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白タク合法化阻止し、適正化・活性化を加速させよう 職場で全ての仲間の賃金改善へ



全自交労連は7月12日・13日の2日間、静岡県の伊東市で「2016夏季労働セミナー」を開き、全国から160名を超える仲間が結集しました。①タクシー産業の基盤を奪う白タク合法化阻止、②特定地域拡大し適正需給確立、③初乗り距離短縮運賃の拡大阻止と適正運賃の確立の政策課題に加え、④公共交通労働者にふさわしい労働条件確立、⑤組織の拡大・強化を提起しました。
また、宮里邦雄弁護士と国交省の鶴田浩久旅客課長の講演を受け、討議を深めました。全体討論とセミナーまとめを行い、最後にガンバロウを三唱し終了しました。

服部副委員長が開会のあいさつを行い、座長に関東・東京の鈴木さんと中部・富山の中島さんを選出。鈴木副委員長が運営日程を提案した後、伊藤実中央執行委員長が主催者代表挨拶を行い、参議院選挙の結果を報告。奮闘した組合員の労をねぎらいました。
熊本地震救援カンパへの協力に感謝を述べるとともに、三木谷らの提唱するライドシェアの動きに警鐘を鳴らしました。そして「白タク反対の世論を喚起するために幅広い陣形で市民会議を設立する。特定地域拡大に向け青森裁判に勝ち抜き、改正法の実効性を確保しよう。期間限定・地域限定の対策には限界があり、規制緩和の根本的見直しに向け前進しよう」と参加者に訴えました。

講演の最初に宮里邦雄弁護士が「定年後の再雇用における賃金切り下げの違法性」について講演しました。講演後、3名の仲間が職場での適切な対応等について質問しました。

その後、国交省の鶴田浩久旅客課長が講演し、高齢化が進む日本の人口構造と外出率や増加している訪日外国人旅行者の推移を示すとともに、適正化・活性化の取り組みを呼びかけました。また、国家戦略特区改正案の概要の説明を行った後、ライドシェアについて「安全・安心面で問題がある。タクシーが足りなく質が悪い諸外国と日本の状況は違っていて、日本のタクシーはウーバー以上のサービスができるようになってほしい」と訴えました。講演後、4名の仲間が、協議会の運営方法、預かり休車制度への提案、初乗り短縮運賃への対応等について質問しました。
その後、松永書記長がセミナーの討議課題を提案して第一日目を終了しました。

第二日目は、鈴木副委員長が運営日程を提案した後、全体討論を行い、熊本地本の真東さんが熊本地震への救援活動とカンパにお礼を述べました。そして3名の仲間から、倒産対策への支援、不当労働行為との闘い、参議院選挙の取り組み総括の質問と意見を述べました。松永書記長は、熊本地震へのカンパが700万円を超えたことを報告するとともに、セミナーのまとめを行い、討論を終えました。北坂副委員長の閉会挨拶後、ガンバロウで締めました。


伊藤実中央執行委員長あいさつ

全国各地から参議院選挙を戦って本セミナーに参加いただきありがとうございます。
我々が比例代表で推薦した2名の候補者が共に次点で当選を果たすことはできませんでした。憲法改正問題もあり、有権者の政治的自覚が試された選挙でしたが投票率も思ったより上がらず、民意を反映させた結果かどうか疑問です。今後とも、平和で生活第一の政治を求めて闘っていきましょう。

熊本地震に対し、全国の仲間から支援カンパが寄せられました。本当にありがとうございます。これからもしっかりと支えていきたいと思います。ライドシェア問題では、国家戦略特区法の改正で有償運送の規制緩和が行われることとなりました。厳しく批判しなければなりません。

また、三木谷の新経済連がライドシェア合法化に向けて働きかけを強めており、「成長戦略」に盛り込んで秋までに結論を出すと言っています。我々も自治体への働きかけを強めるとともに、市民会議を立ち上げ世論を喚起していきたと考えています。改正法の実効性が問われています。青森裁判に勝ち抜いて特定地域の指定基準見直しを実現するとともに、協議会での地域計画を早期に作らせるために全力を上げましょう。

本日、宮里弁護士が講演されますが、定年後再雇用で同じ業務につかせ賃金を引き下げるのは違法とされました。しっかり学習し皆さんの職場で学習内容を活かしていただきたいと思います。
あいさつする伊藤委員長



