全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


ホーム > ニュース > 2018年12月25日掲載



はじめに

【格差を是正し、公共交通を担うにふさわしい労働条件を確立しよう】

1995年に日経連が「新時代の日本的経営」を発表し、①長期蓄積能力活用型(正規雇用)、②高度専門能力活用型(残業代ゼロで問題となった高プロ制度等)、③雇用柔軟型(非正規の使い捨て労働)の3グループを併用した雇用政策への転換を進めてきました。その結果、今や非正規労働者は4割に迫り、来年4月から「残業代ゼロ」「定額働かせ放題」の高度プロフェッショナル制度の導入が始まろうとしています。そして、安倍政権の富裕層・大企業優遇政策で「中間層」は破壊され、低所得者層が増大し、貧困率はOECDの中でワースト2位となっています。また、大企業が過去最高の純利益を上げているにもかかわらず、中小零細企業や地方経済は疲弊を深めています。労働分配率も低下し、企業の取り分が上昇する中、労働者の実質賃金も第2次安倍政権発足時から5%減少しており、国内消費を冷え込ませています。さらに、2019年10月1日から消費税の10%への引き上げが狙われており、事態はさらに深刻さを増していくのは確実です。国民生活を顧みない安倍政権を全力で打倒し、生活不安の払拭と底堅い内需拡大を通じた経済の好循環に軌道修正することが求められています。
安倍政権がもたらした重層的な格差社会と経団連・中西会長の「賃上げを一律に交渉するやり方は時代にそぐわない」「春闘という言葉をやめよう」との主張を厳しく批判するとともに、他産業との年収格差が218万円もあるハイタク労働者の労働条件改善が急務であることを広く訴えていかなければなりません。2019春闘では、他産業との格差是正と公共交通を現場で担う労働者にふさわしい労働条件を求めて闘います。

【労働条件を整備し、働く者に魅力あるタクシー産業にしよう】

2018年9月の有効求人倍率は1・64倍で、正社員の有効求人倍率(1・14倍)と新規求人倍率(2・50倍)は過去最高を更新しました。職業別求人倍率では、「自動車運転」が3倍を超えています。これほどの人手不足にもかかわらず、タクシー産業では賃金・労働条件の改善は進まず、若年者の雇用が増えない中、乗務員の高齢化が進んでおり、平均年齢は59・4歳まで上昇し、年金受給者の比率も高まっています。まさに「労働条件の改善なくして、産業の未来なし」というひっ迫した状況を迎えています。
タクシーは地域の生活に欠かせない公共交通機関として期待が高まっていますが、安全輸送と良質なサービスや「仕事への誇り」を維持するためにも、家族を養える賃金水準を早急に確立し、賃金体系や勤務シフトの改革を進め、若年者や女性にとって魅力ある労働条件として整備しなければなりません。2019春闘では、定年まで安定して働ける「生涯職場」となるよう、安定雇用と退職金制度の充実にも全力をあげます。

【長時間労働是正に向けた着実な取り組みを進めよう】

「働き方改革関連法案」が本年6月29日に成立し、時間外労働の上限規制が罰則付きで導入されることとなりましたが、自動車運転業務は施行から5年後「年960時間・月平均80時間」の上限規制が導入されることとなりました。過労死ラインと言われる「月80時間」を上限とすることは認められません。労働組合として36協定の締結時に長時間労働の是正に向けて努力することが求めらます。時間外労働が、一般側の上限の原則とされる「月45時間、年360時間」以内になるよう努力します。また、有給休暇が10日以上ある者に対して最低5日を取得させる事が使用者の義務となります(施行日:2019年4月)。さらに、勤務間インターバルについても11時間(日勤勤務に限る)の協定化をめざします。

