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30万人基準の裁量権逸脱・濫用認めず 供給過剰による厳しい生活実態を無視

全自交青森地連の仲間8人が、「人口30万人」基準により特定地域に指定されずタクシーの供給過剰が改善されないため低収入を強いられている、として国に損害賠償を求めた裁判の判決で、青森地裁は2月17日、「国に裁量権の逸脱又は濫用は認められない」として原告の請求を棄却する不当判決を言い渡した。この日、裁判闘争を支援してきた多くの仲間が傍聴に駆けつけました。判決後、原告らは青森県庁記者クラブで記者会見を行い控訴する意向を明らかにするとともに、報告集会では支援者らと不当判決に対する怒りの声を上げました。


請求棄却の不当判決に憤りをもって報告集会に臨む原告ら。左から横山弁護士、工藤原告団長、伊藤中央執行委員長、後藤青森地連委員長

不当判決を許さない!最後まで闘うぞ!
青森地方裁判所の田中一彦裁判長は2月17日、「原告らの請求をいずれも棄却する」と主文を読み上げました。
「30万人基準の指定基準を策定したことは妥当性を欠くものとはいえず裁量権の逸脱・濫用は認められない」とし、タクシー台数の過剰により収入が大幅に低下する中で厳しい生活を強いられてきた原告らの訴えを退けました。

原告らは落胆と憤りの表情で県庁記者クラブでの記者会見に臨み、横山慶一弁護士は「裁判所は、これまで使われてきた『概ね30万人』という基準はあいまいであり特定地域の指定に当たっては厳格な人口基準が必要であると判断した。しかし人口30万人から1人減ったからと言って供給過剰を解消する必要性がなくなるわけではない。改正特措法の効果的運用のためには『概ね』とすべき。裁判所は改正法のそもそもの目的が理解されていない。規制改革会議の考えを踏襲するものであり、原告の生活実態を見ようとしなかった」と判決を批判するとともに、「ツアーバス事故のような多くの犠牲が出ないと対策を取らないのは間違い」とし「誰のために裁判をやっているのか?」と感想を述べました。
原告団長の工藤靖さんは「憤りを感じる。これで終わりとはならない」と控訴する意向を表明しました。
同席した全自交労連の伊藤実中央執行委員長は「非常に残念。これだけ低い給与では生活すらままならないはず。このところ新潟カルテル裁判など規制緩和を支持する判断が続いていて問題だ」と批判しました。また、青森地連の江良實書記長は「改正法の施行で低運賃事業者が出現した。台数も東北で一番過剰。協議会で意見を述べこれらを是正させるためにはどうしても特定地域の指定が必要だ。全国には青森市と同じ状況で苦しんでいる地域も多数ある。今後とも全国の仲間を代表して闘っていきたい」と決意を述べました。記者会見後、青森県労働福祉会館で報告集会を開催。多数の青森地連の仲間をはじめ、北海道地連、秋田地連、山形地本、宮城地本、福島地本、新潟地連が参加するとともに青森の交運労協の仲間も多数駆けつけました。青森地連の後藤勝委員長は「今回の判決は本当に腹立たしい限りだ。最後まで闘おう」と訴え、ガンバロウ三唱し怒りの声をあげました。


雇用社会の破壊に警鐘

交通の安全と労働を考える市民会議が2月16日、立川市民会館を会場に「ライドシェア問題を考える公開シンポジウムin多摩」を開き、350人を超える人が集まりました。

全自交からも東京地連の仲間が積極的に参加しました。また、地元選出の国会議員・都議会議員などが多数出席し問題意識を共有しました。このシンポジウムは市民会議として東京・大阪に次ぐ第3弾となります。
宮里弁護士の開会あいさつに続き、戸崎教授、労働政策研究・研修機構の山崎氏、川上弁護士らが講演しました。
山崎氏は「シェアリングエコノミーの最大の問題は雇用社会が破壊されることにある」と警鐘を鳴らすとともに、元請け・下請け関係で団結できない労働を拡大させてはならないと訴えました。
講演する労働政策研究・研修機構の山崎氏


ライドシェア問題をテーマに学習深める

全自交関西地連は2月11日、大阪市北区PLP会館で2017春闘討論集会を開催し、特定地域指定基準見直し、白タク・ライドシェア合法化絶対阻止、初乗り距離短縮運賃反対などの政策要求と、職場環境改善へ向けた具体策を盛り込んだ2017春闘方針を確立しました。
主催者代表挨拶で北坂委員長はライドシェア合法化問題に触れ「新経済連盟の三木谷は、莫大な資金力を背景に合法化を進めており、阻止しなければタクシー産業の崩壊は避けられないばかりか、雇用の破壊にまでつながりかねない」と危機感を訴えました。

