全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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白タク合法化阻止!タクシー適正化推進!労働条件を改善し、安全・信頼のタクシー築こう!

2016年度運動方針(案)職場討議資料

<<Ⅰ.はじめに>>

世界情勢は激動を告げ、中国などの新興国の景気失速、イギリスのEU離脱、難民問題とテロの深刻化、東アジアの軍事的緊張の高まり等々、世界と日本の政治・経済・軍事の不安定化と流動化がかつてなく進んでいます。
安倍政権の発足以来、経済政策の失敗により、円高・株安に歯止めが掛からず、実質賃金の連続低下で消費が低迷し続けています。政府は、大企業と富裕層を優遇する一方で、消費税を引き上げ、庶民から税金を吸い上げるなどして大企業優先の政策を進めてきましたが、大企業は利益を内部留保で溜め込んだままです。
株価も年金積立金まで投入して吊り上げ、投資家に恩恵を与えてきましたが、今では株価暴落の危機の中、巨額の年金損失が生み出され、今後更にふくれあがろうとしています。

白タク合法化反対を訴えるデモ行進
こうした動きと対決し、社会保障の充実、最低賃金引き上げ、中小企業支援、雇用の安定を実現し、安心社会を作っていかなければなりません。そのことが社会に活力と購買意欲を与える原動力です。
タクシー産業は、2014年1月の改正タクシー特措法施行にもかかわらず、具体的で実効性のある対策が滞り、依然として労働環境が悪化したままです。規制改革会議の介入によって、特定地域の指定地域数は、2015年度実績で19地域(指定率28・7%)、2016年度新たに8地域が追加指定となりましたが、併せても27地域にとどまっています。また、下限割れ事業者が国を訴えて勝訴した地域では公定幅運賃の弾力化が進められようとしています。規制改革会議や悪質事業者による改正タクシー特措法の骨抜きを許さず、適正需給と適正運賃を確立し、タクシー産業の再生と労働条件改善に向かって奮闘することが求められています。
また、将来のタクシーの存続を脅かす問題として、「ライドシェア」と称する白タク行為の合法化が狙われています。地域の公共交通体系を破壊し、安全輸送を脅かすだけでなく労働規制から自由な無権利労働者を大量に生み出し、究極の搾取を可能にしてしまう攻撃であり、絶対に許してはなりません。


<<Ⅱ.ハイタク産業の動向と労働者の実態>>

タクシー事業の特徴的動向として輸送実績は最近10年間で2割以上の落ち込みが見られます。また、賃金水準は微増していますが全産業平均を大きく下回っています。
タクシー事業においては費用に占める人件費の割合が高く、かつ運転者の賃金が歩合制となっていることが大きな特色ですが、このため輸送実績が減少局面にあっても車両数を増やして売上を確保しようとする結果、供給過剰状態が長期化しやすい事業特性があります。また、タクシー運転者の状況は若年労働者の雇用が進まず、高齢化が進行するとともに運転者数は減少の一途を辿っています。
2016年7月1日、新たに8地域が特定地域として指定されました。これで27地域となり準特定地域は130地域になっています。改正法の目的が運転者の労働条件改善にあることを強調し、実効性ある地域計画・事業計画を作成させるために奮闘しなければなりません。規制改革会議の指定基準の変更要求を安易に受け入れた国交省に対しては、供給過剰の是正と運転者の労働条件向上を目指している地域の環境改善に向けて、引き続き適正化の徹底を求めるとともに、特定地域指定基準の早急な見直しを求めて行動します。また、改正後も5万人以下の地域では準特定地域にも指定されないということであり、増車・低運賃競争が実質自由にできる環境におかれています。特定地域指定基準と同様に、準特定地域の指定基準から人口要件を除外し、平均賃金を基準の柱としなければ、労働条件改善のための改正法が骨抜きになってしまうことは明白です。
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運賃の適正化に関しては、改正法の施行後、準特定地域に公定幅運賃が導入された結果、全国で下限割れ運賃が大幅に減少し、消費税増税分の運賃転嫁においても個人タクシーとの二重運賃となることを阻止する事ができました。
しかし、大阪を中心とした「5千円以上5割引」などが解消されず、下限割れ運賃も変更命令差し止め訴訟で国の敗訴が続き、完全に無くす事ができていません。また、青森などでは公定幅運賃の導入と消費税転嫁を巡って熾烈な運賃競争が勃発し、会社の存続を脅かす事態になっており、早急な適正化に向けた対策が求められます。
低額運賃事業者からの訴訟に敗訴し続けている国土交通省は、下限を現行より低く設定する形で、運賃選択の範囲を広げる見直しに着手し、新たな下限運賃が公示される予定となっていますが、改正タク特法の趣旨から外れ、旧態依然とした運賃競争に引き戻される恐れがあることから、事業者団体に対して上限運賃採用への要請を繰り返し行っていくこととします。
安倍政権の下でタクシー産業の課題は山積していますが、新潟カルテル裁判での東京高裁の不当判決を許さず、青森裁判の勝利を目指して奮闘するとともに、白タク合法化反対への徹底した闘いを展開し、初乗り距離短縮運賃の導入・拡大を許さない運動を全力で闘います。