【白タク・「ライドシェア」合法化許さず、タクシーの産業基盤を守ろう】

訪日外国人を相手に主要な港・空港を舞台にした違法な観光白タクが拡大しており、取締りの強化が求められます。都心部で自家用車輸送に謝礼を求めるCREWの運行にも監視が必要です。
また、「ライドシェア」の合法化に向けた世論誘導や「国家戦略特区」、「規制のサンドボックス制度」を活用して規制を突破しようとする動きもあり、警戒が必要です。海外のライドシェア企業がタクシー配車という形態で日本に上陸し、ウーバーが名古屋市で、滴滴(ディディ)が大阪市で営業を実際に開始していますが、この動きを「ライドシェア解禁に向けた布石」として受け止め、その拡大を阻止しなければなりません。
同時に、「過疎地で(規制に)風穴をあけ、大都市部で展開する」という流れを断ち切ることが求められます。労働運動・市民運動の力を発揮し、地方自治体の意見書採択を拡大するとともに、無権利労働の問題や物流への影響等も訴え、ライドシェア解禁の世論を変えるために運動を強化していきます。
2019春闘は、労働条件改善と同時に、タクシーと公共交通の産業基盤を守る政策闘争を「車の両輪」として推進します。

Ⅰ春闘を取り巻く情勢

【世界経済】
2018年10月の「IMF(国際通貨基金):世界経済見通し」では、2018年と2019年の成長率予測〈世界全体〉を3・7%とし、0・2ポイント下方修正しました。引き下げ要因として、激しさを増す米中貿易摩擦が成長に影を落とすとともに、米国の利上げが新興国からの資金流出を引き起こすことを指摘しています。また、世界的な「協力の促進」を強調するとともに、「生産性を向上させ、利益を広く分かち合える」必要性を訴えています。
主要国の成長見通しは、〈米国〉2019年は対中追加関税と中国の報復関税の影響から2・5%に下方修正。(ユーロ圏)ドイツの製造業を中心に受注や貿易量の減少が影響し、2018年を2・0%に下方修正。〈中国〉貿易障壁の高まりとともに減速し、2019年を6・2%に下方修正しました。
米国の没落、中国の台頭、アジアの成長、テロの脅威が進行し、新たなパワーバランスの時代を迎える中、トランプ政権の「米国第一主義」「力による平和」を掲げた秩序破壊的な貿易戦争(対中国貿易戦争)とイランに対する経済制裁発動が世界経済に負の影響を及ぼしています。

【日本経済】
日銀は2018年10月に「経済・物価情勢の展望」を発表し、2018年度は海外経済の成長のもと、「緩和的金融環境や政府支出による下支えなどを背景に潜在成長率を上回る成長を維持するとみられる」と指摘しつつも、「2019年度から2020年度にかけては設備投資の循環的減速や消費税引き上げの影響を背景に成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気拡大基調が続くと見込まれる」としました。
しかし、2018年7~9月期の実質GDP(物価変動を加味した国内総生産)は▲0・3%(年率▲1・2%)となるとともに、中国経済の減速懸念を背景とする外需の停滞や度重なる災害の影響から減速感が強まっています。また、労働分配率の低下や社会保障負担、税負担なども含めた可処分所得の低迷などが個人消費の押し下げ要因となっています。消費税増税が消費を一気に冷え込ませる大きなリスクとなっています。

【雇用情勢】
9月の総務省「労働力調査」によると、正規労働者は7万人増加した一方、非正規労働者は115万人増加し、雇用者に占める非正規労働者の割合も38%を超えました。完全失業者は28万人減少し、完全失業率も2・3%まで低下しています。
また、厚生労働省が発表した2018年9月の有効求人倍率(季節調整値)が前月を上回る1・64倍で、調査開始以来の高水準を維持し、労働力不足が顕著になっています。産業別では、「自動車運転」が3倍となっており、平均値を大きく上回っています。

