治体が連携する重要性が強調されました。運輸局は安全を確保して認可。観光ガイドも兼ねて良質なサービスを提供する乗務員も快適な運行を支えています。


通常の運賃改定の早期実施を

兵庫県交運労協ハイタク部会(北坂隆生部会長)は9月5日、神戸市で兵庫県タクシー協会との意見交換会を行ない、全自交兵庫地連の6名と私鉄関西ハイタク労連副委員長、吉川紀興タクシー協会会長ら3名と五十嵐一俊兵庫県タクシーサービスセンター長が出席しました。
神戸・阪神地区、淡路島地区の通常のタクシー運賃改定が継続審議扱いになったことについて、協会側は「10月1日実施で認可を受けると思っていたので消費増税の転嫁分だけとなってしまい大変残念だ。メーター改造を2回しなければならず大きな出費である。全国的な動きなので全タク連を通じて早期に認可されるように働きかけていく」と述べ、労働側は「すべての公共料金を認めないのであればわかるが、JR北海道の20%前後の運賃値上げは認可されている。運賃改定は労働条件改善が目的であり便乗値上げではない。タクシー政策議員連盟を通じて追及していく」として労使協力のもと早期の認可を求めることとなりました。また、10月から予定していた、新神戸駅の普通車乗り場とUDタクシー乗り場の設置、三ノ宮、神戸、明石、西明石各駅での小型車・中型車乗り場の統合は、通常の運賃改定が実施されるまで保留することとなりました。
「2021世界パラ陸上競技選手権大会」が神戸で開催され、吉川会長が市内外輸送等の担当委員に選ばれました。「この大会を通じて、UDタクシーの国の補助60万円と併用し,神戸市から30万円の補助を実現したい。また、兵庫県や県内の市町にも補助制度の設立を働きかけていく」と報告がありました。
挨拶する吉川会長(中央上)


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