<<Ⅲ.新年度の運動の基調>>

(1)タクシー適正化・活性化を進め、労働条件の大幅改善へ特定地域の指定が限定される中、協議会の議論も停滞し改正法の実効性が問われる状況にあります。こうした状況を突破し、タクシー産業の適正化に向けて適正需給・適正運賃を全国で実現するよう奮闘します。国会附帯決議にある①累進歩合の廃止、②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠距離割引の是正等を進め、改正法の目的である労働条件の改善を実感できる状況を作り出さなければなりません。生活に欠かせない公共交通労働者にふさわしい労働条件を築き、若年者や女性にとって魅力有る産業にするために全力をあげます。

(2)輸送の安全を破壊し、無権利労働者を生み出す白タク合法化阻止安倍政権の下で白タク合法化に向けた動きが加速しています。国家戦略特区で「自家用車の活用拡大」を強行するとともに、ウーバー等が地方自治体にライドシェア導入の働きかけを強めており、地方で風穴を開け都市部に拡大することが狙われています。「ライドシェア」は二種免許不要で運行管理もなく輸送の安全を著しく低下させるだけでなく、運転者は雇用契約もない無権利労働者としてすべてのリスクを背負い搾取を強いられることとなります。
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諸外国では事故の補償、暴行事件等のトラブルが絶えず、多くの国で違法行為として禁止する事態が拡大しています。多くの地方での路線バス廃止が進んでいますが、交通政策基本法に基づき、タクシーも含めた地域交通の活性化と再生を進めることこそ国や自治体の使命であり、白タク導入阻止を強く地方自治体に訴えていきます。

(3)産別機能の強化と組織拡大全自交運動の歴史を継承し、さらに発展させるためには組織拡大・強化が最重要の課題です。すべての地域で産別機能を維持・強化し、職場での団体交渉や地域の交通政策を活発に展開し、一つ一つの活動と成果を広範に訴えながら全自交労連への結集を実現していかなければなりません。「闘いの中で活路を拓く」精神で組織強化に邁進します。


<<Ⅳ.公共交通労働者にふさわしい賃金労働条件の確立>>

(1)タクシー労働者の賃金水準2015年度のハイタク運転者の年収は、厚労省調査からの推計で309・8万円となり、2年連続で300万円を超え、前年より約7・5万円改善しましたが、全産業男性労働者は11・6万円改善して547・7万円となったため、その差は約238万円に拡大しました。こうした、タクシー労働者の低い年収水準が長期化していることによって、若年者から敬遠される傾向が強まるとともに高齢化に歯止めがかからず、平均年齢が59歳まで上昇しました。タクシー産業においても思い切った大幅な労働条件改善に踏み出さなければ、乗務員確保がままならず事業継続をあきらめる事業者が増加することが懸念されます。タクシー産業が地域交通を支え、生活に欠かせない「ドア・ツー・ドア」の公共交通機関としての役割を担い、安全で良質なサービスを提供し、福祉輸送や観光輸送も積極的に展開して生き残っていくためには、家族を養える賃金水準を早急に確立しなければなりません。