【勤労者の生活実態】
7月の「国民生活基礎調査の概況」では2016年の世帯所得は平均560万円で、前年を上回ったものの、過去最高だった1994年の664万円よりは104万円も低下しています。また、中央値は442万円で、平均以下に多くの世帯が収まっている状況にあり、平均所得以下の世帯割合は61・5%で、生活意識も「大変苦しい」「やや苦しい」の合計が55・8%にのぼっています。一般労働者の現金給与総額は、41万円まで回復しています。

Ⅱ.ハイタク産業の動向

【ハイタク産業の現状】

2016年度の法人事業者数(福祉輸送限定事業者除く)が、6231社(前年6300社・▲69社)で18万792台( 前年比▲1335台)、個人タクシーは3万5150台(前年比▲733台)で、合計の車両数は22万3942台(前年比▲2068台)となっています。タクシーの輸送人員は、13億8161万人まで減少し、営業収入は1兆4753億円に減少。日車営収(実働1日1車当たりの運送収入:法人タクシー)は、全平均で3万125円で7年連続改善しました。

【特徴的な産業動向】

「未来投資戦略2018」で「次世代モビリティ・システムの構築」を掲げ、「自動運転の実現に向けた制度整備」や「MaaSの促進」を今年度中に検討するとしました。10月23日には、「国家戦略特区諮問会議」が開かれ、「岩盤規制改革力が機能停止に陥っている」とし、「ハイパー国家戦略特区」の検討を盛り込みながら、AI(人工知能)やビッグデータを活用した「スーパーシティー」構想を提案。「スーパーシティー構想の実現に向けた有識者懇談会」を立ち上げ、懇談会座長の竹中平蔵氏が「スーパーシティーの5原則」を示し、自動走行やキャッシュレス化に言及し、「域内の規制設定権限をミニ独立国家と住民に委ねるべき」と主張しました。
「MaaS」が新たな移動サービスとして注目されていますが、実際、フィンランドのヘルシンキで2016年からサービスが開始されています。飛行機、電車、バス、タクシー、自転車等の交通手段を乗り継いで移動するルートをスマートフォン上で検索できるだけでなく、予約や支払も一度に行うことができ、利便性が飛躍的に向上するとともに、月額定額制も導入し、定額で自由に移動できる環境が整備されました。サービス開始後は、自家用車での移動が40%から20%に減少し、公共交通が48%から74%に増加。渋滞緩和や環境保護、公共交通の活性化に期待されています。国土交通省は、10月17日に「都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会」を立ち上げ、「ライドシェア」抜きで積極的に参画していく意思を表明しています。しかし、経済産業省は「規制のサンドボックス制度」の活用による規制改革に力を入れており、警戒が必要です。トヨタ自動車とソフトバンクが、新たなモビリティサービスの構築に向け「無人ライドシェア構想」を打ち上げ、自動運転による「MaaS」事業を展開するとしています。ソフトバンクの孫正義会長は「日本はライドシェアを認めないバカな国」と発言しているだけでなく、滴滴(ディディ)との合弁会社によるタクシー配車を大阪で開始しており、こうした動きを注視し警戒を強めなければなりません。「スマート送迎アプリ」と称し、都内でマッチング事業を拡大しているCREUは、「登録・許可は不要であり、タクシーではない」と主張し、「料金は燃料等の実費とプラットホーム手数料と任意の謝礼からなっている」「謝礼はゼロ円から設定可能」と説明しています。しかし、「謝礼ゼロでは配車されない」との情報もあり、利用者に謝礼を求める事実上の白タクの疑いがあります。訪日外国人観光客を対象とした白タクとともに、CREUのこうした違法性のある営業を野放しにしてはなりません。

Ⅲ.春闘の取り組みの基調

1.公共交通の労働者の誇りを持てる賃金に改善しよう!
タクシーの社会的使命を果たすためには、そこで働く労働者が誇りを持てる労働条件を確立することが必要です。公共交通労働者にふさわしい誇りを持てる賃金水準を求めて取り組みを進めます。

2.他産業との格差を是正し、若者にも魅力ある賃金・労働条件の確立
他産業との217万円を超えている年収格差を是正し、若者にも魅力ある賃金・労働条件を確立するために全力を上げます。

