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ホーム > ニュース > 2018年6月25日掲載



無責任な白タクなど、この国には必要ない



雨天をついてデモ行進する全自交の仲間
ハイタク労働8団体が決起集会とデモ行進

【特別決議】  「規制のサンドボックス」でライドシェア認めるな

ハイタク労働8団体(全自交・KPU・交通労連・自交総連・私鉄総連・新運転・全中労・中労協)は5月23日、東京・永田町の星陵会館で「白タク合法化阻止!安全な地域公共交通を守る5・23集会」を開き、全国から400人が結集し、「無責任な白タクなど、この国には必要ない!」と声を上げました。集会後は雨天をついて元気にデモ行進を行い、道行く市民に白タク合法化の危険性を訴えました。

この日、星陵会館に全自交東京地連と関東地連を主力に全国から100名を超える全自交の仲間が集会に参加し、全体で400人が結集。会場を埋め尽くしました。
集会には、全タク連の坂本克己最高顧問と日本労働弁護団の菅俊治弁護士が駆けつけ、ライドシェアの危険性とそれを阻止する政治的闘いの重要性と展望を述べるとともに、ライドシェアの「雇われない働き方」が労働者の権利を奪っていく危険性を参加者に訴えました。
また、各政党から多数の国会議員が参加し、各党の代表者が白タク合法化阻止に向けてハイタク労働者と共に闘う決意を述べました。
ハイタク労働8団体で構成する「ハイタク労働者総決起集会実行委員会」を代表し、伊藤実代表(全自交労連中央執行委員長)が挨拶。その後、基調報告に続いて、8団体の各代表がそれぞれの立場でライドシェア絶対阻止の強い思いを明らかにする決意表明を行いました。この決意表明では全自交からは大阪地連の加藤直人委員長が発言し、ライドシェア等による無権利労働の拡大に警鐘を鳴らしました。

その後「本決起集会を契機に、さらなる反対の声をあげ続け、その導入阻止に向けて運動の輪を広げ、最後の最後まで闘い抜くことを決議する」とする集会決議を満場の拍手で採択するとともに、全自交東京地連の直井幸男書記長が「規制のサンドボックス制度に関する特別決議」を提案し、人命保護の規制を軽んじる攻撃を批判し、拍手で特別決議を採択しました。
閉会挨拶後、参加者は全員で力強くガンバロウを三唱し、デモ行進に出発しました。デモ参加者は「安全破壊の白タク合法化阻止」の横断幕を掲げ、星陵会館から赤坂の氷川公園まで雨天の中、シュプレヒコールを繰り返し最後までデモ行進を貫徹しました。

デモ行進終了後、ハイタク労働8団体の代表者ら70人が衆議院第一議員会館で関係省庁との要請行動を行い、経済産業省、国土交通省、厚生労働省に対し、白タク・ライドシェアの合法化を認めないことや実際に違法行為として全国で行われている悪質な白タク行為の監視、摘発の強化を求めました(2面に詳細)。ハイタク労働8団体は産別の枠を超えて今後も連携を強め、白タク・ライドシェア合法化の攻撃にとどめを刺すまで全力を挙げて闘い抜くことを誓い合いました。

「規制のサンドボックス」の危険性を訴える伊藤実代表
集会実行委員会 代表あいさつ

「命より金儲け」の政治を変えよう

皆さん!こんにちは。全国からの結集に感謝申し上げます。私たちのライドシェア反対運動の出発点となった2016年3月8日の日比谷公会堂での総決起集会から2年が経過した。この間、市民運動との連携や地方議会の意見書採択など、運動の強化に奮闘し、国交省もライドシェア提案に「対応不可」を回答するなど、白タク合法化を阻止してきた。しかし、竹中平蔵らが突如として「規制のサンドボックス」を主張し、対象業務を金融に留めることなくライドシェアまで対象とする攻撃をかけてきている。参議院の附帯決議で「ライドシェア除外」の文言を差し込むことができたが予断を許さない。私たちは「二種免許・運行管理・整備管理なくして輸送の安全なし」の立場を確認し、「命より金儲け」で利権にまみれる安倍政権もろとも打倒するために声を上げよう。