(2)増車・低運賃競争を可能にした歩合制賃金2002年のタクシー規制緩和をきっかけに、新規参入や増車による需給バランスの崩壊と、低運賃競争が吹き荒れましたが、これはハイタク労働者の賃金が過度に歩合給に依存する賃金体系であることによって可能になったものです。個々のタクシー事業者は、供給過剰による輸送効率の低下や運賃・料金の引き下げに伴う減収のリスクをすべてハイタク労働者にしわ寄せすることを通して利益を確保しながら生き残ってきました。タクシーの供給過剰が一層深刻になった段階では、悪質な経営者の法令遵守の精神がさらに蝕まれ労基法違反、最低賃金法違反、改善基準違反が後を絶たない状況にまで至ってきました。現場を担うハイタク労働者は、売上の確保に奔走し、過度なストレスを抱えながら、長時間労働と低賃金の中で健康状態を悪化させ、輸送の安全も低下してきたのです。また、タクシー産業で働く魅力が低下するのに比例してタクシー労働者の高齢化も進行していきました。2013年に改正法が成立し、その時に労働条件の改善に向けた国会での附帯決議を完全履行させ、全てのタクシー運転者が労働条件の改善を実感できる状況をつくり、若年者や女性に魅力ある労働条件として社会的に認識されるよう全力をあげなければなりません。

(3)改正法成立時の国会附帯決議を完全履行させよう●累進歩合制の排除、●固定給中心の生活安定型賃金の追求、●不当な運転者負担や賃金カットの排除、●過度な遠距離割引の是正、●運転代行との兼業禁止、●過労防止対策の推進(略)

(4)適正な賃金計算、最低賃金の確保2016年度の最低賃金の改定(目安)は、Aランクが25円、Bランクが24円、Cランクが22円、Dランクが21円で、全国加重平均では24円の引き上げ目安となりました。2013年のタクシー職場における労働基準関係法令の違反事業者数は、監督実施事業者数の88・7%を占め、その内訳は労働時間が52・4%、割増賃金が31・7%、休日が5・4%となっています。また、改善基準告示違反事業者数も42・4%を占めました。法律無視が常態化している現状に怒りをもって対処し、悪質事業者の監視・摘発を強化します。

(5)雇用形態の違いによる差別禁止と「同一労働・同一賃金」の推進正社員と有期雇用契約社員(定年後の再雇用者含む)との不合理な差別は労働契約法20条で禁止されています。正社員と同じ業務内容でありながら雇用形態の違いだけで不当な差別的賃金が支払われることがないようしっかり点検し、「同一労働・同一賃金」の原則に照らして改善しなければなりません。正社員と「同じ業務内容」とは、職務内容と責任の程度に差異がないと言うことであり、タクシー職場で乗務員として勤務する場合、労働時間、出勤日数、勤務シフトにおいて明確な差異が設けられていなければ「同じ業務内容」として扱うよう対応します。


<<Ⅴ.適正需給・適正運賃の確立と地域公共交通の再生を>>
白タク合法化を絶対に阻止しよう

(1)特定地域指定を拡大し、台数の適正化を実現しよう

特定地域に指定された地域は、本年6月に新たに8地域が指定され27地域だけとなっています。改正法の骨抜きを許さず、特定地域の指定基準の見直しを強く求めます。改正法の目的は、規制緩和によって極限まで悪化したハイタク労働者の賃金・労働条件を回復・改善させることにあり、労働者の平均賃金の推移・水準を特定地域指定基準の柱としなければなりません。
特定地域の指定基準における国の不作為を訴えた青森裁判は9月9日までに5回の弁論を重ね「人口30万人」の特定地域指定基準が改正法の趣旨に反し違法であることを論証してきました。この青森地連の裁判闘争は、全ての労働者を代表した闘いであり、全自交労連として最後まで全力で支援します。