定年後再雇用(有期雇用契約)における賃金引き下げの違法性(不合理性)

共同法律事務所 宮里邦雄弁護士

<<長澤運輸(労働契約法20条違反)事件の概要>>
定年後に再雇用する制度が多くの企業で採用されていますけれども、これは有期労働契約を締結した定年後の再雇用の労働者が定年前と比べて全く同一の労働に従事しているにもかかわらず、賃金に差別を設けることが許されるのかということが裁判の焦点になった判決について皆さんに話したいと思います。この裁判というのは長澤運輸というトラック輸送を営業している会社の事件であります。

夏季セミナーで講演する宮里邦雄弁護士
本年5月13日に東京地裁判決が出ました。一審判決であります。会社側は控訴いたしました。
現在東京高裁で審理中でありまして、この判決は業界にとって驚天動地の判決であった。したがって今業界を挙げて猛反撃をしようとしていますので、一審判決を固め勝利させなければいけないわけです。

本件の特徴を言えば完全なる同一労働であった。にもかかわらず定年を機に、有期雇用となり賃金が約3割切り下げられるというのが本件の事案の概要であります。私どもは正に有期雇用であることによる不合理な労働条件であり20条によって禁止されているのだから無効であると主張。

本人たちは「これで結構です」と判子を押しているんですが、法律違反の合意は無効なんです。私たちは合意はしているけれども契約法20条違反の合意をさせられたんだ。

したがって20条に照らして不合理な労働条件かどうかということを裁判所として審査して欲しいということで申し立てをしたわけであります。


<<労働契約法20条は定年後の有期雇用に適用される>>

座長を担った鈴木さん(左)と中島さん(右)
この裁判ではどういう点が問題になったかというと、第一は定年後再雇用という有期契約にも労働契約法20条が適用されるかどうかという問題でした。定年後再雇用というのは一旦定年まで雇用が保証されて退職金が精算をされて、それから始まる有期です。しかもそれはだいたい65歳まで。こういう特殊な有期契約について労働契約法20条は及ぶのかどうかということが非常に大きな争点になったわけです。会社側は、定年後再雇用というのは法律によってやむを得ず義務付けられている中で労働者の雇用を保証するために、定年後有期雇用を締結しているのだから20条は適用にならないと主張したんです。普通の有期と無期の差別の禁止とは違うじゃないかと。つまり定年後再雇用有期という特殊性というものを会社は非常に強調した。したがって20条が定年後再雇用の有期契約に適用があるかないか、これが裁判の最大の論点でした。

第二は20条が適用になるとして、20条は職務の内容、責任の程度、その他の事情から見て不合理な労働条件であってはならないとあります。そうすると本件の場合に職務の内容や責任の程度、その他の事情から見て不合理と言えるかどうかというのが二番目の裁判の対立点です。

三番目は不合理だと判断された時に不合理の時は法律的に無効だということになるわけですが無効になったら労働者の労働条件はどうなるのか。我々は、その時には正社員の労働条件を適用しようというふうに主張した。会社側は、無効だからといって当然に正社員の労働条件が適用されることはないんだ。損害賠償とか慰謝料とか、そういうのは払う義務があるかもしれないが正社員の賃金を適用しろという法的な根拠はないということを主張しました。

大きくいうとこの裁判の問題点は以上の三点です。

判決の結論は、この原告ら3名は有期雇用ではあるけれども正社員の賃金が適用される労働契約上の地位を有する。そしてこれまで払われた賃金と、正社員としての賃金の差額を支払えということで差額支払いの判決が出たということがこの判決の結論です。非常に明確な20条違反の責任を追求して認められたほぼ100%完勝した判決だと思います。


【質疑応答】

石川ハイタク・南さん
宮里弁護士のお話は60歳から65歳までの継続雇用について言っていると思うが、私の会社は定年が65歳で、その後有期雇用契約で72歳まで継続雇用するとなっている。年金をもらっている65歳以上も同一労働同一賃金になるのか聞きたい。

宮里弁護士・回答
本件は高齢法では65歳までの雇用が義務付けられていることが前提。定年後の再雇用も65歳まで。この判決では同一労働である限りは同一賃金。ですが雇用継続給付金や年金支給額は考慮される。