講師としてライドシェアの問題点を語る川上資人弁護士
今回の討論集会では、講師に「交通の安全と労働を考える市民会議」の事務局を担当する東京共同法律事務所の川上資人弁護士を招き、「ライドシェアを考える」をテーマにライドシェアの英米における実態と、国内で導入された際の問題点などについて講演を行いました。
質疑では大阪地連・全相労の岩田氏が「ウーバーの運転者勧誘や利用者への広告のあり方はかつて日本でもあった軽貨物に似ており、実情を一般社会に情報提供することで応募するドライバーへの歯止めになるのでは」と提言しました。川上弁護士は「マスコミが真実を報道しない傾向が強い中で、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを積極的に利用するのが効果的だ」と述べました。その他、5名が質問するなど、ライドシェア問題への関心の高さを示しました。
講演の後、加藤書記長から関西地連2017春闘方針の提案があり、質疑の後、全会一致で採択され、全自交関西地連の春闘が開始されました。


格差拡大と社会の劣化を許さない大幅賃上げ獲得

道下大樹予定候補者(左)に推薦状を
手渡す森長委員長(右)
全自交北海道地連は、2月13日、札幌市の鉄道会館で2017春闘臨時大会を開き、全道から63名の中央委員らが結集し、2017春闘方針を決定しました。
森長委員長は「2017春闘要求は、月額1万円以上。格差拡大と社会の劣化を許さず、大幅賃上げを求めて闘う」と決意を述べるとともに、「特定地域の札幌交通圏で10%の減車が実現しても、乗務員不足のため市内を走るタクシーは減らず労働条件改善は期待できない状況だ。しかし、皮肉にも道内全域で運転者不足が深刻で、日車実働営収が改善している。タクシー産業で働く労働者の労働環境の悪化で若年労働者がタクシー産業に入ってこない状況を変えるため、全自交北海道に結集する各単組が情報共有し春闘勝利に向け、全力で闘いを進める」と参加者に訴えました。また、白タク合法化阻止するためには国会議員をはじめ各級の議員の力を必要としており、衆議院の解散総選挙が闘われた場合には、連合北海道推薦の民進党の各候補予定者の必勝のために頑張ることを呼びかけました。
来賓として連合北海道、北海道交運労協等が参加し、激励と連帯の挨拶を行った後、次期衆議院選挙に北海道1区の横路孝弘衆議の後継候補予定者となっている札幌市西区選出の道下大樹さん(現・北海道議会議員)へ推薦状を交付し必勝に向けた決意表明を受けました。
2017春闘方針案の提案では、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けて、時短などに取り組み、勤務間インターバル規制を11時間要求することや『ライドシェアに係わる地域公共交通を考えるプロジェクト』を紹介し、地域公共交通を維持することの重要性を強調しました。さらに、同一労働・同一賃金について会社からの不合理な提案を容認しないことを確認しました。そして春闘方針案の採択を行い臨時大会を成功裏に終えました。


乗務員が集まる労働条件の確立が産業を救う

全自交東北地連を構成する地連・地本が2月に入り中央委員や春闘討論集会等を連続的に開催し、2017春闘方針を確立しました。

岩手地本(森委員長)が1月29日に中央委員会を開催したのを始め、2月4日に秋田地連(北川委員長)の中央委員会(秋田市・ルポールみずほ)、2月13日に山形地本(遠藤委員長)の春季生活セミナー(米沢市・招湯苑)、2月17日に青森地連(後藤委員長)の中央委員会(青森市・青森県労働福祉会館)、2月19日に宮城地本(嶺岸委員長)の春闘討論集会(仙台市・七郷市民センター)が開かれました。福島地本(林委員長)は3月10日に集会を開催する予定となっています。

秋田地連の中央委員会では鈴木書記長が秋田交通圏の地域計画における減車の取り組みを報告し、2017春闘で賃金改善につなげることを訴えました。

山形地本の春季生活改善セミナーでは、東北地連の鈴木委員長が出席し、参加者を激励するとともに、会社の経理公開について質問があり、日常的な経理状況の把握が重要であることを確認しました。

青森タクシー裁判判決日の報告集会終了後に開かれた青森地連の中央委員会では、全自交労連の伊藤中央執行委員長が激励の挨拶を行い、青森タクシー裁判闘争の意義やライドシェアの危険性を訴えるとともに、全ての職場で春闘に立ちあがることを呼びかけました。また、春闘方針案を提案した江良書記長は「大胆に要求することが大事であり、現状維持を打破して成果を出そう」と訴えました。
秋田地連第45回中央委員会

青森地連第33回中央委員会秋

山形地本2017生活改善セミナー

宮城地本2017春闘討論集会
郡和子議員に推薦状を手渡す嶺岸委員長
宮城地本の春闘討論集会には民進党タクシー政策議連の郡和子衆議院議員が激励に駆けつけ「タクシーは命を運ぶ重要な公共交通であり、市民生活に欠かせない。その仕事にふさわしい労働条件が必要」と呼びかけました。嶺岸委員長が次期衆議院選挙の推薦状を手渡し、安倍政治を変えるために共に闘うことを誓い合いました。また、民進党タクシー議連の櫻井充参議院議員も出席し連帯挨拶し参加者を激励しました。

各地の春闘集会では高橋書記次長が講演し、倒産が多発する東北地方で、乗務員が集まる労働条件を早急に確立することがタクシー産業を救うことを訴えました。


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