3.白タク排除!「ライドシェア」合法化阻止!
国家戦略特区や「規制のサンドボックス制度」を活用した岩盤規制の突破が狙われ、トヨタとソフトバンクが「MaaS」事業の展開を宣言し、「自動運転のライドシェア構想」を打ち上げました。白タクを確実に排除し、タクシーの存立基盤を破壊する白タク合法化を絶対に阻止する闘いを進めます。

4.悪質事業者を排除し、適正需給・適正運賃の確立へ
(略)

5.春闘で交渉力を発揮し、組織拡大へ
(略)

Ⅳ.賃金・労働条件改善の要求

私たちは、歩合制賃金への過度な依存や法令違反の蔓延を許さず、乗務員不足を改善するためにも労働条件を早急に改善し、固定給中心で家族を養い生計を立てられる賃金水準の確立を進めます。

●2019春闘の賃金要求(労働時間含む)
1.改正タクシー特措法の施行時の国会附帯決議である、①累進歩合の廃止、②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠距離割引の是正、⑤過労防止対策の推進、を完全に履行させます。

2.賃金の統一要求は賃金体系にかかわらず、生活維持分と賃金回復分として組合員1人当たり月額1万円を要求します。また、他産業との格差是正分として一時金の改善や退職金制度 の新設・改善等を各職場の状況に即して要求します。

3.労基法改正により、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対し、年5日以上有給休暇を取得させることが使用者に義務付けられたことから、これを確実に実行させます。また、労基法改正により使用者には各労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成する義務が発生したことから、これを確実に作成させます。あわせて、有給休暇の手当改善と慶弔規程の特別有給休暇の改善を要求し有給休暇が取得しやすい環境を整備します。

4.運転者最低賃金の創設に向けて、時間額1000円以上の企業内最低賃金協定の締結を要求します。

5.雇用形態の違いによる賃金等の差別がないよう、「同一労働・同一賃金」の原則の下、正社員と同じ勤務の契約社員や嘱託乗務員の賃金・労働条件を正社員と同一にするよう求めます。

6.ハイタクA型賃金と観光バスの一時金獲得目標は年間100万円とします。

7.退職金は、現行の退職金制度を維持し、支給額の上積みを要求します。また、退職金制度が無い職場では新たな退職金制度の創設をはかり、要求基準額は5年=50万円、10年=100万円以上とします。また、中退共への加入を促進します。

8.長時間労働の是正に向けて、「働き方改革」関連法にある時間外労働の上限規制(一般側)の原則である「月45時間かつ年360時間」を求めます。同時に、時間外労働の削減により給与総額の低下を招かないよう、効率的な勤務時間、休日及び所定内賃金の時間単価(歩合給については支給歩合率)の引き上げを求めます。ハイヤー等において、長時間労働が常態化しないよう、労働時間の把握に努め、過労死ラインの月80時間を超えないとともに、上限規制(一般側)の年720時間以内を求めます。また、「改善基準告示」の改正による月間総拘束時間の短縮が検討されていることから、日勤勤務や隔日勤務にかかわらず、月間総拘束時間の短縮を求めます。また、連続勤務(日勤勤務)の勤務間インターバルについて、11時間を求めます。

Ⅴ.ハイタク産業の基盤を守り活性化する政策要求

◆違法な白タクの摘発と白タク合法化阻止、地域公共交通の再生と活性化

①訪日観光客に対し、許可を得ない自家用車による有償運送が「白タク」として禁止されていることを周知徹底するとともに、関係機関による対策会議の設置や実態調査の実施を全国的に行うとともに、取り締まりを強化し、違法な白タク行為を一掃すること。また、レンタカーを使用した運転を兼務するガイド事業についても対策を講じること。さらに、東京都内で謝礼を求め、事実上、違法な白タクの疑いがある事業を展開するCREWについての監視を強め、違法性が確認された場合は、営業を認めないこと。