全自交大阪地連・加藤直人さん
全自交大阪地連・加藤直人さん

ウーバーイーツに危機感を各地域で共闘し行動しよう

ライドシェア導入の攻撃はいまだに消えていない。大阪でもウーバーイーツのデリバリーサービスが始まった。こうした労働者の権利が保障されない働き方が拡大することに対して危機感を持つべきだ。大阪では労働4団体共闘で街頭宣伝を展開してきた。各地で共闘し行動しよう。


サンドボックス制度でライドシェアを認定するな

ハイタク労働8団体は5月23日、総決起集会とデモ行進終了後、衆議院第一議員会館・第5会議室でライドシェアの導入と白タク行為の拡大等に反対するために、関係省庁への要請行動を行い、8団体から70人が出席しました。

経産省交渉 サンドボックスライドシェア申請
実証で法令違反の事業は認めず

経済産業省、国土交通省、厚生労働省の担当官が順次回答するとともに、立憲民主党の近藤昭一、山花郁夫、松田いさお、牧山ひろえ、共産党の山添拓の各国会議員が同席しました。
最初に経済産業省の要請行動が行われ、経済産業省からは経済産業政策局・産業構造課の蓮井智哉課長と三牧義也課長補佐が対応しました。伊藤実代表が要請書の趣旨を説明した後、要請書を手交し、近藤昭一議員らが誠意ある対応を求めました。
要請内容は、①国家戦略特区で輸送の安全を最優先とし、道路運送事業の安全規制を緩めないこと、②生産性向上特別措置法における「プロジェクト型サンドボックス制度」においてライドシェアが申請した場合に認定しないこと、③グレーゾーン解消制度で白タク行為を十分に精査することなく「合法」と認定しないことの3点。
経済産業省に要請書を手交する伊藤実代表
この要請に対し、経産省は、①国家戦略特区は内閣府が担当している。附帯決議でライドシェアを認めないとなっている。大臣も「安全規制を緩めることはない」と言っている。②サンドボックス制度は分野の限定は無い。実証実験を認定する場合、規制に違反しないこととの要件がある。
ライドシェアの申請も可能であるが、実証実験を行う場合、道路運送法で保護される利益が害されないのが前提。国交省は「安全と利用者保護の観点から極めて慎重な検討が必要」との立場を表明している附帯決議でもライドシェアの実証については規制法令に違反する事業が認定されないようにと明確にされている。③グレーゾーン解消制度では自家用車を使用し、有償で運送するものではないと国交省が回答すればそれを事業者にお伝えするということ。今後も国交省と連携し厳正にやって行くと回答しました。
意見交換では、①グレーゾーン解消制度におけるジャスタビの営業方法への厳正な対処、②「サンドボックス制度」にある評価委員会の任命方法及び権限や主務官庁へ勧告する制度について等の質問をもとに意見交換が行われました。


国交省交渉 ライドシェア
輸送の安全と利用者保護の観点から問題

続いて国土交通省の要請行動が行われ、国土交通省からは自動車局・旅客課の自家用有償運送担当の木部氏と旅客運送生活推進室の高橋氏が出席しました。
要請内容は、①ライドシェアなど白タク・白バスを認めないこと、②観光客が使用するレンタカーで報酬を得る場合は白タク・白バス行為と認めること、③中国系の旅行者を対象とした白タク行為の取り締まり強化、④「規制サンドボックス制度」を活用したライドシェアの申請を認定しないこと、の4点。
国交省は回答で、①ライドシェアは安全確保と利用者保護の観点から極めて慎重な検討が必要、②レンタカーを借りた人に変わって運転することや運転者を仲介することは法律に抵触しない。貸し渡しと運転者の仲介が一体となる白タク類似行為は注視していく、③訪日外国人を対象に行われている白タク行為は警察庁と連携し取締りと啓発活動を行っており、昨年は3件7人、本年は8件11人が検挙された、④世耕経産大臣は「ライドシェアは申請可能だが、安全性や公益性が確保できない実証計画は想定されていない」と述べ、附帯決議に踏まえ適切に対応すると各要請事項に回答しました。