大阪地連・加藤さん
画期的判決だと思うが、タクシー職場は賃率が問題となる。労働時間を少なくして賃率を減らす会社もあるがこういう場合も裁判に訴えられるのか聞きたい。

宮里弁護士・回答
この判決では同一労働である限り同一賃金だと言っている。年齢により能率が低下することが具体的に論証できなければ賃金を引き下げはできない。能率に違いがないのに率が下げられるのは不合理。

群馬地連・生澤さん
私の会社では、60歳過ぎた時点で再雇用されると歩率が2%引き下げられる。この程度の引き下げは問題ないのかを聞きたい。

宮里弁護士・回答
本件の判決は、完全な同一労働の場合は、相違の程度のいかんにかかわらず許されないと言っている。
定年後の切り下げがどれぐらいから労働契約法20条に違反するかという判例がない。
この判決が20条で争った最初の判決。この種の裁判が今、全国で大阪や東京での地下鉄の売店の事件、千葉でバス運転手の事件が争われている。
労働契約補20条を巡る判決がこれからいろいろ出てきて、その程度では違反とは言えないという判決が出る可能性も否定できない。


<<本件判決の意義と今後の検討課題>>
この判決が画期的なのは、初めて定年後再雇用の労働者が賃金の格差を争った判決の第一号ケースであり非常に注目をされたことです。特に20条の適用が認められたということは定年後再雇用に大きな影響をもつことは間違いありません。
この判決の重要なことは、20条は不合理かどうかを判断する要素、最も中心的な要素は職務の内容と責任の程度であります。そもそも20条という法律が何故できたのかというと、有期雇用であることを理由に非常に不合理な差別が横行している。これを禁止して是正しようというのが理由なんです。いくら労使が合意していても、ましてや労働者が合意していても、中身は不合理であれば20条違反であると思います。
本判決の検討課題として、定年後再雇用の職務内容や責任を軽減し、それによって賃金を下げる場合、労働条件の格差は許される場合がある。
ただしこれも程度の問題がありますが。また、一部企業側においては、定年後再雇用じゃなくて定年を延長したり、定年を廃止したりして20条の適用を免れる。そして定年を延長する際に賃金を切り下げる。そうするとその場合の切り下げは法的にどうかという問題がまた出てきます。しかし、定年制の廃止とか定年延長の場合には問題があるのですが20条の適用は免れるということであります。

<<同一労働同一賃金をめぐる最近の議論動向>>
驚くことに今度の参議院の公約を見ると全党が同一労働同一賃金を導入すべきと言っています。安倍さんが急に言い出しました。法制化も辞さずと。政府の中にも検討会が行われて、一億総活躍社会の重要な政策として同一労働同一賃金が位置づけられる。一般的水準は正規の8割、本気でやる気があるかは疑問だし、内容も警戒し見ていかなければならないが、何らかの法改正に行くことは間違いはないだろうと思います。
非正規は今や4割。補助的ではなく基幹的労働になってきている。労働組合の重要な課題であり、まじめに取り組まなければ労働組合の将来がないと思います。この機を逃さず法制化を目指しましょう。合理的な理由なしには格差は禁止することが柱。また合理性証明は使用者にあることが大事。労働組合の方針として確立してほしい。


安全と良質なサービスでウーバーをしのぐ日本のタクシーに期待

講演する国交省の鶴田浩久課長
国交省自動車局旅客課 鶴田浩久課長
第1日目に国交省自動車局旅客課の鶴田浩久課長が、タクシー産業の取り巻く環境について説明しながら
①タクシー特措法、②タクシー革新プラン2016、③国家戦略特区改正案の概要(道路運送法関係)、④ライドシェア関係について講演しました。

ライドシェア問題については「安全上の問題があるが、タクシーにウーバーよりできない面が無いということが大事」と述べ、良質なサービスでウーバーをしのぐよう日本のタクシーに期待を語りました。

<<質疑で各地の課題を要請>>

北海道地連・鈴木さん
札幌交通圏の協議会が進んでいない。特定地域計画の作成に働きかけをお願いする。45日前の告知が開催を阻害してる面もある。
預かり休車の復車にUD・電気自動車に加えハイブリッド車も認めてほしい。ジャスタビの問題に対処は必要。