②いわゆる「ライドシェア」は二種免許や運行管理、車両管理を不要とし、事故のリスクも運転者個人に負わせることから、輸送の安全と利用者保護の面から問題です。また、運転者は請負業・自営業とされ雇用関係を認められないことから労働者の基本的権利をはく奪されて働くこととなり、労働の面からも問題です。さらに、持続可能性な輸送サービスを安定的に供給することが困難であり、こうした「ライドシェア」の合法化を国家戦略特区や「規制のサンドボックス制度」の実証としても認めないこと。また、新たな移動サービスとして「MaaS」( =Mobirity as a Service)の取り組みを進めるにあたって、「ライドシェア」を移動手段から除外すること。

③国は輸送の安全と雇用や労働を破壊する「ライドシェア」の合法化ではなく、自治体事業者・住民がしっかりと連携し、地域住民の生活を支える地域公共交通のネットワークを作るための支援を強化すること。
また、地方議会においてライドシェア導入反対の意見書が多数採択されており、その自治体の意向を最大限尊重すること。
◆タクシー適正化・活性化の推進と悪質事業者への処分強化

タクシー産業の再生と労働条件の向上を目的に改正タクシー特措法が施行されましたが、規制改革会議や公正取引委員会が特定地域の指定と適正車両数実現の計画に対し異を唱えるとともに、悪質な低運賃事業者が運賃裁判に訴えたことにより、台数・運賃の適正化が不十分なものとなっています。しかし、自治体・労働局・警察等も参加する「地域協議会」を設置し、台数・運賃の適正化や産業の活性化策を協議しているのは、あらゆる産業の中でタクシー産業だけであり、「地域協議会」に積極的に参加し、働く環境の改善のために精一杯、努力していかなければなりません。

①特定地域及び準特定地域の指定基準を見直し、労働条件が低下し対策が必要な地域が適正需給の確立等の必要な対策がとれるようにすること。
また、特定・準特定地域でとられた対策の効果を総合的に検証し、労働環境の改善に向けた取り組みの現状を調査・報告すること。
②公定幅運賃制度を全ての地域にも適用するとともに、適正な人件費が確保でき、利用者にも分りやすい地域統一の運賃となるよう、その下限運賃や運賃幅について適正化を図ること。また、過度な遠距離割引を是正すること。
③タクシー事業場の法令違反を一掃するために、関係省庁連携の下、監査・指導体制の充実強化をはかること。また、法令違反を繰り返す事業者を厳正に処分すること。

◆労働条件改善、労基法違反の一掃に向けた政策要求

①改正タクシー特措法成立時の国会附帯決議の通り、固定給と歩合給のバランスの取れた賃金体系の再構築、累進歩合制度の廃止、運転者負担の
見直し、過度な遠距離 割引運賃の是正等、賃金制度を改善するよう、全事業者を強力に指導すること。
②長時間労働にあるタクシー労働者の働き方について見直しを指導し、長時間労働の是正や休日の増加がはかられるよう働きかけを強めること。
③労働行政は、労働基準法・最低賃金法や改善基準告示の違反をタクシー職場から一掃するために尽力すること。

◆初乗り距離短縮運賃、事前確定運賃、相乗りタクシー、定期券 タクシー、変動迎車料金の検証と労働組合との協議機関の設置を求めます。

①初乗り距離短縮運賃、事前確定運賃、相乗りタクシー、定期券タクシー、変動迎車料金、が実証実験を経て導入されようとしていますが、その新たな運賃制度の導入が運送収入を低下させ、また、労働者にリスクを負わせることのないよう、しっかりと検証し、運送収入の低下や労働者負担の増加が懸念される場合は導入しないこと。
②新たな運賃制度の導入(事前確定運賃・相乗りタクシー等)に当たっては、実証実験段階から労働組合との協議機関を設置し、労働者の声が反映される取り組みとするとともに、検証作業においても労働組合を参加させること。