厚労省交渉
労働者と認めれば契約が請負でも保護を与える

最後に厚生労働省の要請行動を同会場で行い、厚生労働省からは労働基準局・監督課の海鋒氏が出席して対応しました。
要請内容は、ライドシェア等のシェアリングエコノミーによる働き方は形式的には個人請負であっても雇用労働者と同じ働き方の実態があり、労働の対価の設定や契約内容に関する裁量の有無といった経済的隷属性を重視した厳格な労働者性の認定基準を策定されたい、の1点。
この要請事項に対し厚生労働省は、労働基準法の労働者に該当するかは契約の名称にとらわれず、指揮監督を受けているか等、実態を勘案し総合的に判断する。現状で判断基準の見直しは考えていないが、労働の実態を踏まえ摘発等を行った上で労働基準法上の労働者と認められた場合は契約が請負であっても労働者としての必要な保護を与えていきたい、と回答しました。


特定地域3年延長に同意

第4回神戸市域交通圏タクシー特定地域協議会が5月30日、神戸市内で開かれ、特定地域の指定期限を最大3年間延長することに賛成多数で同意しました。
協議会では、①2016年度の輸送実績が、2001年度と比較して日車営収の減少等すべての項目において悪化していること、②特定地域の指定要件を満たしていること、③14・6%の減休車などの適正化地域計画が2017年11月27日に認可され、それに基づく各事業者の計画の申請が4月までに出揃い、6月から実施の運びになっていること、が説明され、こうした理由で「特定地域の指定期限の延長を希望する」という案を事務局が提案。審議の結果、賛成多数で、延長への同意を決定しました。
事業者の賛否(車両数)は、同意5833、不同意433。労働組合は、同意8、不同意1、他の地方公共団体、地域住民の代表など8人はすべて同意しました。
神戸市域交通圏の特定地域協議会の会場

大阪市域 特定地域指定 来年3月末までの延長に同意
河北交通圏の特定地域指定を新たに同意

特定地域協議会で挨拶する安部誠治会長
①大阪府タクシー準特定地域(北摂・河南・河南B)合同協議会、②大阪市域交通圏タクシー特定地域協議会・活性化分科会、③大阪市域交通圏タクシー特定地域協議会、④河北交通圏タクシー準特定地域協議会が5月31日、大阪市天王寺区・ホテルアウィーナ大阪で開かれ、大阪市域交通圏は来年3月末迄、特定地域指定を延長することに同意するとともに、河北交通圏が新たに特定地域の指定を受けることに同意しました。
大阪市域交通圏は、2016年度の輸送実績について、特定地域指定基準の6項目の内、赤字車両数シェアが50%を割ったことから、3年間の延長ではなく、2017年度実績が出る今年度末迄の延長について協議され、事業者の車両数ベースで過半数が賛成し、構成員の過半数の賛成も得られたため、延長に同意することとなりました。

新たに会長に就任した西村弘関西大学教授
協議会では全自交の加藤委員長が、特定地域指定期間の延長は原則1回となっているが、今年秋に出る2017年度輸送実績が特定地域指定基準を満たしていた場合の扱いについて、近畿運輸局に確認したが、現時点で明確になっていないとの回答で、更なる延長に含みを持たせた。
また、河北交通圏は現在準特定地域であるが、2016年度実績が特定地域指定基準を満たし、事業者の76%の賛成及び構成員の過半数の賛成で、特定地域指定に同意することを近畿運輸局長に報告することとなり、運輸審議会に諮った後、特定地域に指定される事となりました。
また、この協議会を以て、関西大学・安部誠治教授が各協議会の会長を退任。後任には関西大学の西村弘・社会安全学部教授が就くことが決まりました。