鶴田課長・答弁
特定地域は原則3年。最初の2年は解除しない。合意を無駄にしない協議をお願いする。
45日前の告知についても改善できないか検討する。預かり休車の問題は、UD・EV等、国が補助金を出している範囲としたのでご理解を。ジャスタビの問題は我々も非常に問題視している。白タクに該当する恐れが高いという見解だ。経産省にグレーゾーン解消制度があり、そちらと話しているところだ。

大阪地連・加藤さん
事業者も巻き込まないと地域計画の作成は進まない。合意形成をすすめる上でも預かり休車の復活要件に「衝突安全装置を付けている車両」を追加できないか。また、特区で自家用車の活用拡大となったが憲法95条にある住民投票は必要ないのか。

鶴田課長・答弁
預かり休車の復活に関する新たな提案として貴重な意見だが、UDで衝突ブレーキとなると逆にハードルが上がり趣旨とズレるのでは。国家戦略特区に関しては住民投票は必要ないというのが内閣府の見解。国会答弁でも住民投票はしないとなっている。

東京地連・黒木さん
東京の初乗り運賃の見直しについてだが、実証実験を行うとあるがその目的は何なのか。また、その実験結果によっては申請が却下されることもあるのか。また、実験する側の意図的な誘導が無いようにお願いしたい。

鶴田課長・答弁
申請は7割を超え審査に入っている。一つは実験は総収入が減らないためには爾後運賃をどうするかを見極めなければならない。
もう一つは実際に目に見える形でやってみて「乗ってみたいな」という盛り上げの宣伝効果も期待しているところだ。実験の結果次第で却下することは考えていない。後ろを見極めるのが目的であり、結果を踏まえて運賃を適正に設定するということだ。

富山地連・石橋さん
事業者サイドから見れば休・減車で生産調整すると総営収が下がり、雇用の問題も出てくる。雇用調整助成金の活用について国交省からもアプローチして予算を付けるくらいの措置が必要だ。また、女性の活躍と言われているが、片手間な非正規のドライバーが増えてはいけない。特区での有償運送で運転者代表も協議会に入れるのか。

鶴田課長・答弁
雇用助成金を厚労省と話はしていきたい。女性ドライバーの「ママタク認定」ですが、非正規雇用の助長になってはいけないと思っている。
一方で担い手不足をどうやって乗り越えて行くかは全国的課題。女性の力は重要だ。特区の地域関係者との協議に運転者代表は入っていない。


情勢認識を共有し力強く前進しよう

熊本地本・真東さん
熊本地震では全壊4件、半壊4件、一部損壊多数を出したが人的被害はなかった。
当初は組合員の安否もわからず、事務所のビルも閉鎖され不安に駆られた。
しかし、長崎地連・佐賀地連・福岡地連・関西地連・愛知地連・労連本部から支援物資が届き、全国から多額のカンパも頂いた。本当に感謝している。
これからも復興を目指して全員で頑張っていく。ご支援ありがとうございました。

岩手地本・東舘さん
今年に入って岩手県北部の二戸市にある玉川タクシーで賃金の遅配が始まり、6月に裁判所に破産を申し立てた。
現在は、裁判所から事業継続の許可をもらって懸命に事業を継続している状況にある。
これまでも東日本大震災の時や一関タクシーの倒産の際にで本部の支援を受けて職場を再建してきたが、今回も職場の仲間がしっかり団結して頑張っていきたい。支援をよろしくお願いしたい。

大阪地連・福盛さん
大阪の高槻交通で現在、不当労働行為の救済を求めて労働委員会で闘っている。
職場には組合が3つある。
会社が作った新労働組合が今は一番多い。
会社は多数組合と決めれば全ての乗務員に波及すると主張するが、労働組合が締結した労働協約は就業規則より上にあるはずだ。少数組合が協定も結べない状態が続けば組織拡大も「絵に描いた餅」となる。
労働委員会では会社の主張は崩れ始めている。しっかり闘って勝利し、組織拡大につなげて行きたい。労連のこの間の支援に感謝する。


東京地連・筒井さん
第24回参議院選挙では、私たちが推薦した「たしろかおる」さん「吉田ただとも」さんの二人を国会に送り出すことができなかった。貴重な議員を失ってしまったが、これだけの団体で勝てなかったことを執行部としてもしっかり受けとめ戦略的に行動するようにしてほしい。