(2)運賃適正化と悪質事業者の排除

改正法の施行で公定幅運賃制度が導入されたにもかかわらず、公定幅の下限を下回る運賃で営業するエムケイなどの事業者が、国に対して「運賃変更命令、車両使用停止命令」の差し止め提訴を各地で起こし、その全ての裁判で国の敗訴が確定しました。これを受けて国交省は、当該地域(11地域)で公定幅運賃の下限を引き下げる見直しに着手しました。低額運賃事業者の動向や公定幅拡大の影響で新たな運賃競争が勃発することが懸念されます。運賃適正化と消費税増税分転嫁に逆行する新たな値下げ競争を食い止めるために各種要請行動を強化していきます。
低額運賃を採用し、改正法の趣旨を没却する行為を繰り返す事業者への違法行為摘発や監査・処分の強化を行政機関に強く訴えます。

(3)ウーバー・リフト等の白タク合法化を阻止しよう

9月に国家戦略特区諮問会議で竹中平蔵氏は「過疎地におけるライドシェアの拡大」を提案し、京都府の京丹後市や兵庫県の養父市が特区内でのライドシェア拡大を要望する事となりました。
その後、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)での「過疎地域等でのライドシェアの拡大」を盛り込んだ国家戦略特区法の一部改正法案を政府が提出。5月27日に「国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業」を新設し、「自家用車の活用拡大」とする形で法案が成立するに至っていますが、こうした規制緩和は絶対に認められません。この間、全自交労連は全国各地で自治体首長や議会に対し、白タク導入の危険性を訴えてきましたが、今後も国家戦略特区の申請をさせない働きかけを強めます。
「交通の安全と労働を考える市民会議(ライドシェアを考える)」が8月5日に発足しました。ライドシェアが日本で現実のものとなった場合、雇用と安全が破壊しかねないという深刻な問題をしっかり捉え、公共交通のあり方を考える世論形成に向けて発信していきます。

(4)東京での初乗り運賃導入に反対しよう!地方への波及を許すな!

(略)


公共交通としてのハイタク政策確立への要求課題

(1)ハイタク事業の適正化・活性化について(一部略)
①特定地域の指定基準を、労働条件が悪化したままとなっている地域が特定地域に指定されるよう、タクシー乗務員の賃金指標を柱とする基準に見直すこと。とりわけ、人口30万人要件と協議会の同意要件を不要とすること。
②特定地域協議会及び準特定地域協議会は、適正化対策がすみやかに実施されるよう、スピード感を持って開催するとともに、運輸局が責任ある立場で参加すること。
③「ライドシェア」と称して、白タク行為が日常的に繰り返されることのないよう、国は厳格に対応し、違法行為として確実に排除すること。
ハイタクフォーラムが国交省に要請書を提出
(2)運賃の適正化について(一部略)
①改正法ならびに附帯決議における公定幅運賃制度の趣旨を没却させる恐れがある営業的割引や過度な遠距離割引及び定額運賃について、申請事業者の営業収支が償うかどうかを判断する際には、その割引部分を運転者に負担させることによって営業収支が償うことがないよう、厳格に審査すること。
②公定幅運賃の下限を引き下げる見直しを行わないこと。

(3)自家用有償旅客運送の拡大反対、白タク等の違法営業行為の根絶について(一部略)
①運転代行の違法営業行為を根絶するため、取り締まりを強化し、随伴車に「客」を乗せるなど白タク行為の現認や告発があった場合には直ちに摘発すること。運転代行業の適正化のために必要な法改正を行うこと。