何のための働き方改革かを問う行政交渉に

交運労協は5月29日、熱海市の金城館を会場に第24回交通運輸政策研究集会を開き、全国から170人を超える仲間が結集しました。全自交からも本部、東京、静岡、愛知から11名が参加しました。
主催者を代表して挨拶した住野敏彦議長は「ライドシェア・民泊の関係で69万筆の署名を集めることができたが、ライドシェアを巡っては規制のサンドボックスによる導入が狙われている。新経済連盟もライドシェア新法を提案しており注視が必要」と呼びかけるとともに、高度プロフェッショナル制度と抱き合わせで審議されている働き方改革について「何のための働き方改革なのかをはっきり問うて行政交渉を進める」と述べ、交通運輸産業の長時間労働・低賃金の状況を変える運動の強化を訴えました。
その後、第1講座「交通運輸産業を取り巻く課題と展望」と題して首都大学東京の戸崎肇特任教授が講演。①人口減少と労働力不足、②高齢化と公共交通の弱体化、③インバウンド観光振興、④ギグエコノミーの浸透の課題を提起し「ライドシェアをはじめ課題に対する対案が必要であり、地域の交通政策の見直し、再建が求められている」と述べ、交通政策基本法の実効性を追求することの重要性を訴えました。最後に、「社会環境は厳しい。オリンピックを迎える中で労働力不足が進んでいるし、竹中平蔵らも健在だ」として、「自分たちの主張をいかに分りやすく市民に発信するかが問われている」と結びました。
挨拶する住野敏彦議長
次に、第2講座「働き方改革のポイント対応」と題して東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授が講演しました。「労働3法施行以来の大改革を迎えている。同一労働・同一賃金と残業の上限規制は成長と分配の好循環を作り出す大きな柱」と解説。働き方改革関連法案では有期雇用者の不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条が削除され、短時間・有期雇用者の雇用管理改善法に統合し、不合理な待遇禁止を定める第8条の規定に盛り込むことが説明されました。これにより、現行の労働契約法20条と比べても待遇の性質・目的を考慮する内容として厳格化されることとなります。
第2日目は分科会・分散会を行い集会を終えました。


仙台市等5地域が延長

運輸審議会は、国土交通大臣から諮問があった特定地域の指定期限の延長について、順次、指定期間の延長を答申している。
6月5日現在、指定期限の延長を答申したのは、①仙台市、②秋田交通圏、③熊本交通圏、④広島交通圏、⑤大分市の5地域。熊本交通圏、広島交通圏、大分市では指定基準の一部(赤字事業者のシェア等)に該当しなかったが、「事業環境が改善したか現時点では判断できない」として延長を決めた。また、要望事項として国土交通大臣に「指定期間満了後も事業環境の改善が継続されるよう延長期間中の適正化及び需要喚起策も含めた活性化の取組が確実に行われるよう協議会を指導する事」を求めています。


戸崎教授と木下弁護士がライドシェアの諸問題を講演 ライドシェア新法を鋭く批判

126名が結集し、講演を真剣に聞き入る参加者
「交通の安全と労働を考える市民会議」が5月18日、八戸市のフリースクエアノヅキで「ライドシェアと生活交通を考えるシンポジウム」を開催し、市民や労働組合員ら126人が参加しました。全自交労連からも地元の青森地連をはじめ、本部、東北地連から積極的に参加しました。
市民会議事務局の川上資人弁護士が司会を務め、最初に集会実行委員会代表の横山慶一弁護士が開会の挨拶を行い「地方では車の移動が主流だが、生活弱者にとっては公共交通は命の源となっている。今日のシンポジウムで学んだことを持ち帰って周りの方々に広めていただきたい」と呼びかけました。

続いて、首都大学東京の戸崎肇特任教授が「ライドシェアの問題点と地域交通政策」について講演。新経済連盟が提案する「ライドシェア新法」を紹介し、その主張を批判しました。戸崎氏は、新経連の「タクシーの労働力不足をライドシェアでカバーできる。また、労働環境が悪いタクシーで問題になっている累進歩合もライドシェアでは解消でき、やりがいも持てる」との主張に対し、「雇用関係のないフリーランサーであり、最初は稼げても数年で切り下げられ、弱い立場に置かれる」と述べるとともに、ライセンス不要で安全確保にも問題があることを指摘しました。また、需要に応じて運賃が変動することは運賃認可制を崩壊させ、ぼったくりが蔓延する事にも警鐘を鳴らし、「ライドシェアに公共性はない。地方に入ってきても儲かる都会に移動し、地方には何も残らなくなる」と批判しました。そして、「ライドシェアに対抗するためには公共交通サービスの向上が不可欠。鉄道、バス、タクシーの連携を高め利用者目線で便利な公共交通にしていかなければならない」と訴えました。