Ⅵ.闘いの進め方

1.春闘体制の強化
①各地連・地本及び各単組・支部・分会においては、春闘討論集会や学習会、春闘決起集会等の職場集会・地域集会を開催し、春闘情勢、方針、要求事項について意思統一をはかります。また、ストライキ権を確立し、組合員が一体となった闘争体制を築きます。
②団体交渉の内容を広く組合員に伝えるための「春闘ニュース」等を各職場で発行に努力します。

2.要求の提出と妥結の集中化
①第97 回中央委員会において2019春闘方針を決定し、それ以降は中央執行委員会のメンバーで中央闘争委員会を立ち上げ、春闘の指導を強化します。
②すべての地連・地本及び各単組・支部・分会は、要求提出日までにストライキ権(組合員の無記名投票による過半数の賛同)を確立します。
③要求提出は2月末日までとします。回答指定日は3月○○日とします。
④闘いのヤマ場には、ストライキを含む「統一行動日」「統一行動ゾーン」を設定して交渉を集中させ、解決を促進します。その日程は中央闘争委員会で決定します。
⑤春闘期間中に、連合、交運労協やハイタクフォーラムをはじめ地域の共闘を強化し、幅広い共同行動を組織しながら労働条件向上や白タク・ライドシェア反対の行動を組織します。

3.春闘における組織拡大の行動展開
1.各単組・支部は、職場の未加入者に対し、これまで以上に組合加入の働きかけを強化します。
執行委員会等で具体的な加入拡大目標とオルグ担当を決めて加入促進をはかります。
とりわけ、正社員の全員加入はもとより、嘱託・定時制の加入促進をめざして全力で取り組みます。
2.地連・地本は、春闘時に地域の全自交未加盟組合や未組織の仲間との交流を可能な限り組織し、学習会への参加や春闘に関する情報交換、春闘勝利に向けた共同行動を重ね、全自交加盟や労組結成を働きかけます。
また、アンケート等を通して対象職場の情報を得ながら、地域の賃金・労働条件の相場を伝え、職場課題の解決をサポートして、労働条件改善とともに、「公正競争確保」「同一地域における労働条件統一の重要性」を訴えながら、信頼関係を築きます。


クルーの実態把握と摘発を

挨拶する増子タク議連会長
タクシー政策議員連盟は12月7日、衆議院第一議員会館で総会を開き、ライドシェアに関して、政府からヒヤリングを行いました。
増子輝彦会長は「時代の変化が激しいが交通の安心・安全を守ることが大切だ」と挨拶しました。その後、関係省庁からヒヤリングを行い、国交省は新経済連盟からの提案に対し「安全確保・利用者の保護の観点から問題」と回答したことが報告されました。内閣官房(未来投資会議)、経産省に続いて総務省は、自身のホームページ上でMaaSを説明した箇所でライドシェアに関する不適切な記述を改めたことが報告されました。警察庁からは訪日外国人を対象とした観光白タクに関し、2018年11月末まで20件の検挙を行っていることが報告されました。
質疑では、都内で自家用車を使用し、謝礼を受け取り営業するクルーについて実態把握と摘発を望む意見が多数出されました。国交省は「謝礼ゼロで次に乗れないことなはいと言っている。通達に違反することがあれば対処する」と応じました。総会には、増子課長以下、30人の衆参議員が出席しました。


ライドシェア反対意見書の拡大を

全自交兵庫地連は、11月17日に第48回定期大会を神戸市中央区の神戸市教育会館で開き、白タク合法化阻止とタクシー適性化を図り、労働条件の改善をめざす2018年度運動方針を確率しました。
北坂委員長は、「安倍政権を取り巻く人達は、ライドシェア導入に向けて一歩も二歩も進んでいる、これを見逃せば、タクシー事業は崩壊し、私たちタクシー労働者の働く権利も失われてしまう」と訴えるとともに、「兵庫県議会と神戸市議会に続きライドシェア反対の意見書を拡大していこう」と呼びかけました。
来賓挨拶に立った全自交労連の伊藤委員長は神戸市で開かれた全自交労連大会の準備等に対し謝意を述べました。
他に、全自交関西地連の加藤委員長、全自交京都地連の蒲生委員長、連合兵庫の辻会長、兵庫県交運労協の中山事務局長、部落解放同盟兵庫県連の橋本書記長らが来賓として出席しました。
挨拶する北坂委員長