<<Ⅵ.政治課題、反戦・平和運動の推進>>

(1)不安定雇用を蔓延させ、国と大企業だけを利する労働法制の真のもくろみ安倍政権下で大企業を中心とした企業利益確保や株主配当への便宜を図る一方、企業の「足かせ」となる人件費抑制策を加速させています。
昨年、労働者派遣法の改悪が行われ、9月には安全保障関連法(安保法=戦争法)を成立させました。この二つの法案には、企業を利するとともに安全保障上の必要な人員を確保に向けた密接な関係性が垣間見えます。
「経済的徴兵制度」といわれ、若者などの雇用を不安定化することによって自衛隊への加入を促し、自民党の目指す国防軍創設の端緒とする方向へ向かおうとしています。
安倍政権の唱える「一億総活躍」の真は、安定雇用を減少させることにより労働組合の力を削ぎ、個々の労働生産性を国に集め、反対勢力をなくし実質独裁政治に向かうことにあります。来年の通常国会では、そうした政策を加速させたい思惑から労働基準法をはじめとした労働法制全般の改悪が国会審議にあがると思われます。
私たちは安倍暴走政治をあらゆる手立てで止め、安定した雇用で将来の不安をなくし、安心して平和の恩恵を受けながら暮らせる国を取り戻さなければなりません。

(2)安倍政権を打倒し、戦争法を廃止しよう昨年9月19日、強引に可決された安全保障関連法(安保法=戦争法)の集団的自衛権は、ほとんどの憲法学者が違憲であると指摘し続け、世論を見ても「戦争反対」「9条守れ」と考えている人が圧倒的に多い結果となっています。万一有事の場合、駆りだされていくのは若い人たちからであり、学生や女性団体が全国で反対運動に立ち上がり、全国各地で一般市民も含めた集会やデモ行進が法案成立後の今でも行われています。国民を無視した暴走政治を絶対に止めなければなりません。
全自交労連は、安倍政権が進める「戦争のできる国づくり」に対し、大衆行動で反対運動を共にし、全力で闘って行きます。

(3)平和運動の推進と選挙闘争に勝利し、政治の流れを変えよう7月10日投開票の第24回参議院選挙において、全自交労連は比例代表で民進党タクシー政策議連の「たしろかおる」候補と社民党党首の「吉田ただとも」候補を推薦し全力をあげて戦いましたが当選を果たすことができませんでした。
この結果を厳粛に受け止め、推薦候補者の周知、支持者カードの拡大、投票行動の呼びかけ、候補者名記載の徹底のあり方を厳しく総括し、次の戦いに活かしていかなければなりません。今回の参議院選挙は1人区で野党共闘が実現し、自民党改憲草案、沖縄新基地建設、福島原発事故対応、TPP交渉への批判を背景に一定の成果をあげることができましたが、全体としては「改憲勢力3分の2」を許し、戦後の政治情勢においてかつて経験したことのない新たな段階を迎えることとなりました。一方で選挙期間中に大分県警が別府地区労働福祉会館に隠しカメラを設置し監視する事件が発生し、公正な選挙への疑念も生み出されました。
戦争法の施行を許すな!(国会前)
参議院選挙直後には、沖縄県東村高江のヘリパッド建設に反対する住民らの反対行動を機動隊の暴力で排除する暴挙が繰り返されるとともに、戦争法の本格運用に向けた自衛隊の派兵準備訓練も開始されています。日本は戦争国家に向けた新たな段階に踏み出しており、私たちは安倍暴走政治をストップさせるために奮闘しなければなりません。衆議院東京10区と福岡県6区補欠選挙(両選挙とも10月23日投開票)に勝ち抜くとともに、衆議院解散時には平和を守り、タクシー政策を推進するために推薦候補者の勝利を目指して戦います。