松永書記長 答弁とまとめ
熊本地震の対応については全国の仲間が支援カンパに協力してくれたことに感謝する。熊本の皆さんには是非頑張ってほしい。
岩手の玉川タクシーの仲間は、会社が倒産する中で必死に営業を続けている。こうした事案が増えている。しっかり支援していきたい。
大阪・高槻交通の不当労働行為問題はしっかり闘いを前進させ、結果を出していきたい。こうした闘いを組織拡大に繋げて行けるようこれからも支援をしていきたい。
参議院選挙は悔しい結果となった。比例代表で最も得票数の多い落選者の第2位が「吉田ただとも」さん、第3位が「たしろかおる」さんとなっている。必死に戦った仲間からは、努力が足りなかったのではないかと意見が出るのは当然のことだ。しっかりと分析して今後の闘いに活かして行きたい。民進党のタクシー議連で奮闘してきた議員も失う結果となっており、新たな役員体制を早急に作るよう働きかけていきたい。セミナーのまとめとしては、熊本地震で被災した仲間を今後とも支えることを全体で確認したい。

第一日目に宮里弁護士の講演があった。定年後の再雇用の際に同じ業務で働いていく問題は我々の職場にとっても関連のある問題である。再雇用者の歩率も同一の業務であれば同一の歩率にしなければならないという指摘もあった。学習内容を是非職場で活かしてほしい。

国交省の鶴田さんの講演では訪日外国人旅行者の増加や高齢化社会の現状が報告された。改正法を活かして公共交通の安全・安心をしっかり守っていかなければならない。青森裁判に勝利し、白タク合法化を許さず、情勢認識を共有し力強く前進しよう。
討論をまとめる松永書記長


全国を代表する闘いに勝ち抜く

勝利を目指して最後まで闘う決意を固める参加者
特定地域の指定基準の違法性を訴えた青森市のタクシー裁判の第4回口頭弁論が7月8日・午後2時から青森地方裁判所で行われました。
原告側は6月17日に準備書面を提出し、規制緩和により生じた供給過剰状態は、特措法の施行によってもなお、改善されていないだけでなく、減車に協力しない会社が得をし、減車に協力した会社が損をするという状況を作り出すとともに、運転者の低賃金状況を一刻も早く是正する必要に迫られたことを明らかにしました。そして「特措法の制定とタクシー運転者の賃金・労働条件の改善とは関係がない」する国側の主張に反論しました。
また、改正特措法の運用においても当初示した国交省の指定基準に人口要件は無く、規制改革会議が「営業車両総数の半数を有意に下回る割合とすべき」との意見書を提出したこと。人口30万人基準により、適正車両数との乖離率が20%を超える青森県交通圏等の36地域を特定地域の指定から除外する一方で、乖離率10%未満の5地域が特定地域に指定されていることを示し、30万人基準が、発議者の「供給過剰が実際に発生していると認められる地域」を指定することに合致していないことを論証しました。



7月7日付けで大妻女子大学の戸崎肇教授が裁判所に意見書を提出。意見書で①タクシーの公共性と重要性の高まり、②タクシー事業が健全が健全に存続するための条件、③タクシーに関する近年の政策の問題性、④タクシー事業適正化・活性化法導入とその後、⑤今回の裁判に対する見解について論じました。
その中で、当初、国交省は実情から見て全国で70から80地域が特定地域に指定されるとしていたが、規制改革会議からのクレームによりさしたる根拠もなく10数地域まで限定すべきとの要求が出されたことを示し「専門性の乏しいこうした会議が強力な発言権を有すること自体が問題」「指定される地域の数を減少させるために、人口要件など、その評価基準を意図的に操作したとしか解釈できない」と主張し、最後に「タクシー労働者の待遇改善を行うことは、タクシーという公的必需品の健全な状態での安定供給を持続的に行っていく上で極めて重要なものと考える。是非とも原告の方々の訴えに真摯に耳を傾けていただきたい」と結びました。