辻元清美衆議院議員が激励

全自交大阪地連は11月18日、大阪市北区のPLP会館で第73回定期大会を開き、1年間の運動を総括するとともに、改正タクシー特措法の実効性を高め、白タク・ライドシェア合法化を絶対阻止する運動方針を決定しました。
加藤委員長は、「シェアビジネスは無権利労働の拡大により格差を拡大する」と白タク合法化への危機感を強調しました。
来賓として全自交労連の伊藤委員長、兵庫地連の北坂委員長、成田書記長、京都地連の蒲生委員長、立憲民主党の辻元清美衆議院議員らが出席し、連帯の挨拶を述べました。
役員改選では加藤委員長他、三役全員が再選されました。
激励する辻元清美議員


辻元清美衆議院議員が激励

四国地連(四タク労連)は12月2日、高知・桂浜荘で四国地連第2回(四タク労連第48回)定期大会を開きました。 
傍士委員長は挨拶で春闘への目標、ライドシェア反対への取り組みを強調するとともに、「組合員の減少が続く中でも団結して頑張り抜こう」と述べました。
続いて本部・森田書記次長から取り巻く情勢で講演を受けた後、宮岡書記長が新年度運動方針案を提案。満場一致で承認されました。大会終了後、高知で組織拡大行動を実施し、翌日も徳島、香川で街宣し、ティッシュとビラを配り、加入を訴えました。
団結固める参加者


「ライドシェア」特区を求める大津市長を批判

開会挨拶する玉木昌美弁護士
「交通の安全と労働を考える市民会議」は11月20日、滋賀県大津市の「ピアザ淡海・滋賀県立県民交流センター」で「ライドシェア」を考えるシンポジウムを開き、約100人が参加しました。全自交労連と関西地連からも9人が出席しました。
市民会議の川上資人弁護士が司会を務め、滋賀弁護士会元会長で日本労働弁護団の玉木昌美弁護士が開会の挨拶を述べた後、首都大学東京の戸崎肇特任教授が講演しました。
戸崎肇氏は「安易なライドシェアの導入は地方を衰退に導く」と注意を喚起するとともに、「反対だけでなく対案が必要。鉄道・バス・タクシーが連携した高度なサービスが必要だ」と述べ、交通計画の策定を訴えました。
続いて、ITF(国際運輸労連)浦田誠内陸運輸部長は「MaaS」(出発から目的地まで複数の移動手段を組み合わせ最適化し、検索・予約・決済まで行えるシステム)について解説しました。
次に市民会議事務局の山口弁護士が講演した後、司会の川上弁護士が、大津市の国家戦略特区によるライドシェア導入を批判し「公共交通が存在する観光地でライドシェアを始めようとする滅茶苦茶な提案。タクシー労働者の労働条件が破壊される」と述べました。
質疑討論を行った後、滋賀県弁護士会元会長で日弁連元副会長の小川恭子弁護士が閉会挨拶を行い終了しました。

質疑討論 タクシーこそ広義の意味でライドシェアだ

講演後、質疑討論が行われ、大阪から参加した日本城タクシーの坂本篤紀社長が、ウーバーと提携して運行している京丹後の「ささえ合い交通」に関連して「タクシーこそ広義の意味でライドシェアだ。白タクなんか要らない」と意見を述べました。戸崎肇氏がこれに応え、「ささえ合い交通」について「ライドシェアとは呼べない異質なもの。視察した方が誤った情報を流しており危機感を持っている」と述べ、「私もタクシーこそがライドシェアだと言ってきた。タクシーは公共的・社会的に1台を共有する乗り物であり、まさにライドシェアそのもの。社会的に保有コストを最小限に抑えるものとして将来的にも有効な乗り物としてある」と応じ、参加者にそうした認識を広めていく重要性を訴えました。