(4)核廃絶・脱原発運動の推進「最も再稼働させてはいけない危険な原発」と言われる愛媛県の伊方原発が8月12日に再稼働しました。東京電力福島第一原発事故による避難者の想いを無視して行われた原発再稼働を強く批判しなければなりません。青森県六ヶ所村の再処理施設と合わせて強く反対します。核と人類は共存できないのであり、「核も戦争もない21世紀」を実現するために、沖縄の新基地建設を許さず、安倍内閣が進める「戦争のできる国づくり」を阻止し、反戦・平和運動を推進します。具体的には、①憲法改悪を許さず、憲法違反の安保関連法(戦争法)の廃止を求めます。②福島第一原発事故の原因究明、除染作業の徹底とともに、川内原発・伊方原発の稼働停止と青森県六ヶ所の核燃施設建設阻止を訴え、原発に依存しないエネルギー政策への転換を求めます。③沖縄・辺野古の新基地建設に反対し、米軍基地の大幅縮小と撤去を求めます。

<<Ⅶ.産別機能の維持と組織拡大に向けた取り組み>>

(1)全自交運動の再生・強化に向けてハイタク産業における2014年の労働組合の組織率は、36・2%まで低下しまた。賃金計算や労働時間が複雑なハイタク産業において、職場に労働組合が存在しない状況は、多くの場合、自分が受け取る賃金額の根拠もわからず、職場の違法行為も指摘できない中で働くことを意味します。こうした無権利状態と言えるハイタク労働者の比率が高まることは賃金相場の低下に大きく作用し、ハイタク産業の健全化を阻害する要因に他なりません。組織率の向上こそ労働条件改善の基礎であることを自覚し、組織拡大運動を取り組んでいかなければなりません。すべての地連・地本において、労働者の基本権や労働組合の存在意義を啓発するとともに、組織された労働者と未組織の労働者の権利格差・賃金格差を示しながら労働組合の結成や全自交への加盟を訴え、積極的に行動することが求められます。
また、白タク・ライドシェア問題も多くのタクシー労働者は内容も知らされておらず、情報から遮断されている現状にあります。全自交が進めてきたタクシー政策を広く訴えることが今こそ必要です。各地のタクシー労働者の実態を掴み取り、活きた交流を拡大しながら、全自交労連への結集を訴えます。全自交労連の政策闘争の意義とともに、賃金方針の基本である「生活安定型賃金」を目指し、改正法の附帯決議の完全履行を求めながら、組織拡大に全力をあげます。

(2)労働組合の基本活動の推進と組織率向上の取り組み
①組織活動、②財政活動、③教育宣伝活動など、労働組合の基本活動を日常的にしっかりやり抜くことは組織運営にとって最も重要な取り組みであることを確認するとともに、自分たちの職場における新たな仲間づくりの取り組みを最も重視し、加盟組合の組織率を向上させ、交渉力を高めていく必要があります。具体的には、全ての加盟組合が過半数組合となるよう奮闘し、新入社員や嘱託・定時制乗務員の組織化について力を入れます。全ての仲間の愚痴や不満を受け止め、それを組合の要求に高め、正社員主義に陥ることなく職場全体を代表する組合として行動します。
全自交加盟組合が職場で過半数を確保し、労働者を代表する強い交渉力を確立しながら積極的に団体交渉を積み上げ、労働条件改善に奮闘しなければなりません。また、より多くの組合員・役員が積極的に活動に参加し、学習と経験を共有しながら、次世代の活動家を育成していくことが今こそ必要です。

<<Ⅷ.自動車教習所労組の闘い>>

(1)自動車教習所を取り巻く情勢

①自教産業の動向と労働者実態
安倍内閣の経済政策により労働者の実質賃金の低下が続き、個人消費の低迷が内需拡大の阻害要因となっています。若者を中心に低賃金の不安定雇用が増大する中、若年者が子を産み育てる環境は一層厳しさを増し、少子化の進行に歯止めが掛からない状況が続いています。
普通車の免許取得が可能となる18歳人口は1992年をピークに減少に転じ、その後も年々減り続けてきました。また、若者の支出内容も変化し、携帯・スマホ、パソコンや就職に必要な資格取得に向かい「車離れ・免許離れ」と呼ばれる状況となっています。入校生の減少は、自教産業に大きな影響を及ぼし、将来的にも人口減少と免許取得者の減少が予想される厳しい状況にあります。
免許取得と交通安全教育を担う自動車教習所