国側は7月5日付けで準備書面を裁判所に提出し、「青森市の全域が青森交通圏に含まれるわけではない」として青森交通圏の人口は27万余りであると主張するとともに、原告が以前からタクシー運転手であったこと及び年収の状況は不知とした。
裁判長は「法的解釈が中心になる事案である」とした上で、次回弁論では原告1名の尋問を検討することを伝え閉廷しました。次回弁論は9月9日、11時30分に決まりこの裁判の大きなヤマ場を迎えることとなります。
弁論終了後、青森県労働会館で報告集会を開き、青森地連、東北地連、北海道地連、青森県交運労協の仲間など35名が参加しました。全自交労連から伊藤委員長と高橋書記次長が出席しました。横山弁護士は「被告の主張があったとしても人口30万人基準の不合理性は変わらない。戸崎教授の意見書にもあるように規制改革会議の意見で人口30万人という指定基準が入れられたのは明らか。この基準が特措法の運用をゆがめ、運転者の生活改善への道を閉ざすこととなった」と述べ、次回弁論に向け、7月中に原告1名の陳述を準備する
ことを伝えました。
全自交労連の伊藤中央執行委員長は「改正法の目的は供給過剰を是正し運転者の労働条件を改善することにあるが、通達で法の運用をダメにした。全国の仲間を代表して闘っているのがこの裁判だ。これからの運動につながる闘いとして勝ち抜こう」と挨拶しました。東北地連の鈴木委員長は「次回の9月9日の弁論には東北地連の動員体制をとって参加したい。団結をしっかり固めて最後まで頑張ろう」と激励しました。その後、地元の支援者から連帯の挨拶を受けました。
進行役を務めた青森地連の江良書記長は参議院選挙の勝利を参加者に訴え、最後に後藤委員長の音頭でガンバロウを三唱し、熱気ある報告集会を終了しました。


第1回全国交流会 羽後自動車学校職員労組の結成を報告

連合自動車教習所連絡会は7月15日午前、第5回連絡会議を開き、同日午後には「第1回全国交流会」を開きました。全自交労連からは、鈴木和彦副委員長(自教部会長・秋田地連書記長)と高橋学書記次長が出席し、秋田県内の羽後町で1月に結成された羽後自動車学校職員労働組合の結成までの経過報告を行いました。

連合自動車教習所連絡会は例年この時期に警察庁との「全国意見交換会」を行ってきましたが、本年は諸事情により警察庁の参加が叶わず、自教労組による「全国交流会」として行われました。交流会には、連合本部の3名と全自交労連など7産別・11都道府県から28名が参加しました。自動車学校の指導員を担っている仲間も19職場から参加し、活発な意見交換が行われました。
意見交換の題目として、①教習時間の緩和について、②高速教習成立要件或いは実施基準の見直しについて、③二輪教習における指導員数に対する教習生の複数率について、④高齢者講習指導員の資格審査の見直しについて、⑤指定のあり方について、仮免許の効力発生日の見直しについて、⑥仮免許の効力発生日の見直しについて、⑦教習料金について等を設定し、討論しました。

高速講習や高齢者教習は各地域の教習実態を出し合い、改善点を探る議論を行いました。また、全国的に買収を重ねる悪徳事業者の動向も報告されました。地方の教習所は廃業も多く雇用・労働条件の不安が高まっている状況も報告されました。
挨拶する連合の南部副事務局長


家族も参加し団結の輪広げる

長崎県タクシー労組は6月16・17日の両日、梅雨の合間をぬって「第26回長崎県タクシー労組釣り大会」を長崎市内の小江海岸一帯で行いました。
あいにくの梅雨の時期にもかかわらず、両日で家族も含め約50人の組合員が参加しました。釣り大会の開催は3年ぶりです。
16日は小雨が降る中で行われました。
17日は天気も回復し、釣り日和となり、海岸のあちこちでバーベキューを行い盛り上がる仲間もあり、久しぶりの開催となった今回の釣り大会で、組合の団結の輪がより一層広がりました。両日とも長崎地区労の書記長と長崎県タクシー労組の顧問が駆けつけ、安倍内閣が進める富裕層優遇の経済政策が格差拡大を招いていることを批判し、平和と暮らしをしっかり守る政治への転換を参加者に呼びかけました。
長崎県タクシー労組は7月26日に長崎市内で結成60周年記念式典を予定しており、節目の年を迎え、さらなる運動と組織の飛躍を全員で誓い合います。
家族連れで釣り大会に参加した長崎県タクの仲間


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