木下弁護士 ライドシェア運転者は無権利労働を強いられる

続いて、木下徹郎弁護士が「ライドシェアの労働問題」について講演し、タクシーとライドシェアの営業形態・運送契約を比較しながら、わかりやすくライドシェアを解説。「タクシーは雇用関係の中で運転者がサービスを提供し、会社が運送責任を負うが、ライドシェアは仲介事業者がマッチングするだけで運送契約は運転者と利用者が結び運送責任も運転者が負う」と説明。また、ライドシェアの運転者は独立事業者とされ労働者として扱われない点についても「労働者は労働法の適用とともに、健康診断や健康保険・失業保険等の保護を受けられ、労働組合を結成して交渉もできるが、ライドシェア運転者は労働者とされず、タクシー労働者のような保護はなく、労働組合を結成しようとしただけで運転者登録を解除される。手数料も仲介事業者の意図だけで勝手に上げられてしまい生活は不安定」と説明。アメリカのウーバー運転者の悲惨な実態を紹介し、事故時のトラブルが多発していると訴えました。

山名文世議員が意見書採択を報告 間山正茂構成員が「網」計画を説明

講演に続いて、山名文世八戸市議会議員(全自交青森地連組織内議員・社民党)が2017年12月18日、政府に対して提出された八戸市議会の「ライドシェアの慎重な検討と安全・安心のタクシーを求める意見書」の採択について報告しました。無会派議員として、議会を構成する32人の全会一致に至る経過や採択後の反響を説明し、今後とも市民の生活と権利のために奮闘する決意を述べました。
続いて、八戸市地域公共交通会議の間山正茂構成員が、八戸市地域公共交通網形成計画について説明するとともに、八戸市の公共交通をしっかりつくっていこうとしている取り組みを知り、これまで以上に関心を高めていくよう参加者に呼びかけました。
その後、竹中平蔵らが「規制のサンドボックス」を活用してライドシェア導入を狙っている現状に対応し、生産性向上特別措置法の可決・成立する中、「規制のサンドボックス」に反対する意見書の提案を司会の川上資人弁護士が行い、満場の拍手で採択されました。
最後に、二本柳実行委員が閉会に際し「人口減少と高齢化が進む中、公共交通を市民の手で守って行こう」と挨拶して集会を終えました。
八戸市議会報告を行う山名文世市議会議員


ハマキョウレックス事件 5手当の格差を不合理と認定
長澤運輸事件 定年後再雇用の格差を認める不当判決

雇用形態の違いによる労働条件の格差を禁じた労働契約法20条をめぐる2つの裁判の最高裁判決が6月1日、最高裁小法廷で言い渡された。
物流会社のハマキョウレックスで働く契約社員の運転手が正社員との均等待遇を求めた上告審で、最高裁はそれぞれの手当ごとに不合理性を検討し、6手当の内、住宅手当を除く、通勤手当や精勤手当等の5手当を契約社員にだけ支給しないのは違法と判断しました。判決後、原告と弁護士は「格差からの解放」「格差是正判決」の垂れ幕をかざし「今後の労使交渉の指針になる」とコメントしました。
一方、定年後に再雇用された非正規労働者が、定年前の正社員と同じ仕事をしているのに賃金が下がったのは不当だとして会社に是正を求めた長澤運輸事件の上告審では、最高裁は、格差の妥当性を判断するには定年後の再雇用という事情も考慮することが必要であると判断し、格差の大部分は「不合理とは言えない」として定年後再雇用後の賃下げを認める判断を下しました。原告側代理人は「不当な判決であり、到底容認できない」と怒りをあらわにしました。労働契約法では、①職務の内容、②転勤や昇進などの配置の変更範囲、③その他の事情、を考慮して不合理かどうかを判断すると規定されていますが、今回の長澤運輸事件の上告審では①②が全く同じであっても、③において、定年後再雇用という事情を考慮すべきとしました。この不当判決を許さず、同様に定年後再雇用の格差の不当性を争う全自交の名古屋自動車学校訴訟に勝ち抜こう!
判決後のハマキョウレックス裁判の原告と弁護団

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