自動車教習所は、地域に根ざし雇用を確保する貴重な職場であるとともに、①運転免許を取得するための教育施設、②各種法定講習の機関、③地域の交通安全教育センターとしての社会的役割を担っており、今日の交通運輸産業はもとより、市民生活にとっても、就職の際に欠かせない資格取得の場としても貴重な存在となっています。しかし、日本社会の環境変化が進行する中で新規免許取得者は減少を続け、2015年の指定教習所卒業者数は157万人となり、前年より2万人以上減少し、10年前と比較して31万人も少なくなっています。指定教習所の供給過剰状態が続いた結果、2015年の指定教習所数も1339校となり、前年より8校減少し、10年前と比較して111校も減少するなど、熾烈な生き残り競争が進行しています。こうした状況下で限られたパイを奪おうと教習料金のダンピングや「規定時間内の卒業」を謳う合宿教習などの誇大広告が横行し、安売り競争が激しく展開されています。
このことで教習の質を劣化させ「自動車交通の安全を支える」という自動車教習所の社会的任務を後退させることがあってはなりません。
現場で教習生と直接接しながら指導する自教労働者の労働条件は教習の質を大きく左右する重要な要素です。送迎業務などを兼務することで蔓延している長時間労働をなくし、安定した生活を確保して指導業務に集中できる労働環境を早急に確立することが求められます。

②高齢者事故増加に対する対策と自教の活用警察庁の統計では、交通事故死亡者が減少傾向にありますが、65歳以上の高齢者の死者は前年比54人増の2247人に達し、全体に占める割合は過去最高の54・6%になりました。自動車運転者の死亡事故件数でも高齢者が上位を占めています。こうした状況の改善に向けた総合的な交通事故防止対策を進めるためにも指定自教を「地域の交通安全教育センター」として活用し、高齢者の事故を減らす対策に活かさなければなりません。また、75歳以上の高年齢者については、「講習予備検査」を充実させ、運転免許証の返納を促進させることも必要な時代になっています。

(2)自教労組の運動課題

日本社会の人口減少は、少子高齢化を伴い進行しています。このことは学生の入校者減少として現れ、自教経営にも大きな影響を与えています。また、市場原理主義が日本社会に蔓延する中で貧困と格差を生み出し拡大してきましたが、とりわけ若者は経済的格差が教育格差に直結する中で正社員として就職する機会も狭められてきました。また、スマートフォンの普及などで若者の支出に占める通信費が高率となる一方で「ローンや借金はしたくない」「将来のために貯蓄したい」という意識も高まっており、駐車場の維持費や購入のためのローンなどが敬遠され、若者がマイカーを購入しようとする意向は減少し、実に59%が「購入する意向がない」と回答しています(日本自動車工業会アンケート)。
「国民皆免許時代」と言われ、「就職に欠かせない資格」としてあった普通免許でしたが、社会情勢の変化の中で自動車教習所の入校生の減少は、今後も趨勢的に避けられない状況にあります。こうした厳しい状況が自動車教習所の入校生獲得競争を激化させてきましたが、料金ダンピング競争がさらに経営を圧迫し、廃校数を増加させる結果をもたらしています。
こうした現状を改善するために、安全運転講習、高齢者講習、講習予備検査や二種免許の業務を拡大し、さらに違反者講習、処分者講習、更新時講習の委託拡大や普通免許教習生への原付教習の義務化なども求めてきました。若年入校生の減少を業務拡大で補う方向を今後とも強めるとともに、地域の「交通安全教育センター」として公的助成についても要求していかなければなりません。
また、配送業務やマイクロバス運転等の要員不足が進み、こうした業界からの要請を受け、18歳で普通免許と一緒に取得できる準中型免許が新たに創設されました。需要拡大につなげる努力が必要とされているととともに、指定校が過度な費用負担とならないようにしっかりとした助成措置を求めなければなりません。また、既存の中型免許や大型免許との整合性を検討していくことも必要となっています。