職場の課題を出し合い権利を守る

全自交山形地本は11月27日、山形市・大手門パルズで第61回定期大会を開催し、新年度運動方針を決定しました。
遠藤委員長は「ライドシェアは海外で問題を起こしている」と指摘し、合法化反対を訴えました。東北地連の江良委員長や連合山形、平和センターの代表者らが挨拶し、全自交労連の高橋書記次長が講演しました。大会では参加者した代議員のすべての職場から課題を出し合い、来年4月からの有給休暇の年5日以上の取得義務等、労働者の権利を守ることを確認しました。
団結する大会参加者

組織拡大行動で加入呼びかけ

大会終了後、遠藤委員長らは、JR山形駅に移動し、タクシープールでライドシェア導入の危険性を訴えるビラを配布しました。「組合がなくなったら歩率が52%から41%に下げられた」との悲痛な声や「個人タクシーもライドシェア反対だ。一緒に阻止しよう」等の声が寄せられました。
チラシを配布する遠藤委員長


タクシー乗務員に1200枚のビラ配布

のぼりを立てチラシを配布する参加者
全自交関西地連は11月27、28日と30日の三日間、延べ44名が参加し、京都、大阪、兵庫の各主要ターミナルのタクシー乗り場でライドシェア合法化阻止と組織拡大を訴える街頭宣伝行動を行いました。 
27日はJR京都駅八条口を皮切りにJR高槻、摂津富田駅、京阪枚方市駅、北大阪急行千里中央駅をまわりました。28日は大阪府の南海堺駅から堺東、JR天王寺、近鉄阿部野橋界隈、ナンバ周辺、梅田周辺、JR新大阪駅、京阪・JR京橋駅で行動を展開し、30日は兵庫県下のJR兵庫駅から神戸、新神戸駅、JR三ノ宮駅、六甲道、住吉、西宮駅をまわった後、JR宝塚、阪急川西能勢口、伊丹駅、JR立花駅を順次まわり、阪神・JR尼崎駅で今回の組織拡大街宣行動を締めくくりました。
今回の行動で1200枚のチラシと宣伝用ティッシュ・マスクを配布しました。


ライドシェア導入反対の署名に共感

署名に協力する乗務員
全自交四国地連(四タク労連)は12月2日、3日の両日、組織拡大行動を行いました。
12月2日は、高知市内でハンドマイクを使って街頭宣伝を行い、四国地連作成のビラとテイッシュを配布しました。
翌日の3日は、徳島県内の徳島市、鳴門市、香川県内の高松市、坂出市を精力的にまわりました。
また、待機するタクシー乗務員にライドシェアの危険性を訴えるとともに、ライドシェアの導入に反対する署名への協力を呼びかけ、多くの乗務員が共感し、協力しました。


魅力あるタクシー産業に再生しよう!

元気よく団結ガンバロウを三唱する参加者
全自交富山地連は11月12 日、富山交通・福祉棟会議室で第39回定期大会を開催しました。
主催者を代表して挨拶に立った石橋委員長は「現在ハイタク産業は大きな変革期にあり、魅力あるタクシー産業に再生する取り組みを早急に
進めていこう」と訴えました。
来賓には、平和センターと社民党の代表が駆けつけ参加者を激励しました。
その後、新年度方針を提案し、地域公共交通網計画の促進や白タク・ライドシェア導入阻止を柱とする運動方針を確立しました。
最後に、全員で元気よく、18秋闘・19春闘の勝利、統一地方選・参院選勝利に向け、ガンバロウ三唱し、大会を成功裏に終えました。



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