①雇用・労働条件改善の取り組み
1.労働条件の不利益変更や不当労働行為を許さず、真摯な団体交渉を通じて、自教指導員にふさわしい賃金・労働条件の確立を目指します。
2.指導員の嘱託、パートなどの不安定雇用を改善させるとともに、年金支給年齢と連動した定年延長と65歳までの雇用保障に取り組みます。正社員と有期雇用契約社員(定年後の再雇用者含む)との不合理な差別は労働契約法20条で禁止されていることから、正社員と同じ業務内容でありながら雇用形態の違いだけで不当な差別的賃金が支払われることがないよう、「同一労働・同一賃金」の原則に照らして有期雇用契約社員の待遇を改善します。
3.待機時間を含めて適正な賃金支払いを行わせ、サービス労働(不払い労働)をなくします。

②自教における政策課題
1.教習水準の低下につながる教習料金のダンピングや規定時間内卒業を謳う誇大広告などに対する規制の実現と、それらの教習所で適正な教習が行われているか厳格に監督・指導を行うこと。
2.自教を地域の「交通安全教育センター」として位置づけ、違反者講習、処分者講習、更新時講習など、免許関連業務を指定教習所に委託すること。
3.高齢者講習指導員資格が地方公安委員会でも取得できるようにすること。

③自教労組の連携強化と組織拡大
一部の悪質経営による一方的な労働条件の改悪や組合を嫌悪して組合つぶしを画策する行為については絶対に許さず、正常な労使関係を職場に築きくよう全力をあげます。
教習生と直接接する指導員が意欲を持って働ける労働環境を作ることが教習所にとって何より重要であることから、職場から不当労働行為はもちろん、パワハラなどのいじめを一掃するよう取り組みます。また、全国において労働組合の組織率が低い自教職場の組織化に奮闘します。組合のない職場では、不安定雇用のなか、長時間労働と低賃金を押し付けられ、日々多くの悩みを抱えながら働いているのが実態です。こうした未組織労働者に組合結成の意義を訴え、組合結成と全自交への加盟を呼びかけます。

<<Ⅸ.労働者自主福祉運動について>>

全労済運動
●生活保障設計運動の充実
強化組合員の生活を守り、豊かにすることを目的に全労済と連携し、引き続き「生活保障設計運動」を展開し、組合員に必要な保障を提供していきます。
●全労済の共済制度推進
組合員の相互扶助の精神にもとづき、「人と人との協同」を原点に労済運動を労働者自主福祉運動の柱の1つとして取り組みを進めます。また、組合員とその家族の「いのちと暮らしを守る」活動として次の共済を積極的に取り組みます。①セット共済(ハンドル共済・火災共済・自然災害共済・交通災害共済・個人賠償責任共済)②全自交新ねんきん共済③マイカー共済
●自賠責共済・自然災害共済の取り組み(略)
●多発している大規模な自然災害や、今後も想定される超大規模自然災害の発生に備え、防災意識の向上をはかるとともに、「災害時無保障者をなくす」取り組みを引き続き強化します。

労金運動
●生活応援運動の推進
組合員のライフサイクルに合わせた生活を応援するため、労金と連携して生活改善・生活防衛・生活設計の三本柱による「生活応援運動」を推進し、労金への預金結集と融資利用などに取り組み、労金の利用を通じた組合員の福利厚生の充実を図っていきます。
●労金の商品サービスに関する周知
生活応援運動の一環として、組合員に対して労金の商品やサービスに関する周知に取り組みます。
特に、労金のキャッシュカードは、多くのコンビニATMで利用手数料が不要であることや、他行利用時の手数料に対してキャッシュバックがあるなど、手数料負担の軽減をつうじた組合員の可処分所得の向上に資することから周知を進めます。また、多重債務者やマネートラブルに陥らないための消費者教育を充実させ、健全で計画的な支出と資産形成を提案・啓発・推進していきます。


全国自動車交通労働組合連合会
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